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田中貴金属工業の挑戦~自動車と半導体で一気拡大の戦略~②自動車向け「貴金属」の底力

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2021年2月25日 電子デバイス産業新聞

田中貴金属といえば、誰でも純金のインゴットや貴金属ジュエリーを思い浮かべる。どのような夢を語るよりも、金でできた指輪はもしかしたら、絶対とも言ってよいほどの価値を持つのだ。その金をはじめとした貴金属を扱って135年の年月を重ねた田中貴金属は、日本の工業化とともに貴金属の工業用利用へと舵を切っていった。白金線や触媒用白金網をはじめとする白金(プラチナ)工業製品などを次々と開発し、近代日本の工業化を支えてきたのだ。
今日にあって、田中貴金属はグループ全体で総売り上げ約1兆円のカンパニーに躍進した。これは原材料である地金を含む数字だというが、この規模を運用している企業なのである。ところが重要なことは、一般的な人たちに有名な資産用の地金売買より、はるかに産業向け製品の扱いの方が多いのだ。現段階で全売り上げの約7割は産業向け貴金属関連材料だといってよいだろう。

さて、世界最大の工業は何といっても自動車産業である。製造からサービスまでの関連産業までを含めれば、世界全体で400兆円市場を築いている。ちなみに、数年ぶりにトヨタ自動車が世界ランキング1位に返り咲いたことで、世界の自動車ユーザーはやはり日本のトヨタは強い、という印象を強めただろう。
「自動車向けの各種素材についても、田中貴金属はまさに黄金の技術を一杯持っている。技術革新の際、はじめに検討される素材として金等に代表される貴金属が原点にあり、これを駆使した開発が多い。要求特性や機能によっては、白金や銀も積極的に採用されてきた。貴金属は実に耐久性のある素材であり、特性もずば抜けて優れたものを持っている。自動車という世界においても、田中貴金属の製品は今後も活躍していくだろう」。
こう語るのは、田中貴金属工業・新事業カンパニー・マーケティング部にあって、部長の任にある原範明氏である。原氏は、山梨県甲府出身、東京理科大学理学部化学科で学び、山梨大学大学院工学研究科を出て、田中貴金属工業に入社する。原氏は、工学博士号も持っているのだ。ちなみに、卒論のタイトルは、「アンモニアの直接気相合成反応の検討」というものであった。


新事業カンパニー マーケティング部 部長 原 範明氏

数量で多い各種接点は大活躍
自動車の駆動系においては、田中貴金属の部材はものすごく多く使われている。接点といわれるものが数量的には非常に多い。アクセルポジションセンサ、ブレーキポジションセンサ、ステアリングヒーター、電動パワーステアリングなどの接点は、金、銀、銅などが素材となっている。白金などのPGM系材料はスパークプラグ、インジェクターなどにも多く使われている。エンジン温度センサー(リードスイッチ)の分野でも活躍している。
車載向けの電子デバイスのところでも、田中貴金属の製品は大活躍と言えるだろう。ECUには各種ペーストやワイヤーが一杯使われるのだ。IGBTの放熱板冷却用フィンには、アルミリボンが必要なのだ。AC/DCコンバーター用ハイブリッドICにはアルミワイヤーが使われる。インバーターにはアルミや銅以外に金ワイヤーが必要な素材なのだ。田中貴金属は、白金、金、銀といった貴金属の加工をコア技術として培いながら、市場の要求に応じて、コア技術を適用可能な用途においては、銅やアルミといった卑金属にも製品を横展開している。
「自動車向けの素材や部品については、高い品質を保持しながらも、使うべき貴金属の量を少なくするという二律背反の課題に取り組まなければならない。これは、お客様の要望によるものなのだ。少貴金属の要望がある一方で、自動車は、信頼性が非常に重視されるため、高耐久、高信頼性を満たせる貴金属材料を完全に無くすことができないのも明白の理だ。
カスタマイズな要求も数多いわけであり、きっちりとこれにも応えなければならない」(原氏)。
世界的な問題となっている環境対策については、自動車業界は最新の注意を払っている。排気ガス浄化もいまや重要案件となっており、排気ガス浄化触媒用化合物の提供、さらに使用後の自動車浄化触媒から貴金属リサイクルを行っている。
排気温センサー、O2センサー、NOxセンサー、PMセンサー、排気ガス再循環、バルブセンサーなど燃費向上や環境対応に寄与するセンシング部品の随所に、田中貴金属の貴金属素材が採用されている。

次世代カーも金、銀を駆使
「次世代自動車については、CMOS車載カメラに金とアルミワイヤーが、アンテナには銀ペーストが使われる。一般的なハイブリッド車の部品点数は約3.3万点であり、これからも部材は増えるばかりだ。コックピットにおいては、LED表示素子、ディスプレー用ドライバーICが重要なデバイスであり、ここもまた金を中心にめっき、ワイヤー、ペーストが大切な素材となる」(原氏)。
世界的なブームとなっているEVについても、リチウムイオンバッテリーにおおけるアルミワイヤーが必須の素材であり、ここでも田中貴金属の製品は活躍している。次世代自動車の潮流が押し寄せて来ている現在にあって、田中貴金属の車載向け製品群のバラエティーはますます拡大するばかりであろう。

(特別編集委員 泉谷渉)

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