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オンライン? 実店舗? 最も環境負荷の小さい買い物とは

  • 環境
2020/5/1

私たちは現在、かつてないほどオンラインで買い物している。日用品や食料品も例外ではない。米国のインターネットユーザーの実に3分の1が、少なくとも週1度オンラインショッピングを利用している。トイレットペーパーが減っているのを見たら、スマートフォンを引っ張り出し、数タップで注文完了。そうすれば、1日あるいは1日足らずで新しいトイレットペーパーが届き、便座のそばにセットされる。

しかし、「Environmental Science & Technology」で発表された最新の論文によれば、アマゾンのようなオンライン小売企業から少量を購入し、素早く届けてもらうというタイプの買い物は、環境にとって最悪である可能性があるという。送料無料、即配という現在のビジネスモデルでは、日用品、家庭用品、食料品といった「日用消費財」の輸送に関連した温室効果ガスの排出量が多くなるというのだ。

研究を率いたオランダ、ラドバウド大学で持続可能性を研究するサデグ・シャモハマディ(Sadegh Shahmohammadi)は、「(オンラインのみに存在する小売企業が)急成長を遂げています。今回の研究は、環境にとってはそれが良いことではないと示唆しています」と述べる。

オンラインでの買い物と、実店舗での買い物のどちらが良いかについて、これまでの分析では一貫性のある結果が出ていない。実際、オンラインショッピングの方が影響が小さいという研究結果もある。実店舗まで車で行く必要がなく、排出量の削減につながるためだ(米国人の95%は、車で買い物に行く)。

ただし、オンラインショッピングの利点は、どれくらい早くトイレットペーパーを届けてもらいたいかによって異なり、場合によっては利点そのものが消えてしまうこともある。また、実店舗で買い物する場合、どのように商品を運ぶか、どれくらい移動するか、一度にどれくらい購入するかも、カーボンフットプリントに影響する。

シャモハマディも、「いくつかの矛盾した結果が存在します。オンラインショッピングの方がいいと言う人もいれば、従来の買い物の方がいいと言う人もいます」と認めている。そこで同氏は、あるアプローチを用いることで、論争の決着を図ることにした。どの選択肢がより良いかを知るためのアプローチだ。

シャモハマディらは、3つの買い物スタイルを比較した。伝統的な実店舗での買い物、実店舗からのオンライン注文(ブリック・アンド・クリック)、オンラインのみに存在する小売企業からの注文だ。店舗までの移動距離、一度に購入する商品の数など、あらゆる変数をコンピューターモデルに入力したうえで、値を変えながらシミュレーションを行い、結果がどのように変化するかを確かめた。

例えば、実店舗に何度も足を運べば、車の運転によるカーボンフットプリントが増える。オンラインで大量注文すれば、配送の影響を減らすことができる。さらに、シャンプー、歯磨き粉、洗剤、常温保存が可能な食品など、一般的な商品2900点の重量と体積も考慮に入れた。

その結果、ブリック・アンド・クリックとオンラインショッピングを比べた場合、ブリック・アンド・クリックのほうが97%のケースで、1商品当たりの排出量が少ないという結果が出た。また、ブリック・アンド・クリックと実店舗での買い物を比べた場合、3分の2近くのケースで、ブリック・アンド・クリックのほうが勝っていた。さらに、オンラインショッピングと実店舗での買い物を比べると、81%の割合で、実店舗のほうが勝っていた。つまり、1商品当たりの排出量に関しては、オンラインのみに存在する小売企業がいちばん多く、その次に、実店舗での買い物。いちばん少ないのは、ブリック・アンド・クリックということになる。

オンライン小売企業の排出量が多い理由はいくつかあると、シャモハマディは指摘する。まず、送料が無料に設定されているため、人々は一度に少しずつ購入する傾向がある。たとえ大量購入しても、複数のサプライヤーから届く可能性があり、その場合、配送は別々になる。しかも、配送が分かれれば、それぞれ別の段ボール箱に入れられる。段ボール箱の製造には木が必要で、配送トラックは直接的な汚染源だ。つまり、段ボール箱を開けるまでに大量の炭素が排出される。

