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半導体関連のペーストなど期待~とにかく品質とコストで勝つ~

  • TANAKA
  • 技術
2023/1/12

2022年12月15日 電子デバイス産業新聞

田中貴金属グループは、1885年(明治18年)の創業以来、貴金属のプロフェッショナルとして新しい価値と可能性を追求してきた。資産や宝飾品としてはもちろん、最先端分野の産業用素材としても貴金属の活躍する領域はますます広がっている。田中貴金属工業㈱の重要な工場の1つである湘南工場(神奈川県平塚市)にあって、工場長の任にある長岡章夫氏に話を伺った。


田中貴金属工業(株)
湘南工場 工場長 長岡 章夫氏

―ご出身は。
長岡 奈良県で生まれ育ち、関西大学工学部で化学工学を学んだ。卒論は「鉱石からのニッケルの溶出および分離」というものであった。大学院に進んでからは溶媒で貴金属を抽出することをテーマにした。当然のことながら、この関連の企業に入りたいということで、田中貴金属工業に入社することになった。

―工場長として部下に示唆していることは。
長岡 湘南工場は330人が在籍している。そのほか同工場以外の駐在員を含めれば450人をみていることになる。常に伝えていることは「楽しんで仕事をしよう」ということだ。田中貴金属グループはもともと自由度が高い会社であるが、やはり苦しそうに仕事をするよりは、ワクワクしてやる方がアイデアが出てくる。そして、やりがいのある仕事、達成感のある仕事を追求していく人材をどう育てるかが私のミッションだと思っている。

―燃料電池触媒のプラントがありますね。
長岡 燃料電池触媒の分野については、湘南工場の管轄ではないが、同じ敷地内にある。この分野において、田中貴金属工業は世界トップシェアを持っているが、工場敷地内になるので開発と製造が同時並行するというスピード感があると思う。さらに湘南工場の重要な取り扱い分野としてリサイクルがあり、燃料電池のリサイクルも行っており、貴金属の回収までできる。開発・製造・回収というこの手法は、田中貴金属の得意技であり、これが国内外のお客様に多くの支持を得ているところだと思う。

―半導体関連においては。
長岡 半導体や電子部品に使われる素材の1つとしてペーストがあり、これは今後、非常に重要視され、拡大していくと思う。電気をよく通し、大容量や高機能のデバイスを作るためには、省エネ対応としてもペーストは必要であり、生産は拡大していくだろう。また、EV向けにもペーストは伸びていくと見ている。

―そのほかの電子デバイス関連は。
長岡 まずはめっき製品がある。水素水を電解して電極に使うわけであるが、めっきという世界はどこまで行っても電子デバイスには必要な分野であり、こちらも今後強化していく。また、半導体関連としては銀の接着剤があり、これは非常に強いところだ。自動車のガスセンサーに使われる製品については、世界トップシェアを持っている。

―工場の革新については。
長岡 もちろんいつも考えている。アナログ的な、そして属人的な技術が数多い。とにかく品質とコストで勝つというテーマがあり、良いものを安く提供するためには、不良を出さない技術の伝承が必要だ。これをIoT化できないかということで頑張っている。また、人材が集めにくくなっている現状を考えて、自動化を待ったなしで進めなければならない。さらには、手順書のところには文章に書けない暗黙知がある。これもなんとしてもデータ化したい。そうした課題はいっぱいあり、日々努力しなければならないと思っている。

―女性力活用については。
長岡 女性比率は今のところ、開発や製造部門では全体の10%くらいであり、少ないと思っている。もちろん、女性管理者も増やしたい。そもそもだが女性に限らず様々な人がいることで社内が活性化すると考えている。開発や製造に関して、それぞれの良いところがあり、将来的に人員差はなくなっていくと思う。現状としてだが、いうところの理工系の女性、つまりリケジョについてはとにかく入社をひたすら望むばかりである。

(聞き手・特別編集委員 泉谷渉)

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