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ボンディングワイヤー強化 田中電子工業

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2021年8月19日 化学工業日報

田中貴金属グループの田中電子工業は、世界トップシェアのボンディングワイヤーで製品高度化を進める。
金属種や線径などフルラインアップを持つ強みを生かし、銅の採用が始 まるパワー半導体に加えて次世代通信、車載など成長市場を捉える。リチウムイオン2次電池(Lib)などの非デバイスや、ワイヤー技術を生かした新領域開拓も推進する。世界5拠点体制によるBCP(事業継続計画)確保も生かし、長期的に右肩上がりの世界市場を捉えていく。

BCP対応も訴求
田中電子工業は国内1拠点、海外4拠点の製造体制でボンディングワイヤーを展開。金、パラジウムコーティング銅(PCC)、銅、銀、アルミなど全ラインアップを持つほぼ唯一のメーカーで、長さ換算で25〜35%のシェアを堅持する。
2020年は後半から追い上げ19年水準で着地。21年は物流混乱などもあり3月をピークに横ばいで、堅調な需要継続を見込む。ダイ間接続などに用いられるNANDフラッシュメモリーの伸長も追い風とみる。
ロジックデバイスではワイヤーを用いない、配線取り出し部が基板側にあるフリップチップ(FC)などフェイスダウン型デバイスが増加。一方ワイヤーを用いるフェイスアップ型は熱を基板に 逃がしやすく、先端領域でも大電力向けなどで需要が継続している。半導体市場全体の長期成長が見込まれるなか、製品高度化や金属溶融技術を生かした高純度品提供、実績を生かしたきめ細かな対応で強みを出す。

世界トップのボンディングワイヤーメーカーとして成長市場を捉える

次世代通信やパワー半導体 成長市場捉える
パワーデバイスでは太物やリボンを含めた製品提案を推進。多用されるアルミ品の伸長に加え、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)などの最先端品で電気伝導性に優れる銅の利用が始まり、炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)なども有望視する。銅品は硬く実装が難しいため、実装協力にもノウハウを活用する。
通信デバイスでは5G、6Gなどの次世代通信向け研究開発が進行。高周波(RF)デバイスは電流が導体内部ではなく表面に流れる表皮効果があり、デバイスメーカーと連携してワイヤーの検証を進める。通信用チップは小型化でフェイスダウン型にするにはコストの課題があり、多周波数・大出力化も進むためワイヤー品の増加を見込む。
車載では従来デバイスに加えて、ADAS(先進運転支援システム)が拡大。Libも電極間などにワイヤーボンディングが使われ、電気自動車(EV)シフトによる大幅な数量増をにらむ。求められる信頼性も1ケタ 向上しており、世界全体で川下連携を進めることで高機能化に応える。
新領域開拓も推進する。医療用極小リボンなどを有望視し、田中貴金属グループ内で連携して市場探索を進める。コロナ禍にともないオンラインでの引き合いも増えており、ウェブサイトの充実化など対応を強化。飛行機減便などの不安定要因を世界拠点体制で吸収しながら、製品開発・安定供給・ボリューム対応の全面で存在感を出していく。