一方、オンラインサービスを提供する実店舗の多くは、送料無料の条件として最低購入価格を設定している。そのためブリック・アンド・クリックでは、人々は一度に大量購入する傾向がある。その結果、商品単位で換算すると、梱包と配送を合わせた炭素排出量は小さくなる。さらに、ブリック・アンド・クリックは即配を約束していないため、トラックの荷台に空きがある状態で配送に出掛ける必要がない。

カリフォルニア大学デービス校に所属する「持続可能な輸送研究センター」のコーディネーター、ミゲル・ジャラー(Miguel Jaller)は、第三者の立場から、今回の研究はジャラー自身の研究で見られる傾向のいくつかと一致していると話す。ジャラーの研究によれば、1商品当たりの炭素排出量が最も多いのは、平均的に見て、オンライン小売企業からの購入だった。

ただしジャラーは、アマゾンを独自のカテゴリーに分類している。アマゾンは市場シェアが大きく、バンの積み荷が多い、1度の配達件数が多いなど、配送効率が高いためだ。実際にジャラーの研究では、アマゾンからの購入はすべての選択肢の中で、1商品当たりの炭素排出量が最も小さい。ただし、アマゾンの1時間配送、2時間配送は除外されている。これらは環境にとても悪いと、ジャラーは述べている。

ジャラーによれば、オンラインでの買い物と実店舗での買い物を比較する分析は、結果にばらつきがあるという。私たちの買い物にまつわる、多数のことを検討する必要があるためだ。しかし、ジャラーとシャモハマディはどちらも、買い物の影響が最も大きいのは「ラストワンマイルの輸送」だと強調している。例えば、ターゲット(Target)の売り場やアマゾンの倉庫から自宅まで、シャンプーがどのようにやって来るのかという意味だ(さらに上流、つまり工場から売り場や倉庫の棚までは、どのような買い物でもほぼ同じになる)。

重要なのは、車に乗るか、自転車に乗るか、小売店までどれくらいの距離があるかといったことだ。オンライン配送の場合、「荷物の輸送方法」(ガソリンで走るバンか、電動のカーゴバイクか)や、「一度に運ぶ荷物の数」が大きな違いになる。「基本的に、ラストワンマイルは最も重要な要素です」とシャモハマディは話す。「サプライチェーンの残りについてはほとんど同じです」

消費者が影響を減らす方法はいくつかある。どのような形の買い物であれ、一度により多くの商品を購入すれば、数回に分けて買うよりも、温室効果ガスの排出量を減らすことができる。「はっきりわかっているのは、荷物が大きくなるほど、(環境に残す)足跡は小さくなるということです」とシャモハマディは説明する。

ジャラーはさらに、「より遅い配送」の選択を推奨している。より効率的な配送が可能になるためだ。返品も環境の負荷になるため、頻繁な返品は避けた方がいい。「消費者が行動を変えない限り、勝ち目はありません」とジャラーは話す。「私たちは、(オンラインショッピングという)特権をどのように利用するかについて、意識しなければなりません」

シャモハマディは今回の研究について、買い物の現状の一部を切り取っただけにすぎないと言い添えている。もちろん、業界全体が変わることで、影響を減らすことはできるだろう。排出量削減目標の達成を目指すのであれば、実際にそうしなければならない。

アマゾンは、再生可能エネルギーで電力を供給し、電動バンで配送し、森林を再生することで、2040年までにカーボンニュートラルを達成すると約束している。アマゾンやほかのオンライン小売企業が行動を起こせば、たとえオンラインで衝動買いしても、私たちは大きな罪悪感を抱かずに済むことだろう。

この記事は、Popular Scienceに掲載されました。

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Shipping every item individually makes online shopping a huge burden on the environment (Unsplash/)

この記事は、Popular ScienceのUla Chrobakが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。

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