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中国の大気汚染との戦いが、パラジウムを“世界最強”の金属にする
(Bloomberg)――パラジウム価格が、記録的な勢いで高騰中だ。供給不足であり、強気相場は始まったばかりだという見方に、投資家たちは賭けている。
自動車の公害防止装置に使用されるパラジウムは2018年、ニューヨーク貴金属市場で9%以上も価格が上昇し、主要メタルの中で最も高いパフォーマンスとなった。需要が急増しているのは、スモッグ削減に取り組む中国のおかげだ。汚染基準が厳しくなったため、自動車メーカーが排ガス浄化装置である触媒コンバーターに使用するパラジウムの量が増えている。
世界全体のパラジウム生産量が、需要の高まりに追いついておらず、シティグループなどは、今後も価格はさらに上昇すると予測している。また、長期にわたる価格高騰を受けてヘッジファンドも投資しており、3月初旬以降、貴金属分野において最も強気な姿勢となっている。
7300億ドル(約82兆8300億円)を運用するアバディーン・スタンダード・インベストメンツの投資戦略ディレクター、マックスウェル・ゴールドは、「マーケットの基本的な見通しはきわめて明るい」と話す。「パラジウムは8年連続で供給不足に陥っており、それは今後も変わらない見込みだ。鉱山生産だけでなく、在庫減少による供給問題を確実に抱えている」
パラジウムは取引量の少ないマーケットだ。同種の貴金属プラチナと同様、生産国が集中しており、ロシアと南アフリカの両国で、世界全体の供給量の約4分の3をまかなっている。
自動車業界からの需要
調査会社CPMグループによれば、パラジウム需要の70%近くが自動車業界で発生している。自動車セールスは、大半の地域で比較的堅調だ。おかげで、世界的成長に関する不安の中で多くの工業向けコモディティの価格が下落する中でも、パラジウムの価格は上昇している。
サプライヤーが限られているため、パラジウムを使用する企業などは、上場取引型金融商品(ETP)に助けを求め、必要なパラジウムを借り入れている状況だ。製造業者は地上在庫を探しており、パラジウム上場投資信託(ETF)におけるパラジウム現物保有量は2009年以来の最低水準に押し下げられているとゴールドは言う。
こうしたパラジウム市場における強気の見通しに拍車をかけているのがヘッジファンドだ。米商品先物取引委員会(CFTC)が11月16日(現地時間)に公表したデータによれば、11月13日に終わった1週間において、資金運用会社は2週間連続で、先物オプションのネットロング(買い持ち)ポジションを、3月6日以来最高の12837まで積み上げた。
パラジウム先物は2018年11月、ニューヨーク市場で5.2%上昇。価格は11月16日の取引で1オンス1168.30ドルと過去最高を記録したが、11月19日は1161.90ドルとなった。
取って代わられる恐れ
需要を脅かすひとつの要因が代替品だ。パラジウムはこれまで通常、プラチナよりも安かったため、プラチナの代替品として重宝されてきた。パラジウムとプラチナは、多くの似通った化学的特性を持っているからだ。ところが、パラジウムが最近になって高騰したことで価格は逆転。いまではパラジウムは、プラチナに代替されるのではないかという脅威にさらされている。
とはいえ、製造業者がそうした変化に対応するには1年半から2年が必要であるため、当面は問題ないだろう、と話すのは、電話取材に応じたニューヨークにあるスタンダードチャータード銀行貴金属アナリストのスキ・クーパーだ。
代替品について言えば、「経済的に可能だとしても、そうすばやく簡単に切り替えられるものではない、と多くの製造業者が述べている」とクーパーは言う。「(パラジウムの)長期的な見通しは依然として明るい。価格リスクは上向きに歪められている」
(第9段落で先物価格を更新した)
記事執筆者の連絡先:Marvin G. Perez in New York at mperez71@bloomberg.net
当記事担当編集者の連絡先:Luzi Ann Javier:ljavier@bloomberg.net, Millie Munshi
©2018 Bloomberg L.P.
この記事は、Bloombergのマーヴィン G. ペレズが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。