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AIとデジタルツインが持続可能な未来への鍵になる理由

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デジタルツインは新しいものではない。しかし今、「デジタルツインでできること」はAI(人工知能)によって拡大しており、製品の設計や製造、保守の在り方が大きく変わりつつある。デジタルツインとAIを組み合わせることで、複雑さとつながりが増すこの世界を見通すための解析的なインサイトが得られるのだ。

デジタルツインとAIを導入することで、業務についての詳細なインサイトを得ることができ、コスト削減や効率化、サステナビリティへの取り組みなどで大きな恩恵を得られる。製品の品質も、欠陥が減少してライフサイクル全体における問題解決が加速することで向上する。さらには、開発が頻繁に包括的に行われることで、イノベーションが増加する。

ガートナーはデジタルツインについて、「現実世界における実体またはシステムのデジタル的な表現」と定義したうえで、「複数のデジタルツインからデータを集約して、例えば発電所や都市といった現実世界の複数の実体とその関連プロセスまでを複合的に見通すことができる」としている。デジタルツインをAIで拡張することにより、「What-If」シナリオの検討やシミュレーションを実行して、これまで手に入らなかったインサイトを得られるのだ。原因と結果に関する状況認識の向上が、さらに迅速でサステナブルな意思決定をサポートする。

ESGの要請

デジタルツインは、業務の最適化につながるだけではなく、目指すべきESG(環境・社会・ガバナンス)の目標を組織が理解する際の中心的な役割を果たす。コンサルティング企業キャップジェミニ(Capgemini)の調査によると、デジタルツイン技術がサステナビリティの取り組み向上に欠かせないと考えている組織は57%にのぼる。デジタルツインによって、エネルギー消費や排出ガス削減方法をモデル化して把握する方法が手に入れば、サステナビリティの目標と気候目標の達成シナリオをテストできる。サステナビリティは世界的な緊急課題であり、AIを活用したデジタルツインの強化が広がっていくことで、デジタルツインの導入は加速する。

以下では、デジタルツインとAIが、さまざまな場面でサステナビリティの向上にどのように貢献しているのかを見ていこう。

スマートシティ

都市が環境影響の軽減に取り組む際に、デジタルツインとAIは極めて重要な役割を果たす。両者を組み合わせてバーチャルなエミュレーションを作成することで、都市計画者はさまざまなソースからのデータを分析し、バーチャルモデルの多様な変数をテストすることで、交通渋滞や排出ガス、汚染などの問題を軽減する方法を理解するのに役立てることができる。

このアプローチのパイオニアの一つであるネバダ州ラスベガスでは、この技術によって、将来のエネルギーのニーズ、排出ガス、駐車、交通、緊急事態管理をモデル化している。IoTセンサー用いて自動車や充電ネットワーク、自治体のインフラからデータを収集し、モデル化とシナリオプランニングで活用。市当局は、得られたインサイトを、ESG方針の策定や優先事項の判断に活用していくという。

カーボンニュートラルの達成に取り組む都市が世界中で増加している。異なるソースから集まる膨大なデータの処理とモデル化に、デジタルツインとAIが道を開くことで、さまざまな決定や方針が戦略的な気候目標に与える影響を、自治体がしっかり把握できるようになるのだ。

スマート産業

産業面では、製造業者がデジタルツインにより、業務を最適化してサステナビリティを向上させるにはどうすればいいのかを理解できるようになる。例えば、シミュレーションで潜在的な問題点を特定し、エネルギー損失が生じているところを浮き彫りにすることで、エネルギー消費抑制の機会を明らかにすることが可能だ。AIアルゴリズムのデータ処理、パターン認識、将来予測の能力は、人間の認識能力をはるかに超えている。加えて、バーチャルなシミュレーションを利用することで、物理的なプロトタイプの製造に伴う廃棄物や電力消費を削減できる。

またm生産ラインのエミュレーションを作成することで、製造業者は、各段階をどのように改善すれば環境影響の低減と効率化──ひいてはコスト削減──につながるのかを把握できる。ユニリーバはある現場でテストした結果、エネルギー消費の削減と生産性向上によって、280万ドル(約3億9000万円)のコスト削減を実現した。

AIとデジタルツインを活用する、インテリジェントな製造業の新時代の到来を示す例は、他にも数多くある。

スマートビルディング

デジタルツインがサステナビリティの取り組みを後押ししているもう一つの場面は、スマートビルディングだ。環境に配慮したビル設計を目指す規制が増えており、建設業界は着工前に、環境影響の低減とエネルギー消費最小化のシナリオプランニングを実施する方法を必要としている。

インフラオーナーは、デジタルモデルにより、リソースの効率的な活用、人間のニーズへの対応、サステナブルな建設環境をサポートする判断が可能になる。今では、さまざまなソースからのデータを活用することで、より良いリソースプランニングが可能になっている。また影響の見通しの点では、ビルのエネルギー消費は、バーチャルツイン技術の活用で30~80%削減できるというアクセンチュアの試算がある。

デジタルツインの導入とインテリジェントな技術の普及が進むことで、より循環的で炭素集約度の低い経済をサポートする、より良い意思決定が可能となり、最終的にはよりサステナブルな地球を実現することにつながるだろう。

著者のCheryl Ajluniは、キーサイト・テクノロジー(Keysight Technologies)で、IoTソリューション部門のトップを務めている。

この記事は、VentureBeatでKeysight Technologies のCheryl Ajluniが執筆し、Industry Dive Content Marketplaceを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまでお願いいたします。