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未来の半導体素材「2次元半導体」実現に一歩

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「二次元半導体」はシリコンによるチップに置き換わり、電子デバイスの機能を大幅に進歩させる可能性がある。ただし、障害となる問題は依然として多い。

大きな問題の一つはキャリア移動度(carrier mobility)で、言い換えると、電子が半導体のなかを進むことができる速さだ。二次元半導体はこれが低いことで知られており、そのため技術の向上や現実世界における応用が制限されている。

テキサス大学オースティン校の研究チームは、電子の素早い移動を可能にする可能性のある二次元半導体の材料を、十種類以上見つけ出した。これは電子工学における飛躍的な発展の扉を開く成果だ。

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室温で非常に高いキャリア移動度を示す代表的な二次元半導体

プロジェクト責任者のユアンユエ・リウ(Yuanyue Liu)は、「シリコンを二次元半導体に置き換えることができれば、電力消費が大幅に少ない、より高速な素子につながります」と語る。同氏はテキサス材料研究所と、コックレル工学部ウォーカー機械工学科のアシスタント・プロフェッサーだ。

この研究は、2023年2月22日付けで『Physical Review Letters』誌に公開された。

従来のシリコン半導体と、二次元半導体の大きな違いはその形状だ。二次元半導体のほうがはるかに薄く、一層の厚みは2~3個の原子分しかない。半導体を小型化するための追求が熱心に行われてきているなかで、このような薄さは多くの点で有利となる。

ただし、二次元半導体のコンパクトな性質は一方で問題も引き起こす。電子が窮屈に詰め込まれる結果、あまり自由に移動できないのだ。こうした狭さのなかでは、散乱源(Scattering sources)によって電子がコースから外れやすい可能性がある。そのため二次元半導体は、キャリア移動度が全般的に低く、これが出力と効率を改善することの妨げになっている。

研究チームが見つけ出したキャリア移動度が高い14個の材料に関しては、この問題があてはまらない。独自の特性から、電子の透過性が高く散乱の影響を受けにくいため、電子がコースを外れにくくなるのだ。

これらの材料を見つけるにあたって、研究チームは、既存の材料データベースと移動性の向上につながると仮定した特性のチェックリストとを用いた。その上で、量子力学的手法を使って、材料のキャリア移動度を正確に算出した。

「キャリア移動度が高い可能性がある材料は、多数の中から14個見つかっただけであり、従来の常識が否定されたわけではありません」とリウは述べる。「これは、キャリア移動度が高い二次元半導体を見つけることの難しさを示しています」

次の段階としては、実験研究者と組んで材料を加工し、テストしてこの結果を検証する、とリウは語る。同氏は結果に自信を持っているが、まだ理論の段階であり、現実世界のテストで確かめる必要があると注意を促した。

このプロジェクトには他に、チェンムー・チャン(Chenmu Zhang)、ルオユ・ワン(Ruoyu Wang)、ヒマニ・ミシュラ(Himani Mishra)の各氏が参加している。いずれも、ウォーカー機械工学科とテキサス材料研究所の所属だ。

研究論文:Two-Dimensional Semiconductors with High Intrinsic Carrier Mobility at Room Temperature

この記事は、SpaceDaily.comが執筆し、Industry Dive Content Marketplaceを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまでお願いいたします。