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EVバッテリにおけるワイヤボンドの耐久性向上

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EVバッテリにおけるワイヤボンドの耐久性向上

HOW2POWER TODAY、2024年1月

Dodgie Calpito 田中貴金属インターナショナル(アメリカ)株式会社
Shuichi Mitoma、Shizu Matsunaga、Kosuke Ono、Tsukasa Ichikawa 田中電子工業株式会社 (日本、東京)

EVバッテリにおけるワイヤボンドの耐久性向上

ワイヤボンディングが開発され、半導体パッケージングにおいて長く使用されているが、これはワイヤボンディングに本来備わっている柔軟性とプログラムしやすさによる。このような性質は、他の相互接続方法と比較して最大の強みとなっている。ワイヤボンディングを使用すれば、金、アルミニウム、銅、銀などの合金、またはパラジウム被覆銅複合材などで作られたワイヤを用いて、シリコンダイとその基材の間に電気的な相互接続やワイヤボンドを形成することができる。

ワイヤボンドは柔軟性に限界があるため繊細で、半導体においては通常、樹脂または成形コンパウンドといった緩衝材で密閉される。このような緩衝材によって、振動による損傷に耐えるように一定の耐久性と強度が与えられる。しかし、大半のEVバッテリパックでは、振動の影響からワイヤボンドを保護する材料がなくむき出しで使用されるため、このような一定の耐久性は失われてワイヤボンドが損傷しやすくなる。

この記事では、EVバッテリパックの円筒形リチウムイオン(Liイオン)電池の相互接続に使用する超音波ワイヤボンディングについて見ていく。特に、ワイヤボンド設計のさまざまな側面が破損しやすさに影響を及ぼす程度を測定するために実施した、EVバッテリパックに使用するワイヤボンドに対する一連の振動試験について述べる。

EVバッテリパックにおけるワイヤボンド構造について述べ、機械的弱点を特定した後に、この研究において振動に対するワイヤボンドの脆弱性を試験するために開発した試験機器について紹介する。また、振動の方向、材料、ワイヤの形状、ループの高さ、および単一ボンド対複数ワイヤなどの影響を試験するために実施した5つの比較研究について述べる。

これらの研究の目標は、EVバッテリパックにおけるワイヤ断線問題を分析し、このような障害を低減または排除するような緩和策をいくつか提供することにある。試験結果を提示した後に、パックの設計者がEVバッテリパックにおいて高い耐久性を持つワイヤボンドを実現する助けになるような重要な所見をまとめる。

EVバッテリパックにおけるワイヤボンドの脆弱性

現在、EVバッテリパックの円筒形Liイオン電池の相互接続には、超音波ワイヤボンディングが使用されている。負極ワイヤは電池の縁に接合され、一方で、正極ワイヤは電池中央のカソードに接合され、振動しやすくなっている。電池の缶はニッケルめっき鋼製であり、その縁は波形であり曲線的な断面を持つ。

ワイヤボンドは平らな面に対する設計であるため、曲線的な縁を持つ電池へのボンディングは(最近の設計ではより平坦化されているが)困難である。電池の縁の表面粗さも、クリンプ加工に起因して一貫性がなく、腐食や電解質汚染にさらされやすい。

悪路条件や、EVの乱暴な扱い、または急加速/減速などで発生する振動によりワイヤの疲労が生じ、やがて断線するおそれがある。その結果、ボンドとワイヤボンド範囲の間のヒール領域が破損する可能性がある。これはEVバッテリパックにおいてエネルギー容量が損なわれる一般的な原因である。図1は、円筒形バッテリ電池を相互接続する典型的なワイヤボンドを示す。

図1. 円筒形バッテリ電池を相互接続するワイヤボンド。
図1. 円筒形バッテリ電池を相互接続するワイヤボンド。

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