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オーストラリアの山火事が「永遠の問題」になる理由

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オーストラリアで発生した森林火災は非常に広範囲に及び、その影響は宇宙空間からでも確認できるほどだ。黒焦げになった火災現場の野生動物や、破壊し尽くされた森林などの衝撃的な映像によって、森林火災が人間の生活や安全を脅かすだけでなく、生物多様性にも深刻な脅威をもたらすことが明確になった。だが、環境保全に関するこの問題は、個々の動物が直面する当面の苦難だけにとどまるものではない。

2019年9月に始まったオーストラリア大陸の森林火災シーズンは1月6日現在、いまだに収束していない。森林火災はオーストラリアの生活では例年起こる現象だが、2017年から続いている干ばつと記録的な猛暑のせいで、2020年はかつてない規模と継続時間となっている。

これまでに数百万ヘクタールの森林が焼失。野生動物、鳥類、爬虫類など5億匹と、無数の昆虫類が死んだと推定されている。

生物多様性と、人間の生存とは、緊密に関連している。生態系を支える微生物と菌類と動植物のネットワークが失われると、天候から、世界の食糧供給に至るあらゆるものが脅威にさらされることになる。こうした環境崩壊が招く結果としては、気候変動の暴走、飢饉や干ばつ、人獣共通感染症の拡散などに加えて、われわれが故郷と呼ぶ場所の絶滅と破壊によって生じる甚大な文化的損失が挙げられる。

オーストラリアは、世界でも有数の生物多様性ホットスポット(生物多様性が極めて高い地域)の一つだが、都市化や、飼い猫を含む侵略的外来種、気候変動に関連した猛暑と干ばつなどの圧力によって、すでに動植物は危機に陥っている。

科学者たちは以前から、オーストラリアなどの「メガ多様性国家」(生物多様性の豊かな国)における生物多様性の保全を、世界の優先事項の一つとして取り組むよう警告してきた。2020年の森林火災シーズンは、まさしく科学者らが懸念してきた通りの、人類存続に関わる脅威となっている。

環境保全専門家らは2016年に発表した学術論文で、「火災は、生物多様性に地球規模で影響を及ぼす重大な生態学的作用の一つだ」と記している。現在の森林火災で危機に直面している生物種には、コアラ、フクロネズミ、カンガルーなどの象徴的な動物種が含まれる。だが、それほど知られていないが同じように重要な生物種も、この中に多く含まれているという。それは、カンガルー・アイランド・スミントプシスグレーターグライダーシルバー・ヘッド・アンテキヌスなどの有袋類動物や、バンクシアサンオーキッドの仲間などの植物だと、グラハム・リードファーン(Graham Readfern)は英紙『ザ・ガーディアン』に掲載された記事で記している。

オーストラリアの森林火災シーズンは通常、5月までに終わるが、地域の気温は例年1月~2月にピークに達するため、最悪の事態がまだこれから起きる可能性はある。だが、今シーズンの森林火災が、より涼しく湿った天候の到来によって鎮火した後でさえも、地域の動物個体群への影響が、将来の大災害の発生リスクを高める可能性がある。

2016年の研究によると、オーストラリアの一部では、定住性の「生態系エンジニア(ecosystem engineers)」たちが生息する地域で発生する森林火災は、火炎が達する高さと、広まる速度の両面において、火災の深刻度に影響を及ぼすことが明らかになっている。生態系エンジニアとは、落ち葉などの可燃性物質を摂取したり、巣作りに使ったり、単にかき混ぜたりすることで、それらの分解を助ける動物たちのことだ。

だが、大規模な森林火災が生態系を混乱させ、不安定化させると、生態系エンジニアたちは正常に機能できなくなる。これは、今回発生した史上最悪規模の破壊に匹敵する森林火災シーズンが、将来また発生する可能性が高くなることを意味する。

オーストラリアの動物について懸念している読者の方は、最前線で活動している各団体に寄付金を送ることができる。同国最大の野生動物保護団体「ワイヤーズ(WIRES)」は、可能な限り多くの負傷した動物や孤児となった動物を世話している。ポートマッコリー・コアラ病院は、負傷したコアラを救出してリハビリを施す活動とともに、火災で破壊された地域に、コアラ向けの水飲み場を設置する取り組みを進めている。

また、世界自然保護基金(WWF)は、コアラの保護と森林火災対応の活動に従事している。カランビン野生動物病院は、コアラの治療とリハビリのための資金を調達している。

オーストラリアに住む一般の人々も、森林火災に見舞われた地域の動物たちに、食物と水を提供する活動に取り組んでいる。野生動物に干渉しないのは、通常時の原則とされるが、今回の状況は通常時ではないのだ。

この記事は、Popular Scienceに掲載されました。

Bushfires are normal in Australia, but this season hasn’t been normal at all. (DepositPhoto/)

 

この記事は、Popular ScienceKat Eschnerが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。