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水中で使用するための「スマート接着剤」を開発

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化学物質の主成分は「カテコール(catechol)」。ムール貝が湿った表面に固着する助けとなる、濡れても粘着性を保つタンパク質を模倣して作られた合成化合物だ。これが、水中でも使える接着剤を開発する基礎となっている。

ミシガン工科大学の研究チームによると、カテコールの可能性を引き出すカギは、塩水中の実験環境で電気を通すことで、カテコールを含む粘着剤が無効化できることだ。研究チームは、「スマート接着剤」の試作品に電流を流すと、粘着力のレベルが(オンオフという意味で)制御できることを明らかにした。

カテコールは無色の化合物で、自然界にも微量に存在する。変異体を合成することも可能だ。人工的に製造されるものの大半が、農薬、調味料、香料などの製造で原料となる化学物質として利用されている。

電気の発生に関しては、チタンの球と白金線電極の組み合わせを用いた。研究チームはこの実験装置を使って、塩水の中でチタン球と接触しているスマート接着剤に電気的刺激を与えた。

重要な可変量には、塩水の塩分濃度や、電流を流す時間の長さがある。電流を流す時間や電圧を増加させると、接着剤は粘着力が弱まり、接着された物体が分離する。

スマート接着剤を用いた一連の実験結果を受けて、研究チームは、カテコールをベースとした接着剤が、潜水艦の船体装備の修理に役立つ可能性があると期待を寄せている。

研究チームの一人、サレハ・アクラム・ブイヤン(Saleh Akram Bhuiyan)によると、接着力をオンオフする仕組みは、色の変化も引き起こすという。「今回の実験に関して最もユニークだと感じることは、色の変化です。最初は白色ですが、電気を通して素材が無効化されると、素材は酸化して赤色に変わります。チームの皆は、この赤色を見るのが大好きです」

スマート接着剤のその他の用途としては、創傷被覆材への応用、人工装具(義手義足など)の取り付け、自動車の製造などが挙げられている。

今回の研究は、化学誌『Journal of the American Chemical Society』で発表された。論文のタイトルは、「電気化学を用いたカテコール含有粘着剤の原位置不活性化(In Situ Deactivation of Catechol-Containing Adhesive Using Electrochemistry)」だ。

この記事は、Digital Journalが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。