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超高温と極度の放射線に耐える、次世代パワー半導体材料「窒化ガリウム(GaN)」の秘めた能力

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超高温と極度の放射線に耐える、次世代パワー半導体材料「窒化ガリウム(GaN)」の秘めた能力
ガリウムの窒化物である窒化ガリウム(GaN)は、ワイドギャップ半導体の材料だ。

1990年代から発光ダイオード(LED)に用いられているGaNは、堅牢な六方晶構造で知られている。シリコン(ケイ素)よりもコンパクトなフォームファクターで大きな電界を扱うことができ、高速スイッチングを実現する。

アップル(Apple)は、2021年の16インチ型「MacBook Pro」で、初めてGaN充電器を採用した。「iPhone 15」を持っている人は、GaN充電器を使っている可能性が高い。

原子炉内の状態の測定

そんなGaNが、これまで考えられていた以上に素晴らしい材料であるかもしれないことが明らかになった。原子炉の冷却システムのモニタリングに使われるセンサーは通常、放射線が原因で精度の面で困難に直面する。そんななか、米エネルギー省のオークリッジ国立研究所(ORNL)の研究チームが、センサーにGaN材料の高性能電子素子を組み合わせることで、この問題が解消することを発見したのだ。

ORNLの材料科学チームは、オハイオ州立大学にある原子炉の中心付近で、GaNトランジスターが機能を維持することを確認した。ORNLのカイル・リード(Kyle Reed)主任研究員は、「この素材は、このような中性子環境に非常に適していることを、我々は示しつつあります」と語る。こうした性能は、原子力施設では重要となる。センサーで状況を初期からモニタリングすることによって、機器故障や原子炉停止を防ぐことができる。

原子炉冷却システムを監視するセンサーのデータ処理は現在、長いケーブルでつながれたシリコンベースの電子機器に依存しており、これが精度低下とノイズを招いている。「我々の研究によって、稼働中の原子炉内部の状態測定の信頼性と精度がさらに高まります」とリード氏は述べている。

ORNLの研究チームは、GaNトランジスターに対して3日間にわたり、最高で摂氏125度という温度下で放射線を照射した。注目すべきは、GaNトランジスターがこの条件に耐えたことだ。標準的なシリコン素子が耐えられる放射線量と比べると、少なくとも100倍の線量に対応できたことになる。

マイクロ原子炉は、発電出力は小さいものの、コンパクトで耐性に優れたコンポーネントが求められることから、GaNトランジスターは役に立つかもしれない。軍事基地や被災地域などの現場に、マイクロ原子炉が配備されるようになる可能性がある。

GaNは、商用化から約10年が経つものの、まだ手つかずの可能性を秘めている。リード氏は、こう述べている。「我々は、窒化ガリウム活用に関して、今までとは異なった道を切り開きつつあります。一般消費向けのレベルを超えたエレクトロニクス分野のための投資・研究・労働力開発に向けた、よりリーズナブルな市場需要を生み出すことができるでしょう」

※メイン写真:Kyle Reed/ORNL, U.S. Dept. of Energy

この記事は、TechRadarのWayne Williamsが執筆し、Industry DiveのDiveMarketplaceを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまでお願いいたします。

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