医療機器製造における貴金属の役割

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医療機器製造における貴金属の役割
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引用元: Today's Medical Developments
日 付: 2026年3月10日
著 者: Clare Scott (マネージングエディター/製造業グループ)
協 力: 田中貴金属工業株式会社 取締役執行役員 井原 康孝
リンク: The role of precious metals in medical device manufacturing

田中貴金属工業株式会社の井原康孝は、貴金属市場の最新動向や課題、将来展望に加え、医療機器製造における貴金属の重要性について言及している。

貴金属は現代の医療機器において不可欠な材料の一つである。産業用貴金属製品のグローバル市場開拓戦略を担う井原は、医療機器分野に影響を与える貴金属のトレンドについて解説している。

なお、貴金属とは銀(Ag)、金(Au)、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)の8元素を指す。

医療機器における貴金属の用途

プラチナや金をはじめとする貴金属は、生体適合性に優れ、体内での視認性(X線下での放射線不透過性)、低い電気抵抗、高い信頼性といった特性を備えている。これらの特性により、低侵襲治療に用いられる外科用デバイスや各種インプラント部品に広く活用されている。

また、銀は極めて低い電気抵抗を有することから、検査機器やセンシング用途における電極材料としても多く使用されている。

Maker bands and EP bands

他素材と比較した貴金属の優位性

貴金属は、医療機器に求められる最重要要件である「生体適合性」と「高い信頼性」を兼ね備えている点で優位性を持つ。さらに、X線視認性や優れた電気特性といった機能面でのメリットも大きな強みである。

現在では、新たな合金開発によるさらなる性能向上の可能性についても検討が進められている。

貴金属市場の動向と医療機器への影響

近年、地政学的な不確実性を背景として、金・プラチナ・銀の価格は上昇傾向にある。ただし、こうした価格変動は従来から見られるものであり、現時点で特異な状況とは言い難い。

産業用途における需要は引き続き安定しており、確立されたサプライチェーンを通じて必要な材料供給も維持されている。そのため、現段階において医療機器製造への重大なリスクは顕在化していないと考えられる。

今後のサプライチェーンと技術開発の方向性

今後も地政学的な不確実性が継続する場合、貴金属市場はそれに適応していくと見込まれる。貴金属は希少かつ高価な材料であり、その性能がコストに見合う場合に選択されるという傾向は、今後さらに強まる可能性がある。

短期的には、使用済み医療機器からの貴金属リサイクルの取り組みが一層進展すると予想される。一方で中長期的には、使用量を抑えながら高性能を実現する新材料の開発へと焦点が移行していくと考えられる。

本記事は、Machine Designの許可を得て、Today`s Medical Developmentsの2026年3月10日付の記事を田中貴金属が翻訳・転載したものです。

本記事はToday`s Medical Developmentsに掲載されたものです。詳細はこちらをご覧ください。
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