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優れたアイデアに賞金35万ドル? “パラジウム・チャレンジ”とは

  • マテリアル
2021/12/3

パラジウムと高純度ニッケルの生産で世界最大手のロシアの金属採鉱会社ノリリスク・ニッケル(Norilsk Nickel)が、国際貴金属協会(IPMI)と提携し、「パラジウム・チャレンジ」と称したコンテストを実施することになった。パラジウムを活用する最優秀プロジェクトに選ばれた勝者には、総額35万ドルの賞金が贈られる。

ノリリスク・ニッケルの販売・流通担当バイスプレジデントであるアントン・ベルリン(Anton Berlin)は、「パラジウム生産の世界最大手である当社は、パラジウムの需要開発と推進において中心的な役割を担っている。さらに、パラジウムには自己触媒作用以外にも大きな可能性が秘められている」と述べる。「パラジウムの需要は、グリーン経済や炭素除去など、他の世界的産業でも大きい。パラジウムが重大な役目を果たせる可能性がある分野はほかにも多数あり、このたびパラジウム・チャレンジ開催を発表できたことは大きな喜びだ。このチャレンジを、世界中の科学者が一堂に会する場としたい。世界各地の科学者、発明家、起業家には、ぜひこのチャレンジに挑戦してほしい。目覚ましい研究成果が得られることを期待している」。

パラジウム・チャレンジは、個人や企業、学術機関に対して、パラジウムの活用と需要増加を促すサステナブルな使用事例の開発・デザインを促すことを目指した取り組みだ。

パラジウムは、触媒作用と特有の物理的特性を持つことで知られており、自動車業界では、排ガス浄化触媒に欠かせない素材として広く活用されている。このほど発表されたパラジウム・チャレンジの目的は、その用途を広げイノベーションに拍車をかけること。

パラジウム・チャレンジでは、世界各地の専門家で構成された独立委員会が、提案されたプロジェクトすべてを検証して審査する。上位の3プロジェクトには世界的評価が与えられ、2022年9月16日に米ニューヨーク市で開催される「IPMI年次プラチナディナー」の席上で、賞金が授与される予定だ。

賞金額は米ドルで、1〜3位まで順に20万ドル、10万ドル、5万ドルとなる。

現在、パラジウムのおよそ80%がガソリンエンジンの排ガス浄化触媒の生産に使われている。そのため、パラジウム価格は今のところ、世界の自動車市場の動向に左右されている。ただし用途が他分野にも広がれば、状況は変わるかもしれない。

パラジウムの指標価格は、2021年に入ってから記録的なペースで上昇した。市場での供給不足が危ぶまれたためで、1オンス3000ドルに迫る史上最高値を記録した。しかし夏には、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの影響で自動車業界の回復に陰りが見えたことで価格が戻った。現在は、1オンス2200ドルほどで取り引きされている。

パラジウムは電子業界でも、半導体のリードフレームやコネクター、プリント基板などに使われている(6.4%)。また、日本を中心にした歯科業界(2.7%)や、宝飾品業界(1.2%)などのニッチ分野にも用途がある。パラジウムは、ゴールドと比べて約30倍の希少性があることから、非常に「レアな」貴金属だとされている。

パラジウム市場は2009年からほぼずっと供給不足が続いている。新型コロナウイルス感染症に起因する需要の崩壊で、2021年には不足幅が縮小される見込みだが、供給は依然として不確実だ。実際、世界最大のパラジウム生産国のひとつである南アフリカ共和国では、新型コロナウイルスへの感染防止策のロックダウンの影響で、鉱山の再開がいまだに難航している。その直前の今年はじめには、電力不足で鉱山が閉鎖されるという深刻な事態も起きていた。

この記事は、Business Mattersが執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまでお願いいたします。

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