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田中貴金属グループ チップ配線の微細化を支えリサイクルを推進 汎用品から最先端まで、貴金属が支える半導体の未来

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希少な素材の安定供給を担う

田中貴金属グループの半導体製品事業への参入は1960年代と歴史は長い。トランジスタ向けに、導電性と化学的安定性が高く、加工しやすい特長を備える金ワイヤを供給することから始まった。現在では、銅やアルミの製品も含め、半導体のボンディングワイヤ供給では世界でもトップクラスのシェアを誇る。

半導体の需要が増大の一途をたどる中、貴金属は原料となる鉱物の産出地域・量が限定される。求められる貴金属素材を、必要な量だけ、タイムリーに供給する役割を担うことができるのは、同グループのような貴金属のプロ集団ならではだ。

また、貴金属素材のサプライチェーンにおいて素材自体が希少であるため、リサイクルを念頭に置いた生産・流通の仕組みは極めて重要である。同グループでは貴金属リサイクルは中核事業の一つであり、リサイクル拠点のグローバル展開を推進している。「製造工程で発生するプロダクションスクラップや、市場で役目を終えた半導体から貴金属成分をリサイクルする体制は、希少な原料を扱う当社にとっては昔から前提となっています」と田中電子工業でボンディングワイヤ開発を統括する山下勉氏は語る。昨今の社会ニーズを受けて、100%リサイクル由来の素材でできた金ボンディングワイヤも提供している。まさに、素材リサイクルのトップランナーであると言えるだろう。

また汎用チップ向け領域のワイヤ技術は成熟期にある一方で、パワー半導体向けには新たな技術導入が必須だ。大電流を流すため、従来は安価で太い配線を形成できるアルミワイヤが使われることが多かったが、SiC(シリコンカーバイド)ベースのデバイスが実用化し、耐熱性が高まったことで、太い銅ワイヤが利用されるようになってきた。

ボンディングワイヤでは、信頼性の高い結線が重要だ。素材によっては硬さや柔らかさが求められ、素材の特徴を活かしつつ使いやすく調質することが求められる。同グループでは、独自技術とノウハウで、顧客のニーズに応じたワイヤを開発、供給する体制を整えている。

ボンディングワイヤ

大量生産する汎用品で広く利用される実装部材、
ボンディングワイヤ

ボンディングワイヤとは、半導体チップ上の電極とパッケージ・リードフレームをつなぐ導電線である。半導体業界の黎明期から主に金ワイヤが使われてきたが、現在は積層メモリーや車載向けパッケージなどの一部を除いて、パラジウムを被覆した銅ワイヤなどが活用される。近年、最先端チップでは、バンプなどワイヤボンディング以外の実装技術が利用されるようになったが、汎用品を中心に今もワイヤボンディングは広く利用されている。ワイヤの需要は年率数%のペースで高まり続けている。

図1

貴金属の力で半導体の進化を支える

他方で、近未来の最先端チップの進化に向けて、新たな貴金属の活用に期待が集まっている。

1.4nmノードのチップに形成する最も微細な配線の幅は10nm以下となり、それまでの銅配線に替えて、ルテニウム配線の導入が検討されている。配線の微細化に伴い、より電気抵抗が低く、動作時の高温環境下で劣化を引き起こす拡散現象が起きにくい物性を備えるルテニウムへの期待が高まっている。

田中貴金属グループでは、CVD(化学気相成長法)やALD(原子層堆積法)の手法でルテニウム薄膜を形成する材料であるプリカーサーを開発・提供している。独自開発品である「TRuST(トラスト)」は蒸気圧が極めて高い特性があり、チップ上の細く深い溝の中に、均一で被覆性の高い高品質なルテニウム薄膜を形成可能だ。「半導体メーカーごとに成膜工程の手法や条件は異なり、プリカーサーの要求仕様も千差万別。パートナー企業や製造装置メーカーとの密な連携による作り込みが重要になります。私たちは、20数年間にわたってプリカーサーの開発を進め技術を蓄積してきました。昨今の半導体の進化に応じて、今ようやく社会で花開く時がきたと感じています」と田中貴金属工業の中川裕文氏は言う。

ルテニウムは、金やプラチナよりもはるかに希少な貴金属である。しかも、プリカーサー生産時や成膜工程での、投入量に対する実効的利用量の割合も少ない。同社では、回収・再利用できる技術を確立しており、トータルソリューションを提供可能である。

「常に技術とビジネスの両面で変化し続ける半導体産業では、市場の動きに迅速・的確に応えていくことが最重要と考えます。時代の要請を感じ取り、お客様の声を確実に受け止めながら、貴金属のプロ集団だからこその提案をしていきます」とTANAKAホールディングスの安部尚子氏は述べる。半導体産業における同グループの存在感は、ますます大きくなっていきそうだ。

プリカーサー

チップ配線の微細化に欠かせない
成膜工程の反応前駆体、プリカーサー

プリカーサーとは「前駆体」を意味し、成膜工程などにおいて目的物質を生成する前段階となる物質のことを指す。CVDやALDといった手法による成膜工程では、有機金属化合物の液体プリカーサーをガス化させてチャンバーに導入して、同時導入された他の物質や成膜面上の物質と熱、プラズマ、酸素ガス、水素ガスなどで熱やプラズマで分解させて金属反応させて薄膜を形成する。反応を促進するための反応ガスには酸素や水素などが用いられる。配線用薄膜の形成では、微細で深い溝に均一に薄膜を形成できるガス化後の蒸気圧の高いプリカーサーの利用が求められる。

図2
ボンディングワイヤ開発を統括する田中電子工業 山下勉氏(写真右)、プリカーサー開発を統括する田中貴金属工業 中川裕文氏(写真中央)、TANAKAホールディングス 広報・広告部長の安部尚子氏(写真左)

この記事は、日経BPの許可により、2024年11月25日より「日経クロステック(PRlink」に掲載された記事広告を転載したものです。