この問題の解決に役立つ優れた新技術は数多く開発されているが、インフィニオン・テクノロジーズ(Infineon Technologies)はこのほど、極めて小型ながら、少なくない金額を節約できる可能性をテック大手にもたらす製品を完成させた。
この新製品は、「TDM2254xD」シリーズと呼ばれるデュアルフェーズ電源モジュールで、インフィニオンのパワー半導体「OptiMOS MOSFET」テクノロジーと、革新的なパッケージング、それに独自の磁気構造を利用することで、電気性能と熱性能を高めている。
大幅な省エネを実現
発表によれば、このモジュールはインダクタ設計の最適化により、パワーステージからヒートシンクへの熱伝導を大幅に効率化するという。フットプリントが小さく、最大160Aのピーク電流をサポートできる能力があるため、電力伝送損失を減らし、電力密度を高めることが可能だ。その結果、全負荷時の効率は2ポイント増の89%となり、全負荷時の動作温度は摂氏5度低下するとインフィニオンは述べている。
同社によると、これらのモジュールをプロセッサーの近くに配置すれば、電力伝送損失が軽減され、2000A超の電流を達成できるという。
TDM2254xDデュアルフェーズ電源モジュールは、インフィニオンのパワーコントローラー「XDP」と連動して、高性能コンピューティングプラットフォームの電圧調整を効率化することから、大幅な省エネにつながる可能性がある。
一般的なデータセンターに配備されるプロセッサーの数は、およそ10万基だ。EE News Europeの計算によれば、プロセッサー1基当たり130Wを節約すれば、1つのデータセンターでメガワット規模のエネルギーを節約できる。そのため、システムの耐用期間中に、CO2排出量を削減しながら数百万ドル(数億円)の運用コストを節約できるという。
インフィニオンで、電源およびセンサーシステム担当バイスプレジデントを務めるアタル・ザイディ(Athar Zaidi)氏は、「インフィニオンは、ユニークな『P2S(Product to System)』ソリューションを、当社の最先端の製造技術と組み合わせることによって、他社にはない性能と品質を誇るソリューションを大規模に提供することができます。それにより、顧客は総所有コストを大幅に削減できます」と述べる。「このたび市場に投入する当社のソリューションは、コンピューティング性能を加速させ、デジタル化と脱炭素化という当社の使命をさらに推し進めるものです」
この記事は、TechRadarのWayne Williamsが執筆し、Industry DiveのDiveMarketplaceを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまでお願いいたします。
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