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「人間の注意散漫」を前提とした、SUBARUの自動制御・ドライバー支援技術

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piyaset

運転中に注意力が散漫になった経験がない人はいないだろう。現代の生活は、騒がしい子供たち、派手な広告、疲労、違反取締用カメラ、心理的なプレッシャー、終わることのない仕事など、人の気を散らすもので溢れている。サイレントモードにし忘れたデジタルデバイスやソーシャルメディアから送られる通知メッセージもそうだ。私たちは、常日ごろから注意をあちこちに向けすぎており、10の異なることを同時に考えなければならない状況に疲れ切っている。

しかし、ドライバーの注意散漫は、交通事故の大きな原因の1つだ。英運輸省によれば、2018年に報告のあった交通死亡事故の63%が、四輪車または二輪車のドライバーの過失や判断の遅れ(見落とし、運転不能状態、操縦ミス)によって発生していたという。

このような理由から、近年になって車両の安全設計で重視される項目が変化している。以前は、衝突時に搭乗者へのダメージを軽減する素材や設計を採用することに力が入れられていた。しかし今では、最新技術を活用して事故そのものを防ぐことに焦点が置かれている。つまり、運転者が車をコントロールできなくなっても、車がコントロールしてくれるようにするというわけだ。

こうした変化は、受動的な安全性から、能動的な安全性への転換と表現されることが多い。実際、自動車においては、安全性を高めることが技術開発の大きな推進力となっている。先進運転支援システム(ADAS)は、集中力と注意力を維持できるよう支援するシステムで、レーダー、カメラ、レーザーなどの技術を用いた自動ブレーキといった機能を搭載している。

ラフバラー大学交通安全研究センターのアンドリュー・モリス(Andrew Morris)は、「ADASは大きな変化をもたらした」と述べたうえで、次のように語っている。「ミスをするという人間の欠点をなくすことは難しく、受動的なシステムではダメージを減らすことしかできない。そうした考えが大方の一致した意見となり、重点は事故の予防に移った。新しい技術は、検知と自動化という方法で問題を解決しようとしているが、歩行者や自転車といった交通弱者も守れるという点で、より優れた考え方だと言える」

日本の自動車メーカーであるSUBARUは、「第2の目」と呼ばれる「アイサイト」を導入して以来、ADASの開発で常に先頭を走っている。アイサイトは、ルームミラーの上に取り付けられた2基の高性能なカラーカメラを使用し、これらのカメラで撮影された精細なステレオ画像を処理することで、前方の車を認識する。また、障害物や車線を識別したり、歩行者などの物体を検知したりすることもできる。

カメラで生成された画像を使用してアイサイトが提供できるADASの機能は、以下のとおりだ。

  • プリクラッシュブレーキ:ダッシュボードで警告灯が点滅すると同時に警告音が鳴り、衝突の可能性をドライバーに知らせる。ドライバーが回避行動を取らない場合は、自動でブレーキを制御する。
  • 衝突回避スロットルコントローラー:駐車しているとき、前方に障害物がある状況で、「R」レンジではなく、誤って「D」レンジに入れてしまったときに警告を発する。
  • アダプティブ・クルーズコントロール:前を走る車との距離や速度を設定できる。
  • 車線逸脱警報・ふらつき警報:予告なしに車線からはみ出そうになった場合に警告する。
  • 車線逸脱防止支援:ドライバーが修正操作をしなかった場合に、ステアリングをゆっくり制御して車線に戻る。
  • 先行車発進お知らせ:前方の車が発進したのにドライバーが発進しなかった場合に、警告を発する。

欧州でアイサイトを装備したSUBARU車を所有するユーザー(計3440人)を対象として2018年に実際された安全性に関する2つのアンケート調査によれば、回答者の31%が、アイサイトのおかげで事故を回避できた経験があると回答した。さらに94%が、この技術のおかげで運転時の安心感が高まったと答えている。

SUBARUの他の安全技術と同じく、アイサイトも進化を続けている。たとえば、「フォレスター」の「e-BOXER」搭載モデルと「レヴォーグ」には「アイサイトアシストモニター」が搭載された。これは、アイサイトと連動した警告灯をフロントガラスに投影するシステムで、ドライバーが警告をさらにはっきりと確認できるようになる。

