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COVID-19パンデミックの後、2020年はゴールドラッシュ。金価格はどこまで上がるのか?

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2020/8/17

8月5日、金価格が2047ドルを記録した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)第2波への恐怖から、投資家たちが安全資産として金を買いあさっているためだ。

金価格は、2020年はじめと比較して34%上昇。8月第1週には1トロイオンス2000ドルの大台を突破し、その後も上昇を続けている。投資家たちは、COVID-19だけでなく、地政学的な緊張の高まりとドル安も懸念している。

金価格が1トロイオンス2041ドルを記録:2016年のほぼ2倍に
出典:Refinitiv

ロンドン貴金属市場協会(LBMA)のルース・クロウェル(Ruth Crowell)CEOは、直近の1週間、金の1日当たりの取引量も過去最高を記録したと述べる。クロウェルによれば、7月30日には計8936万トロイオンス、1740億ドル相当の金が取引されたという。金額は、それまでの記録を50%以上も更新した。

本記事の執筆時点でデータが入手可能だった8月3日までの5営業日、総取引量は2億5100万トロイオンス、出来高は4900億ドルだった。

なお、金の現物価格は、王立取引所内部にあるLBMAが管轄するオークションによって毎日決定されている。

クロウェルによれば、ごく普通の消費者が、銀行や株式市場から資金を引きあげて、貴金属に投資しているという。「金は誰にとってもわかりやすいものですが、金融投資は必ずしもそうではありません」

「この数カ月、前例のない社会的・経済的混乱が続いており、世界中の投資家が金に注目しています。価値貯蔵手段としての金の役割がこれほど明確に示された例はほかに思い当たりません。金は、不確実性と変動性が高い時代の安全資産であることが再び証明されました」

この数週間、個人投資家があまりに金を購入しているため、株式のように誰でも売買できる金ETF(上場投資信託)の金保有量が、米国政府がフォート・ノックス金塊貯蔵庫に貯蔵する金塊の量に近づき始めている。

金ETFのひとつであるSPDRゴールド・シェア(SPDR Gold Shares)は、8月3日と4日に15トンの金を購入。保有する金の量は1258トンになった。これは、イングランド銀行の金準備量の4倍以上に相当する(なお、これらの金は、ロンドンにあるHSBCホールディングスの金庫室で保有されている)。

SPDRゴールド・シェアは、業界団体ワールド・ゴールド・カウンシル(World Gold Council)と、米ボストンの金融機関ステート・ストリート(State Street)のパートナーシップだが、2020年のリターンは33%に達している。一方、世界の株式市場の多くは2桁の下落を記録している。

ワールド・ゴールド・カウンシルの調査によれば、ETFの金保有量は計3800トン、2兆4000億ドル相当で、フォート・ノックスに保管されている4581トンに近づいているという。米国政府の金準備は8130トンで、現時点では世界最大の保有者だ。

ワールド・ゴールド・カウンシルの投資調査ディレクター、フアン・カルロス・アルティガス(Juan Carlos Artigas)は、金価格が上昇している理由として、COVID-19のパンデミックによるパニックのほか、金利が記録的な低水準に維持されていることで、投資家が資産の分散に目を向けていることを挙げる。

「不確実な時代が来ると、人々は金に向かいます。今は極めて不確実な時代です」とアルティガスは話す。「金利が非常に低いため、銀行に預金しても、資産はほとんど増えません。しかも、預金を維持するための手数料がかかります」

ETFが出てきたことも金価格の上昇に一役買っていると、アルティガスは分析する。「不安や不確実さを感じている人が、誰でも金を買うことができます」。アルティガスによれば、金ETFの需要は欧米の個人投資家が中心で、アジアやアフリカの個人投資家は、金地金の現物を好む傾向があるという。

貸金庫を運営するIBVのセールスディレクター、デブラ・トムソン(Debra Thomson)は、金地金や金貨を保管するため、世界中の大富豪が同社の金庫を借りていると話す。「自分の資産を自分で管理したいと望む人がどんどん増えています。地金の現物を貸金庫に入れておけば、自分の未来を、どこかのブローカーに委ねるのではなく自分の手に取り戻すことができます」

金融取引企業HYCMの主任通貨アナリスト、ジャイルズ・コグラン(Giles Coghlan)は、「2020年はゴールドラッシュの年として記憶されることになるでしょう」と述べる。

「不確実な時代には、投資家たちは金に群がるものです。理由は単純。変動性が高い時代に、金はその価値を維持し、上昇もする安全資産だからです」

1月以降、金価格が34%上昇したことは「驚異的な実績」であり、人々は「金価格はどこまで上がるのだろうと注視しています」とコグランは話す。「勢い、信頼性ともに高い状態です。私の印象では、人々は金価格がどうなりうるかについて、鋭い関心を持っているようです」

ワールド・ゴールド・カウンシルによれば、金価格は最高値を更新したが、物価上昇を考慮に入れれば、1980年1月の景気後退時の水準には届かないという。現在の相場に換算すると、当時の金価格は2800ドルになる。

しかし、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(Bank of America Merrill Lynch)のアナリストは、金価格は2022年前半までに3000ドルの大台に到達すると予測している。

米国の金融評論家で、金の投機家でもあるジム・リカーズ(Jim Rickards)は、金価格は2025年までに1万5000ドルに到達する可能性すらあると考えている。リカーズは、金価格専門のニュースサービス「Kitco」のインタビューで、以下のように述べている。「金本位制が採用されるか、あるいは、ドル体制において信頼を回復するために金を貨幣の基準点として使うだけであっても、デフレ的でない金の価格は、1トロイオンス1万5000ドル相当になると示唆されます」

「今から2025年までの間に、大量の紙幣が印刷されるでしょう。そうしたすべての紙幣の印刷が終わるまでに、金価格がどこまで到達するかは誰にもわかりません」

この記事は、The GuardianのRupert Neate Wealth correspondentが執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまでお願いいたします。