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About Elements
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人間の皮膚に近いウェアラブルデバイス「電子皮膚」
「電子的皮膚(Eスキン)」は、薄い皮膚のようなシート状の、装着型の高感度アドオンデバイスであり、皮膚表面に装着することで、正確な生体データを測定できる。
現在開発されているEスキンは、機械的強度や伸縮性といった面でヒトの皮膚に近い特性をもつことになる。さらに、温度や圧力といったさまざまな感覚を測定する機能を備える見込みだ。
デバイスの開発
カリフォルニア工科大学のウェイ・ガオ(Wei Gao)教授は、3Dプリント技術を使って、この新型ウェアラブル・ボディセンサーを開発した。
非常に薄く伸縮性をもつこの電子デバイスのユニークな特徴は、バッテリーを必要とせず稼働することだ。代わりに、Eスキンは体の汗を利用する。この点で、電池や近距離無線通信(NFC:約4センチメートル以内の距離にある2つの電子デバイス間のデータ交換を可能にする通信プロトコル)を必要とする従来の電子機器とは大きく異なる。
Eスキン開発過程の詳細は、以下のビデオで解説されている。
エネルギー供給の仕組み
Eスキンでは、汗の化学的性質を利用して、「Eスキンポンプ」がつくられている。デバイスの燃料電池は、このポンプを通じて、汗に含まれる乳酸を吸収する。
乳酸を空気中の酸素と結合させることにより、水とピルビン酸塩ができる。この反応によって、センサーとBluetooth対応機器を駆動させるのに十分な電力がつくられる。
研究の課題
LaboratoryRootsの取材に答えたガオ教授は、「こうしたウェアラブルデバイスの大きな課題のひとつはエネルギー供給にあります」と話す。
この課題に安定した答えを出すことは、研究に不可欠だった。多くの研究者は電池を使っているが、持続可能性が高いとは言えない。太陽電池を使ったり、ヒトの動作に伴う力を利用しようとする研究者もいるなかで、「わたしたちが知りたかったのは、ウェアラブルを動かすのに十分なエネルギーを得られるかどうかでした。そして答えはイエスでした」と、彼は言う。
未来のロボティクス
Eスキンの開発は、人々の健康状態を測定するのに役立つだけでなく、ヒトに匹敵する環境知覚能力をもつロボットの開発を加速させる。また、次世代の義肢装具への道を開くことにもつながるだろう。
研究論文
今回紹介した研究論文は、学術誌『Science Robotics』に掲載された。タイトルは「Biofuel-powered soft electronic skin with multiplexed and wireless sensing for human-machine interfaces(バイオ燃料駆動で多重無線センシングを備え、ヒューマン・マシン・インターフェイスに適したソフトな電子皮膚)」。
エッセンシャル・サイエンスについて
本記事は、デジタル・ジャーナルの定期コラム「エッセンシャル・サイエンス」の抜粋です。このコラムでは毎週、ティム・サンドル(Tim Sandle)記者が重要な科学のトピックを取り上げています。
前回は、はるか遠くを見渡し、わたしたちの銀河系に注目しました。天の川銀河にある何百もの衛星銀河に関する研究の紹介です(これらの銀河はとても暗く、多くは最近発見されたばかりです)。天文学者たちはこうした研究から、暗黒物質ハローと銀河形成のつながりを解明できると期待しています。
前々回は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と大麻の使用の関係を取り上げ、薬用大麻の使用者は、他の人々よりもCOVID-19発症時に重症化しやすいことを示す医療データを提示しました。問題は彼らの肺か、あるいは大麻そのものにあるのかもしれません。
この記事は、Digital JournalのTim Sandleが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。