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ワインの涙とパラジウム被覆銅ワイヤ:マランゴニ効果
Semiconductor Digest、2024年3月
DODGIE CALPITO、YUMI SHIMADA 田中貴金属インターナショナル(アメリカ)株式会社
TAKESHI KUWAHARA 田中電子工業株式会社(日本)
従来のパラジウム被覆銅ワイヤ内におけるパラジウムと銅の混合は、マランゴニ効果によって説明される。独自の不純物 がこの効果に対抗できる。
ワインの涙
図1に示すように、ワインの涙はワインが注がれたグラス内部に形成されてしたたり落ちる透明な液体である。これは、表面張力の違いにより、蒸発するアルコールから離れて流れる水分によって生じる。表面張力が高い水は毛細管現象によりワイン内のアルコール-水の混合液から離れるようにグラスの壁を上る。これはマランゴニ効果として知られ、1860年代に水面の油の反応を研究した物理学者カルロ・ジュゼッペ・マテオ・マランゴニ(Carlo Giuseppe Matteo Marangoni)にちなんで名づけられている。熱を加えたときの混合材料におけるこの効果の例を図2に示す。
半導体を相互接続する最も一般的な方法である超音波熱圧着ワイヤボンディングにおいて、フリーエアボール(FAB)が生成されるメカニズムは、マランゴニ効果と考えられている。FABは、放電により溶融されたワイヤの球状端であり、押圧されてデバイスに超音波溶着されることで相互接続のファーストボンドを形成する。