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GX推進やEV普及を支えるパワー半導体の進化。その土台を支える素材開発の現状に迫る

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アメリカ、中国、インド、それぞれの思惑とは

安部:パワー半導体の研究開発は長らく日本がリードしてきましたが、現在では、欧州、米国、中国なども力を入れている状況です。世界各国での業界動向についてお聞かせいただけますか。

南川:中国はEV車で世界の覇権を取っていく考えです。EV、HV、PHEVをすべて合わせたxEVは中国が世界中で一番多く、新車の約40%近くがxEVです。日本も高い方ですが30%くらい。欧州や米国は20%くらいです。

だから中国はパワー半導体をたくさん使いますし、国を挙げて開発にも力を入れています。

安部:技術開発や製造地と、需要地としての国の動向は紐づいていると思われますか?

南川:4〜5年前までは半導体はグローバライゼーションが進んでいて、コストの安いところや、技術者がたくさんいるところのように、適材適所で製造し世界中に供給をするサプライチェーンが整っていました。

それが3年前からガラッと変わりました。半導体は経済安全保障上、最も重要な技術であり、デカップリングと言われているように、技術は出さない。例えば米国は中国に対してとても厳しい規制をかけているわけです。

安部:米国の規制は、今後も当面維持されるという予測でしょうか。

南川:おそらく長期間続くでしょう。昨年の12月にアメリカの議会から「リセット・プリベント・ビルド」というレポートが超党派で出ています。政権が変わったとしても変わらないアメリカの総意になります。

リセットは、中国とのビジネスも見直そうということ。プリベントは、技術をもう出さない。ビルドは、中国とのビジネスが縮小するために替わりの新しい市場の立ち上げが必要ということです。それがグローバルサウスであり、インドですね。

安部:なるほど。インドに対する期待の高まりについてはどうお考えですか。

南川:結論から言うと、本格的に動き出すと思っています。それはアメリカの考え方が大きな原動力、サポートになるということと、インド政府が今後2〜3兆円という規模の補助金をつけると決めていることも大きいです。

ただ時間はかかります。中国も半導体産業がここまで大きくなるのに20年近くかかりました。だから、それより早くても、10〜15年の期間は必要になります。

安部:過去と比べると、今回のインド政府の補助金の額はインパクトの大きなものなんですか。

南川:大きいです。過去は数百億円から1000、2000億円くらい。今回は2〜3兆円ですから規模は桁違いです。新たな集積地も今整備中で本格的にやると言っています。

中国は人口が伸びず経済がスローダウンしてきているので良いタイミングです。今まで中国が世界の成長エンジンの1つとして大きかったのですが、それが少し弱くなったいま、世界中が次のエンジンを欲しがっている状況です。

安部:生産拠点というだけではなくて需要地としてインドを捉えているということですね。

南川:電子機器が成長するにあたり、人口や世界のGDPは非常に相関性が高いです。

人口が増えればGDPは増えます。GDPが増えれば、消費が増えます。世界のGDPの中の約50%が個人消費です。個人消費でパソコン、スマホを買う、家電を買うということで半導体の需要が伸びます。

さらに、今後はDX(デジタルトランスフォーメーション)やGX(グリーントランスフォーメーション)の分野での需要も伸びていきます。これは個人ではありません。国の政策でどこに投資をするという話であって、インフラに近いです。

今までの個人消費だけではなく政府の消費という成長ドライバーが出てくるということだと思っています。

長期的にはGDP、電子機器、半導体の相関性は存在する

市場規模の拡大ペースの加速が2020年代後半ぐらいからだと見ていますが、このあたりからやはりすごく電力消費が増える。ここはAIに起因します。だから電力消費を抑えるためにも材料は大切です。

安部:次の材料は絶対必要になってくる。

量産化に向けたフェーズがもうSiCは始まっていますし、GaNはもう少しだけ時間がかかるとは思っていますが、中期的に見ればそのトレンドは間違いないと思います。

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