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パワー半導体用AgSn TLPシート

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引用元:2025年5月6日
PCIM Magazinelink

田中貴金属で産業用貴金属事業を担う田中貴金属工業は、パワー半導体パッケージ製造におけるダイ接合用に設計されたシート状接合材「AgSn TLPシート」を開発したと発表した。本製品は 、ヒートシンクの大面積接合では、熱界面材料(TIM:電子機器で発生する不要な熱を放散させるために材料間に挿入する熱伝導材料)の代替材としても期待されており、さらなる用途拡大が見込まれている。

大電流大型シリコンチップの接合を実現するシート状接合材

近年、電気自動車、ハイブリッド車、産業インフラ等の用途を中心に、大電流パワー半導体に対する需要が高まっている。そのため、大型シリコンチップの接合においては、高い信頼性を確保しつつ、大面積接合を可能にする材料が求められている。今回発表したAgSn TLPシートは、最大20mmの半導体チップの接合に使用 することが可能である。さらに、3.3MPaという低圧力での接合が可能であり、半導体製造における歩留まり向上にも貢献する。

低温接合および高耐熱性でパワー半導体の熱対策を強力にサポート

パワー半導体をはじめとする半導体デバイスには、高温による故障や寿命短縮を防ぐため、高い耐熱性が要求される。現在、パワー半導体パッケージの製造で主に使用されている接合材としては、環境負荷の観点から代替が進められている高鉛はんだがある。鉛はRoHS指令の規制対象ではあるものの、科学的および技術的に代替が困難な用途については、有効期限内での使用が認められている。ただし、現在は有効期限の除外のため、代替材開発が進められている。 その他、耐熱性の低いSACはんだ(スズ、銀、銅を含有するはんだ材料)、および銀(Ag)焼結材料なども使用されている。本製品の加熱温度は250℃であり、液相拡散接合が可能である。液相拡散接合(TLP接合とも呼ばれる)とは、拡散接合を行う際、接合界面に挿入した金属等を一時的に融解、液化させた後に、拡散を利用して等温凝固により接合する方法である。接合後の耐熱温度は480℃に達し、耐熱性は従来製品を上回る。また、最大50MPaの接合強度を維持することが可能なため、様々な被接合材にも使用することができる。さらに、本製品は鉛フリー接合材であり、3,000サイクルのヒートサイクル試験にも合格する、高い接合信頼性を備えている。

大面積接合が可能であることから、本製品は、 パワー半導体用のダイ接合材としての用途に加え、TIMの代替材としての使用も期待されている。半導体パッケージの製造においては、熱伝導率の高い各種材料が開発されてきているが、TIMの熱伝導率の低さが、熱設計全体における課題となっている。また、本製品は、50mm超の大面積TIMの接合を可能にする高熱伝導性接合材であり、半導体パッケージ製造における熱対策への貢献が期待される。

画像提供:田中貴金属工業

当社の最新の投稿は、PCIMが発行するPCIM Magazineの、
“Hub for Power Electronics”を参照。

画像提供:Mesago Messe Frankfurt GmbH / Arturo Rivas Gonzalez
URL:https://pcim.mesago.com/nuernberg/de/pcim-insights/pcim-magazine.html