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4本足の犬型ロボットが月を探査する日が来るかもしれない

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4足歩行ロボットはいつの日か、月面での鉱物採掘に不可欠な存在になるかもしれない。
Image Credit: ETH ZURICH / TAKAHIRO MIKI

人類が月面の拠点となる基地を建設しようとしたら、かなりの量の資材が必要となる。ロジスティクスの問題を乗り越えるためには、多額の資金がかかるだろう。仮定の話としては、リターンミッションによって月面で活動する宇宙飛行士の必需品の多くを補充することが可能とされている。しかし、基地の建設や修復工事に使う資材の一部だけでも現地調達できれば、費用と負担を大幅に軽減できる。そのためにはもちろん、現地で材料を採集する本格的なチーム体制の構築が必要だ。そしていずれは、そうしたチームの一部を、4足歩行ロボットたちが担うことになるかもしれない。

2023年7月12日付けで学術誌『Science Robotics』で発表された研究によれば、チューリッヒ工科大学(ETHチューリッヒ)と通称されるスイス連邦工科大学チューリッヒ校の研究者たちは先ごろ、スイスの次世代ロボットメーカー、スイス・マイル(Swiss Mile)が開発した4足歩行ロボット「ANYmal」を3台使用した実験を行なった。研究チームは、スイス各地のさまざまな地形や、ルクセンブルクに拠点を置く欧州宇宙資源イノベーションセンター(ESRIC:ルクセンブルク宇宙局と欧州宇宙機関=ESAが設立したセンター)の屋外で、3台のロボットに一連の活動テストに取り組ませ、その様子を観察した。

関連記事:NASA could build a future lunar base from 3D-printed moon-dust bricks.

チューリッヒ工科大学の研究者たちは、バーゼル大学、ベルン大学、チューリッヒ大学と共同で、それぞれのANYmalをプログラミングし、月面での活動を想定したタスクを実施するよう設定した。1台目は、顕微鏡カメラとスペクトロメーター(分光器)を使って、岩石の種類を特定するようプログラミングした。2台目は、カメラとレーザースキャナーで周辺地形をマッピングして分類するのが仕事だ。3台目に与えられたタスクは、岩石の種類特定ならびに周辺地形のマッピングと分類の両方だった(ただしその精度は、前述した2つのタスクを担った各ロボットと比べて低い)。

「複数のロボットを任務に当たらせることには、2つの利点があります」と、今回の研究に参加した博士課程在学中の研究者フィリップ・アーム(Philip Arm)は説明する。「それぞれが特定のタスクを担うロボットを、チームとして同時に稼働させることができます。また、複数ロボットが任務に当たればチームとして互いの不備を埋め合わせることが可能です」。タスクが重複しているため、3台のうち1台が活動中に機能停止しても任務を完了できるわけだ。

複数ロボットを採用したこの方法により、研究チームはESRICと欧州宇宙機関(ESA)が開催したコンテスト「Space Resources Challenge(宇宙資源チャレンジ)」で優勝を勝ち取った。宇宙資源の活用をテーマにしたこのチャレンジで参加者に与えられた課題は、月面を模したテスト地帯全域に存在する鉱物を発見して特定することだった。優勝チームには、ロボットの数と種類を増やすための資金が1年分授与された。研究者らによると、将来の月面探査チームには、車輪型と飛行型のロボットの両方が加わる可能性があるという。いまのところ、ロボットのタスクと操縦はすべて人間が直接制御しているが、いずれは、ロボットが半自律的に稼働できるようアップグレードしていきたい考えだ。

この記事は、Popular ScienceのAndrew Paulが執筆し、Industry Dive Content Marketplaceを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまでお願いいたします。