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ペロブスカイト量子細線が高度なウェアラブルディスプレイなどの技術を可能にする

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ペロブスカイト量子細線が高度なウェアラブルディスプレイなどの技術を可能にする
香港科技大学(HKUST)工学部の研究者らは、2024年5月15日付で『サイエンス・アドバンシス(SCIENCE ADVANCES)』誌に、論文「Full-color fiber light-emitting diodes based on perovskite quantum wires(ペロブスカイト量子細線をベースにした、フルカラーファイバー発光ダイオード)」を投稿した。8月12日付のTechXploreの記事は、この論文のリリースについて研究チームが発言していることを紹介している。TechXploreの記事によると、研究チームは、ファイバー発光ダイオード(ファイバーLED)への「革新的なアプローチ(すなわち、ペロブスカイトの細線化)は、これまでにない3D構造の光源の作製という新たな可能性を開拓し、高度なウェアラブルディスプレイ技術への道を開く」ものだと主張している。このコメントは、この研究チームのリーダーを務めた范智勇(Fan Zhiyong)氏によるものだ。同氏は、香港科技大学の電子コンピューター工学科と化学生物工学科で教授を務めている。

研究プロジェクトの主目的は、ファイバーワイヤーLED(いわゆるfi-LED)のより良い作製方法を見つけることだった。柔軟性のあるfi-LEDの作製には、材料の問題がつきまとい、発光の一様性や効率が損なわれることが多かった。この弱点の対策として、研究チームがハロゲン化金属ペロブスカイトと多孔質アルミナ膜を用いて量子細線を作製したのは適切だったようだ。得られた一連のフルカラーのfi-LEDはすでに、繊維を光らせる応用に適したものになっている。

香港科技大学によると、この研究は、短期的には「fi-LED分野を大幅に前進させる」という。そのうえで「今後の展開としては、fi-LEDの効率性と安定性の向上に注力することになるだろう。発光色の範囲を拡大するペロブスカイトの新たな構成を模索しつつ、そのような素子を市販の繊維製品に組み込んでいく」としている。

長期的には、この方式のfi-LEDを推し進めることで、将来のウェアラブルディスプレイ技術と、これまでになかった形状の光源全般が向上することが期待されている。水に沈める実験も実施されていることからすると、水泳プールやスキューバダイビングのような水中での利用も、十分に可能性がある。

「たわめたり、ねじったりすることができ、伸縮可能で、防水性もある」fi-LEDの登場で、ウェアラブル利用の未来は非常に有望に見える。とはいえ、もちろん実際の衣料ブランドは、ファイバーLEDを衣服に組み込むことに二の足を踏むかもしれない。特定の制服や装備が必要なシナリオ(例えばスキューバダイビング)を除くと、fi-LEDが新たなSFファッションの時代をもたらすことはないかもしれないが、実用化の可能性は確かに興味深いものといえるだろう。

この記事は、Tom’s HardwareのChristopher Harperが執筆し、Industry DiveのDiveMarketplaceを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまでお願いいたします。