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About Elements
美しい未来のために、
社会を支えるテクノロジーを
TANAKAは、「社会価値」を生む「ものづくり」を世界へと届ける「貴⾦属」のスペシャリスト。
そして、「Elements」は、わたしたちのビジネスや価値観に沿った「テクノロジー」や「サステナビリティ」といった
情報を中⼼に提供しているWEBメディアです。
急速にパラダイムシフトが起きる現代において、よりよい「社会」そして豊かな「地球」の未来へと繋がるヒントを発信していきます。
製品の発見からイノベーション創造の場に 革新的なコンテンツプラットフォーム『Elements』の軌跡
創業130年を超える田中貴金属グループは、同社の産業事業グローバルサイト、またサイト内で展開するオウンドメディア『Elements(エレメンツ)』の運営によって、顧客エンゲージメントと海外市場におけるデジタルプレゼンスを変革した。特に2015年にスタートした『Elements』は、良質なグローバル・コンテンツと内製のコンテンツを融合させることで、従来のマーケティングを超越したメディアを実現している。2022年の1年間で英語版サイトのアクセス数を倍増させたオウンドメディアはいかにして生まれたのか。『Elements』の制作と運営を率いてきたTANAKAホールディングス(株)、広報・広告部の小柴恭平が、そのプロセスや「200年企業」へ向けたコミットメントをどのように推進しているのかを語る。
製品の発見ではなく、イノベーション創造の場を提供する
「私たちが戦略として掲げたのは、ただ製品を発見する場ではなく、お客様が新しいイノベーションを実現するためのプラットフォームをつくることでした」と、小柴恭平は『Elements』の野心的なビジョンについて振り返る。
▲ TANAKAホールディングス(株) サステナビリティ・広報本部 広報・広告部 小柴恭平
2015年にスタートした同オウンドメディアは、コンテンツマーケティング(広告ではなく、自社制作のコンテンツによるマーケティング手法)を活用したWebサイトだ。『Elements』が一般的なオウンドメディアと決定的に異なる点は、田中貴金属グループが掲げるスローガン「貴金属を究める」を、世界各国のメディアから集められた「キュレーションコンテンツ」と、自社の情報を発信する「TANAKAオリジナルコンテンツ」で表現し切っている点にある。
「貴金属は、あらゆるイノベーションの核心にあるものです。メディア名に冠した〈Elements〉の由来でもある、金、銀、プラチナ、パラジウムを含む8つの元素(エレメンツ)は、AIをはじめとする最先端のコンピュータ産業を支える半導体、21世紀以降の移動を革新するEVなどを根底から支える存在です。当社とともにどんなイノベーションを実現できるか、お客様にその可能性を探求し、発見していただける場にしたいと思い『Elements』での発信を続けてきました」と小柴は語る。
田中貴金属グループが手がける事業は大きく分けて3つある。個人向けに貴金属を提供する「資産事業」、ジュエリーなどラグジュアリー産業を支える「宝飾事業」、そして半導体をはじめとする各産業に対して貴金属を提供する「産業事業」だ。このうち産業事業に関して『Elements』が生まれる以前は、Webサイト上で製品情報と拠点などの簡単な企業情報を掲載するに留まっていたという。
「それまでのお客様はサーチエンジンで製品を検索し、当社のことを知っていただくのが主流でした。しかしそれだけでは、製品のことしか知っていただけない。当社には貴金属事業を通して先端産業に関わっていること、環境問題やエネルギー対策、リサイクルへの積極的な取り組みを行い、より豊かで持続可能な社会を目指していることなど、多様な側面があります。これらをより深く、多くの人に知っていただきたいと考えています」
現在、最新技術や各産業のトレンドなどを世界中から集めたキュレーション記事や、田中貴金属グループの製品や技術、企業としての取り組みをあらゆる切り口で発信する、充実したTANAKAオリジナルコンテンツを継続的に更新。これまでよりも広範囲のユーザーが来訪し、『Elements』産業事業グローバルサイト本体への主たる流入経路を担っている。
コンテンツドリブンでグローバル戦略を実現
『Elements』の特徴のひとつであるキュレーションコンテンツは、海外の経済、科学、テクノロジーと貴金属の交差点にある最新ニュースを、専任の科学記事の専門家が選定している。いわば、貴金属のイノベーションの情報が世界中から集まる唯一のニュースルームなのだ。これらの記事は英語でも公開されており、同社のグローバル戦略にも寄与している。
「現在、当社産業事業サイトの英語版へのアクセスは、アクセス全体の約80%を占めており、その多くがElementsの記事経由のものです。当社はコンテンツドリブンなオウンドメディア運営によって、グローバル戦略を実現できていると考えています」と小柴氏は話す。
