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貴金属供給に対する市場主導型ソリューション:個人の視点から

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Joaquin Corbalan P/シャッターストック社

この記事は、「Resource Recycling」誌の2024年9月号に掲載されたものです。すべての印刷コンテンツを利用するには、今すぐ定期購読をお申し込みください。

気自動車、半導体、燃料電池、バッテリーパネル、医療機器、およびその他の製品や部品の需要が世界的に高まっていることから、貴金属の需要も高まっている。これらの金属は、優れた電気伝導性、耐食性、硬度、およびその他のさまざまな貴重な特性を持っているので、多種多様な製品を製造するメーカーに好まれている。

一方、貴金属は限られた天然資源である。たとえば、南アフリカの鉱山では、鉱床に到達するために2~3キロも地中を掘り進むことが珍しくない。世界中の主要な鉱山事業の多くは、そのライフサイクルが進んでいる。新たな供給源の探索が続けられているものの、その代償は非常に大きい。

もちろん、貴金属の不足が迫っていることは、単に産業需給という観点からだけではなく、環境や人間の健康にも壊滅的な影響を与えるという点も考慮すべき問題である。2022年2月の英国議会への研究報告によると、「採掘および選鉱には、乾燥地域も含め、大量の水が消費される。鉱山からの排水は、水路の深刻な汚染をもたらす可能性がある。この産業は、金属を生産するために毎年世界の総エネルギーの8%超を使用し、年間温室効果ガス(GHG)排出量の10%に寄与している。鉱山廃棄物の保管が不適切なことにより、人道的・生態学的災害が引き起こされている。」

特に貴金属の採掘は、長年にわたって確立され、理解されている方法と、高い安全基準を用いるので、一部の卑金属やレアアースの採掘事業に比べると環境問題への影響ははるかに小さい。しかし、2023年に国際白金族金属協会(IPA)が発表した研究によると、再生貴金属の二酸化炭素排出量は、依然として一次採掘の排出量よりも90%以上少ない。

貴金属の回収と採掘

金、イリジウム、オスミウム、パラジウム、プラチナ、ロジウム、ルテニウム、銀など、回収可能な貴金属は非常にたくさんあるが、現在は廃棄されている。

世界保健機関(WHO)は、電子機器廃棄物(Eスクラップ)であるコンピュータ、家電製品、医療機器、および携帯電話などを、「世界で最も急速に増加している固形廃棄物」と呼んでいるが、そのうち正式に回収・リサイクルされたことが記録されているものは17.4%にすぎない。Eスクラップには通常、素材の種類にもよるが、金や銀などの貴金属や白金族金属が含まれている。

これに対し、世界中の工業生産により排出される廃棄物や使用済み触媒の大部分は、回収可能な金属の供給源であり、すでにリサイクルが進んでいる。

採掘される貴金属に対し、さまざまな方法で回収される貴金属の割合がたとえわずかに改善するだけでも、莫大かつ多様な、広く共有される利益がもたらされるだろう。これまでは、貴金属の回収に関連する相対的な複雑さにより、このプロセスは、必要な資源の獲得に向けた業界の計画において限定的な役割しか果たしてこなかった。しかし、市場主導のトレンドはこの状態を変えつつある。