アイサイトは、「BRZ」を除くSUBARUの全モデルに標準装備されている。2019年にはフォレスターe-BOXERが、欧州で行われている自動車安全性テスト「ユーロNCAP」で最高の5つ星を獲得。「スモールオフロード/MPVクラス」で「2019年の最優秀車」に認定された。

SUBARUの安全技術は他にもある。その1つが、ドライバーが長時間目を閉じたり脇見をしたりしていることを検知し、警告音と警告表示で知らせる「ドライバーモニタリングシステム」だ。サッチャム・リサーチセンター(Thatcham research centre)によれば、英国では居眠りに関連した死亡事故が1日に少なくとも1件起こっており、このようなシステムがあれば人命が救われる可能性がある。

SUBARUのドライバーモニタリングシステムは、2020年の「What Car?」でテクノロジー賞を受賞し、「この種のシステムでは最先端」と評価された。What Car?がこのシステムをテストしたところ、ドライバーの集中力が低下している状態を、他のメーカーのシステムと比べて正確に検知できることがわかった。

また、センサーを使って車の後方や死角に隠れた物体を検知できる「後退時ブレーキアシスト」(RAB)や「スバル・リヤビークル・ディテクション」もある。RABの場合、衝突を避けるために自動でブレーキをかけることもできる。

この種のアクティブ・セーフティシステムの有効性は自動車業界全体で認められており、イギリスの自動車製造販売協会(SMMT)の調査でも証明されている。SMMTの推定によれば、イギリスではADASのおかげで、この5年間に交通事故件数が10%減少したという。

ドライバーの注意散漫は致命的な事故につながりかねないが、携帯電話を操作しながらの運転を禁じる法律を見ればわかるように、教育と法律でできることは限られている。

ノッティンガム大学で交通事故の人的要因を研究するゲーリー・バーネット(Gary Burnett)教授は、「注意がそれるのは、運転という行為そのものに要因があると考えられるが、運転に関わろうとする意志の表れと見ることもできる。自動車メーカーは、前者には対処できるが、後者には対処できない。個人の性質に依存するからだ」と語る。「注意散漫を完全になくすことはできないが、理にかなった設計によって注意散漫を抑制するやり方は賢明な方法に違いない。つまり、効果的なヘッドアップディスプレイや音声認識システム、アクティベーションシステムといった技術の改良を進めて、注意散漫を最小限に抑えるのだ。車の中には注意をそらすものが常に存在しており、車の外にもドライバーを誘惑するものがある。自動車の運転が完全に自動化されるまで、このような要素を完全に排除することは不可能だ」

完全な自律走行はまだ実現に程遠い状況だが、欧州連合(EU)では2022年より、新しい安全技術を乗用車と商用車に搭載することが法律で義務付けられる予定だ。英国でも、車線逸脱防止支援システムや高度な緊急ブレーキといった技術の搭載が義務付けられる可能性が高まっている。こうした動きは、死亡事故と重傷事故をゼロに近づけることを目指した「ビジョン・ゼロ」と呼ばれる長期的な取り組みに寄与してくれるだろう。

しかし、技術によって事故をすべてなくすことは可能なのだろうか。

「間違いなくきわめて野心的な目標であり、近い将来に達成することは難しいだろう」と、モリスはその難しさを認めている。「しかし、これは健全なコンセプトであり、セーフシステムアプローチでもある。つまり、何らかの理由で事故が起こった場合に、ドライバーではなくシステムに原因を求めるというわけだ。そして、システムが洗練されればされるほど、その効果は間違いなく高まる」

安全が重要
私たちにとって最も大切なのはお客様です。そのため、私たちは常にお客様のことを考えてSUBARU車を開発し、数々の賞を受賞した安全技術でお客様とその家族に最高の安全性を提供しています。SUBARU車の特徴をもっと詳しく知りたい方は、subaru.co.ukをご覧ください。

この記事は、The GuardianのMike Pattendenが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.com.までお願いいたします。