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英国王立造幣局(ロイヤル・ミント)、電子廃棄物から金を回収する工場を南ウェールズに開設

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英国王立造幣局(ロイヤル・ミント)、電子廃棄物から金を回収する工場を南ウェールズに開設

英国のロイヤル・ミント(Royal Mint:2010年に王立造幣局の業務を受け継いだ企業)は、電子廃棄物から金(ゴールド)を回収する“先駆的な”工場を公表した。これにより、同社の高級ジュエリーブランド用に、より持続可能な金の供給源を生み出すことが期待されている。

南ウェールズにあるこの工場は、2022年3月から建設が進められてきた。その目的は、英国で入手されたスマートフォンやノートパソコン、テレビなどの電子機器に内蔵されている年間最大4000トンにもおよぶ回路基板から、金を抽出できるようにすることだ。

王立造幣局の頃から数えると、1100年以上にわたって硬貨を製造してきたロイヤル・ミントは、この処理によって、自社のジュエリーブランド「886」に、年間数百キログラムの金を提供できるとしている。「886」は2022年に開始した事業で、ハイエンドの指輪やネックレス、イヤリングを、オンラインや、ロンドン中心部のメイフェアにあるバーリントンアーケードの専門店で販売している。

金の抽出は、2段階で行われる。まずはロイヤル・ミントが専門工場で回路基板を処理して、基板と金属を分離する。その後、金を含有する部品は、南ウェールズの工場に送られる。

南ウェールズにある町、ラントリサントの工場では、特許が取得されている新しい化学技術を利用して、金を回収する。この技術は、カナダのクリーンテクノロジー企業、エクサー(Excir)が開発したものだ。特殊な酸混合液の中で、洗濯機のような回転ドラムが、金を含む回路部品を洗浄し、4分間で金を溶かす。他の金抽出法だと、より長時間にわたって超高温を必要とすることが多く、より多くのエネルギーを消費する。

886コレクションで販売されている7.5グラムの金の指輪(1ポンド硬貨の重量とほぼ同じ)をつくるのに、約600台の携帯電話を処理する必要がある、と推定されている。

ロイヤル・ミントは回収した金について、将来的には、記念硬貨など、同社事業の他の部分でも使用する予定だと述べている。

現金の使用が減少し続けるなかで、ロイヤル・ミントは、事業の多様化を目指している。この新工場は、そうした取り組みの一環だ。ロイヤル・ミントは、英大蔵省が完全所有している。毎年政府に配当を支払い、残りの利益は、事業に再投資される。

同社のアン・ジェソップ(Anne Jessopp)最高経営責任者は、「ロイヤル・ミントは、将来に向けて変革を遂げています。金の回収工場の開業は、これからの道のりにおける極めて重要な一歩になります」と述べた。

この記事は、The GuardianのKalyeena Makortoffが執筆し、Industry DiveのDiveMarketplaceを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまでお願いいたします。