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これから30年で「金」に起きる3つのこと
「ワールド・ゴールド・カウンシル」は5月、洞察に満ちたレポート「ゴールド2048:今後30年の金」を発表した。人口動態、テクノロジー、経済、政治、社会に関する重要なトレンドを列挙し、世界の金市場への影響を考察するレポートだ。
金業界の専門家だけでなく、世界的に有名なライターやエコノミストを著者として迎え、今後30年の金市場の原動力になると思われる大きな力について論じている。
長いレポートだが、目を開かせてくれるような内容なので、ぜひすべての投資家に読んでいただきたい(全文はこちら)。中身を少しだけ知ってもらうため、投資家の目から見た重要トレンドと、その要点を紹介しよう。
トレンド#1:新興国市場における中間層の台頭
レポートによれば、これからの30年間は、人口動態が世界経済の形成においてますます重要な役割を果たすようになるという。
今後30年に起きる大きな変化は、新興国市場、特に中国とインドでの中間層の台頭だ。これからの17年間、毎年1億7000万人のペースで、アジアの中間層が増えていくという試算もある。
世界最大の金消費国であるインドは、これからの数十年で最も経済成長する国になる見込みだ。もし野心的な政治経済改革を成し遂げることができれば、インドの中間層は、全人口の19%から73%まで急増する可能性がある。
「インドの中間層は、インド経済の原動力になるだけでなく、その購買力は世界最大級の市場を生み出すだろう」とレポートには書かれている。
中国でも中間層は急増している。ただし、インドとは異なり、強い逆風も吹いている。その一つが高齢化だ。中間層が増加したとしても、経済成長は抑制される可能性がある。
金投資家が覚えておくべきこと:
インドと中国は、金の2大消費国だ。両国の中間層が増え、購買力が大きくなるにつれて、金の需要も高まることが予想される。
トレンド#2:金の需給ダイナミクスにおける変化
金の需要を左右するのは、宝飾品と、投資用の地金だけではない。金にはさまざまな工業用途もある。事実上すべての電子機器に、伝導性、耐食性の高い素材として少量の金が使用されている。あまり知られていないが、金は医薬品にも有効利用されている。
それでは、工業用金の需要を刺激すると見られる技術的トレンドについて、レポートから抜粋しよう。
- モノのインターネット(IoT)が拡大することで、あらゆる耐久消費財に電子機器(と金)が使用されるようになる。
- ハイブリッド車、電気自動車(EV)への移行によって、金を使用した高性能な電子部品の需要が急激に高まる。
- 医薬品における金化合物は、臨床試験で有効性が示されている。新しい抗生物質としても期待されている。
- 成長著しいソーラーパネル業界でも、主要な触媒としての金の需要が高まる見込み。
金の用途はほかにもたくさんあるが、工業用途は、総需要のほんの一部にすぎない。金価格を大きく左右するのは投資需要だ。
レポートに寄稿した専門家たちは、今後の金需要に大きな影響を与える要素として、金価格と連動する上場投資信託(ETF)の人気拡大、フィンテックの進歩などを挙げている。テクノロジーによって利便性と費用対効果が高まれば、ミレニアル世代を含むより多くの人が、金を魅力的な投資対象と見なすようになるだろう。
一方、金の供給は大きく制限されている。原因は、経費の増大、採掘量の不足、金価格の低さだ。
レポートは、金供給の現状を以下のように総括している。
これからの30年間、新しい金鉱からの供給は減少すると予想される。原因は経費の増大だ。メタルズ・フォーカス(Metals Focus)の試算によれば、現在でさえ、金価格が1オンス約1500ドルを維持していなければ、新しい金鉱を開発できないという。一方、経費は過去15年間に年平均成長率10%で増大している。さらに、ESG(環境、社会、ガバナンス)コストが増大すれば、将来的には、金価格は必然的にもっと高くなると考えられる。
金投資家が覚えておくべきこと:
こうした制約が原因で、金鉱会社は今後、増大する金需要を満たすのに苦労することになるだろう。つまり長期的には、金価格に上昇圧力がかかるということだ。
トレンド#3:ボラティリティーの拡大
投資環境そのものも、今後30年で様変わりするだろう。人口動態、テクノロジー、マクロ経済のトレンドによって、世界経済の構造的な変化が起きようとしており、この変化は投資家にとっても重大な意味を持つ。
- 先進国では、労働年齢人口が縮小している。労働力不足は、経済成長と株式の利益にマイナスの影響を及ぼす。労働力の供給が減り、賃金が上昇すれば、低インフレ時代が終わりを迎える可能性が高い。
- オートメーションと人工知能(AI)が台頭し、労働者に取って代わることで、政治的・社会的な緊張が高まり、市場のボラティリティーが拡大するだろう。また、欧米諸国が再分配政策をさらに推し進める可能性があり、それに伴う増税によって、投資家の経済的制約が大きくなることも考えられる。
- 人口動態の変化は、世界の勢力図に多大な影響を及ぼすだろう。高齢化、労働力不足、経済成長の停滞が原因で、欧米諸国の負担はどんどん大きくなる見込みだ。反対に、インドや中国はこれからの数十年で、人口動態の黄金期を迎える。人口動態は経済成長に直接的な影響を与えるため、経済大国が西から東に移動するという未曽有の変化を目撃することになる可能性が高い。その結果、地政学的な緊張が高まるだろう。
- 投資においてビッグデータやAIの導入が拡大することで、流動的な投資市場での自動取引が増加する見込みだ。自動化やデータの迅速な拡散によって、投資スタイルの相互関連性が高まり、真の多様化を実現することが難しくなるだろう。
金投資家が覚えておくべきこと:
これからの30年は、政治的にも金融的にも、かなり不安定な時代になるだろう。歴史が証明しているように、金は不安定な時代にこそ最高の力を発揮する。つまり金は、時の試練を経たあらゆる危機への防衛手段ということだ。
確実な投資
これらの大きなトレンドが示唆しているのは、金は長期投資の対象として確実性が高いということだ。不確実な未来が待ち受けている今、ポートフォリオのボラティリティーを最小限に抑えることは、投資利益を最大限まで高めることと同じくらい重要だ。そのようなときこそ、金地金が頼りになる。
約5000年前から、金は交換媒体として使用されてきた。ほとんどの紙幣と異なり、金の価値は決してゼロにならない。しかも、金は株式市場と同じ動きをしない。実際、過去7度の景気後退のうち、金価格は5度上昇し、投資家たちが株式で負った損失を相殺してきた。
以上の理由から、投資可能な資産のうち、5~10%を金に割り当てることをお勧めする。政治的・金融的な緊張が間近に迫っているなかで、金は心の平和をもたらしてくれるだろう。
最近、金は人気が低く、そのおかげで、金価格は2018年最安値の水準まで低下している。つまり、金投資を開始するか、投資割合を増やすのに絶好のタイミングということだ。
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おことわり: 本記事に記載されている意見や見解は著者のものであり、equities.comの意見や見解ではありません。また、著者の発言は正式な推薦ではないため、投資に関する決定を行う際は、投資アドバイザーに相談することをお勧めします。免責事項の全文は、http://www.equities.com/disclaimerでご確認ください。
この記事は、equities.comのオリビエ・ギャレットが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。