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スイスの高級時計業界がロシア産原材料の調達で直面する危機

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スイスのジュネーブで2022年3月30日〜4月5日まで開催された高級時計の新作見本市「Watches and Wonders」では、ダイヤモンドが眩いほどに光り輝いていた。しかしロシアに課された制裁措置により、同国の時計業界は、近いうちに現在よりも控えめなデザインに変更せざるを得なくなるかもしれない。

ロシアはダイヤモンドや金をはじめとする貴金属の主要な供給国だ。高級時計業界の世界有数の展示会である「Watches and Wonders」の出展メーカー各社も、その供給を受けてきた。

ダイヤモンド採掘に関する世界最大の企業集団であるロシアのアルロサ(Alrosa)は、ロシアが2022年2月24日にウクライナに侵攻してから数時間も経たないうちに、米国による制裁措置の対象となった。

米国財務省の数字では、アルロサはロシアのダイヤモンド採掘量の90%、世界では28%を占めている。

スイス税関によると、スイスとロシア間の貿易はそれほど多くはないが、最大の輸入品目は金で、次がプラチナなどの貴金属、その次がダイヤモンド(指輪などに取り付けられていないもの)だという。

スイス時計協会FHのジャン=ダニエル・パーシュ(Jean-Daniel Pasche)会長はAFPに対し、「時計製造業は、スイス経済の他の分野と比べると、2021年の供給問題の影響は小さかった」と述べている。

ただし、もはやその状況が続かない可能性があることをパーシュは認めており、現段階では時計業界が受ける影響を評価するのは難しいと付け加えた。

「備蓄があるのは明らかだが、その後についてはこの紛争がいつまで続くのかに応じて様子を見る必要がある」とパーシュは述べる。

– リサイクルされた金やパラジウムへの切り替え –

スイスの大手高級ブランドのリシュモン(Richemont)は、カルティエやヴァンクリーフ&アーペルなどの宝飾ブランドに加えて、ピアジェやIWCなど8つの高級時計ブランドを傘下に保有している。

リシュモンは、傘下のすべてのブランドがロシアからのダイヤモンド調達を停止したと述べ、率先する姿勢を示した。

リシュモンのジェローム・ランベール(Jerome Lambert)最高経営責任者(CEO)は記者会見で、こうした動きによって、サプライチェーンにはロシア以外の高品質ダイヤモンドを責任あるかたちで調達するという多くの仕事が生まれるだろうと述べた。

金の供給はそれほど大きな問題ではない。リシュモンはこの10年ほどのあいだ、産業セクターや電子機器セクターから購入した、リサイクルされた金を調達してきたからだ。

結婚指輪や婚約指輪などに使われるパラジウムについて、リシュモンは、「制裁措置が決まる前から」リサイクルされたパラジウムを専門とする供給業者に切り替えることを決定していたとランベールは述べる。

– 在庫の枯渇 –

スイスで最も高級なブランドのひとつであるパテック・フィリップでは、備蓄を使ってこの困難を切り抜ける考えだ。

スターン家が同社の舵を取るようになってからの4代目で、現在社長を務めているティエリー・スターン(Thierry Stern)は、「幸い、我々は少量生産だ」と述べる。

「それゆえ、まだ何かが変わったとは感じていない」と、スターンはAFPに話している。パテック・フィリップでは、2022年に6万6,000個の時計を製造する予定だ。

「それにもし特定の宝石が見つからない場合、いつでも彫刻で対応可能」とスターンは言う。パテック・フィリップでは、陶磁器、象嵌(ぞうがん)、ほうろうなど、幅広い分野の技術を活用している。

富裕層の収集家を対象に、年間2,000個の腕時計を生産するニッチブランドのH.モーザーも、ほぼ同様の考えだ。

「材料は事前に購入済み。例えば、2023年に作りたいと思っているケースに必要なすべての金(ゴールド)をすでに購入している」と、エドゥアルド・メイラン(Edouard Meylan)最高経営責任者(CEO)は述べる。

「ただし、おそらく6カ月後には材料が届かないという理由で納期を延ばすよう求める供給業者が出てくるだろう」と、メイランは認めている。

金融サービス企業ケプラー・シュブリューの業界アナリスト、ジョン・コックス(Jon Cox)は、原材料に関する懸念によって「当然価格は上昇する」と述べる。

それでも他の部門に比べて、高級品を扱う企業は顧客にコストを負担してもらえる余地が大きいとコックスは付け加える。

ジュネーブで4月5日まで開催された「Watches and Wonders」には38ブランドが出展。展示された製品はダイヤモンドに縁どられており、好調だった2021年に続き、2022年の同業界の「全般的な上向きムード」を反映していた。

しかしウクライナ侵攻とその影響を考えると、「製品開発は、さらに控えめな高級品に移行するのではないか」と、コックスは述べている。

この記事「Clock ticking on Swiss watches’ raw materials from Russia」は、最初にDigital Journalに掲載されました。

この記事は、Digital JournalでAFPが執筆し、Industry Dive Content Marketplaceを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまでお願いいたします。