2021年度から2022年度にかけて、英語版サイトのアクセス数は2倍に増加したという。「キュレーションコンテンツの本質は、海外の地域経済と当社を、情報の信頼で結ぶということです」と小柴氏はこの成功を分析する。イギリスを代表する新聞社である「The Guardian(ザ・ガーディアン)」やアメリカを代表する金融、経済、テクノロジー関するニュースを提供する「Bloomberg(ブルームバーグ)」など、一流のジャーナリストが取材した質の高いコンテンツが並ぶ。これらの高い信頼性を持つニュースが、世界と田中貴金属グループを結び、新たなビジネスを開拓しているのだ。
「高い信頼性を持つコンテンツをきっかけに当社を知っていただき、ビジネスパートナーになれることはまさに理想的なグローバル戦略です。『Elements』は、田中貴金属グループのグローバルブランドとしての地位を確固たるものにする上で、重要な要素になっています」と小柴は話す。
情報感度の共有が企業としての信頼につながる
田中貴金属グループの情報感度を共有することも、『Elements』で重視しているポイントだという。『Elements』では、スマートフォンや半導体などのコンピュータ産業のトップ企業の動向はもちろん、電気自動車や宇宙開発など、次世代産業を担う企業の動向も常に発信している。それらに加え、マサチューセッツ工科大学(MIT)やスイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH)など、世界トップクラスの大学で行われている最先端の研究成果、中でも、これからの産業をリードする可能性のある研究を厳選し、紹介している。
「当社のお客様は、企業で新しいイノベーションを開拓している新規事業開発部署の方や研究職の方も多いです。そうした、情報感度が非常に高い方々にとっても有益な情報提供を行っています。世界中の最先端の研究を紹介することは、言い換えれば田中貴金属グループの情報感度を共有するということでもあるので、常に意識しています」
情報感度に力を入れるのはTANAKAオリジナルコンテンツでも同様だ。「私たちは、『Elements』におけるキュレーションコンテンツを論理的な思考を司る“左脳”的なもの、TANAKAオリジナルコンテンツを感覚や感性の思考を司る“右脳”的なものと位置づけています。当社の研究者をはじめ、さまざまな役割を担う社員へのインタビューを通じて、彼らが日々の業務で抱く情熱やビジョンを深く掘り下げ、読者であるお客様に田中貴金属グループとしての思いが伝わるように工夫しています」と小柴は語る。
▲ 小柴は同じく広報・広告部の加藤理恵(左)、島野和子(右)とともに、田中貴金属グループの広報活動に励む
『Elements』は、イノベーションに対する深い理解と共感を促進し、知識と感性の融合を図る。これによって、情報感度を共有できる優良なビジネスパートナーを開拓していると言えるだろう。
「200年企業」としての社会対話を生み出す
『Elements』が実現しているもうひとつのコミュニケーションは、外部メディアとのコラボレーションだ。「お客様が最も知りたいのは、“企業が今、何を考えているか”ということです。それを伝えるためには自社からの発信だけではなく、外部メディアとのコラボレーションも重要です」と小柴は振り返る。
これまで、ニューヨークを拠点にビジネス・経済に関するニュースを提供している『Business Insider』、国内では『日経ビジネス』などとコラボレーションし記事制作を行ってきた。これにより、Elementsではアクセスできない顧客にリーチすることに成功した。
たとえば、田中貴金属グループが提供する、100%リサイクル材のみを利用した再生貴金属材「RE(アールイー) シリーズ」を紹介する記事が『Business Insider』に掲載され、多くの問い合わせを生んだ。また環境問題やエネルギー対策、リサイクルを通したサステナビリティに関する取り組みも『日経ビジネス』に取り上げられたことで、社会認知の拡大に貢献したという。「外部メディアとの連携は、集客を超え、社会や世界との新しい接続点を模索することにもつながります」と話すように、小柴はあらゆるコミュニケーション手法を取り入れることで、老舗企業である田中貴金属グループのさらなる発展の一翼を担っている。
「私たちは今、200年企業となるべく動いています」──最後に小柴は、1885年に創業した田中貴金属グループの、これからのメディア戦略についてこう語る。
「当社は2085年に創業200年を迎えます。200年企業を達成するためは、より多くの、新しいお客様に、新しい産業をともにつくっていくパートナーとして当社のことを知ってもらわなければなりません。私たちはこれからも“貴金属を究める”ことに変わりはありません。ただ、お客様が当社を知る方法は、日々変わっていきます。それらの変化に敏感になりながら、お客様と、そして社会との対話を進めていきたいと思っています」