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進歩するナノテクノロジー、未来が約束された6つの応用分野

  • 未来
2018/10/15

 

ナノテクノロジーの重要な応用分野は何だろうか。この記事では、ナノテクが日常生活に変化をもたらす6つの分野について概観する。

情報テクノロジーの世界におけるアプリやクラウド・コンピューティングなどが注目を集めているが、ナノテクなどのハードウェア分野でも多くの進展が見られている。

ナノテクの応用例としては、より効率的なドラッグデリバリーシステム(DDS)から、コンピューターチップの小型化と性能向上を可能にする超小型トランジスターまで、さまざまなものが挙げられる。

驚くことではないが、ナノテクの応用分野は今後数年間で著しい成長が見込まれている。市場調査会社リサーチ・アンド・マーケッツ(Research and Markets)が発表した報告書によると、ナノテクは「急速に成長している技術の一つ」であり、世界のナノテク産業は2024年まで年17%のペースで成長を続けると予想されている。

同様に、調査会社インダストリーARC(IndustryARC)は、ナノテク業界全体にわたる製品化が進むことより、市場全体の価値は2021年までに120億ドルを超えると予測する報告書を発表している。これは、年平均成長率(CAGR)で16.9%に相当する。

ナノテクの応用範囲は非常に多岐にわたるため、ナノテク関連株に目を向け始めたばかりの投資家にとっては、どこから手をつければよいかを知るのは難しいかもしれない。ここでは出発点として、ナノテクの応用によって大きな変化がもたらされつつある6大分野について概説する。

1. 素材とコーティング

ナノテクと聞いてまず思い浮かぶのはおそらく、さまざまな種類の素材と保護コーティングにおける進歩だろう。布地やスポーツ用具から、メガネ、コンピューターやカメラのディスプレイまで、ナノテクの応用には多くの可能性が開けている。

ナノテクは、素材技術の向上にどのように役立つのだろうか。米国の「ナノテク国家計画(National Nanotechnology Initiative: NNI)」の説明によれば、ナノテクを利用することで、「素材における多くの特性、特に強度、軽量性、耐久性、反応性、ろ過性、導電性などを効果的に向上させることができる」という。また、ナノテクにより、化粧品のカバー力や吸収性を向上させたり、布地のしわや細菌増殖を発生しにくくしたりすることも可能になる。

例えば、カナダのナノ・ワン・マテリアルズ(Nano One Materials Corp) (TSXV: NNO)は、先進的素材を低コストで大量に処理するための技術を開発しておりリチウムイオン電池に用いられる材料を当初のターゲットとしている。

米国のナノフェーズ・テクノロジーズ(Nanophase Technologies Corporation)(OTCMKTS: NANX)とライトウェイブ・ロジック(Lightwave Logic, Inc.)( OTCMKTS: LWLG)もまた、ナノテクベースの材料の開発に特化した企業だ。

2. 医薬

生命科学分野でのナノテクの応用としては、治療技術、診断法、複合ドラッグデリバリーシステム(DDS)などが挙げられる。例えば、オーストラリアのメドラブ・クリニカル(Medlab Clinical)(ASX: MDC)が開発したドラッグデリバリープラットフォーム「NanoCelle」は、特許のある医薬品を、ナノ粒子の形態に変換し、通常容量の一部のみでの投与を可能とした

メドラブは、このドラッグデリバリーシステム(DDS)を人に対して用いる臨床試験を開始するための承認をすでに受けている。コレステロール低下薬のアトルバスタチン(リピトール錠)や、2型糖尿病向けのインスリンなどで使用される予定だ。NanoCelle製品シリーズの大半は現在、特許出願中だ

ナノテクを利用した医薬品のその他の実例としては、抗ウイルス薬やRNA干渉(RNAi)治療薬などが挙げられる。抗ウイルス薬としては、米国のナノビリサイズ(NanoViricides, Inc.)(NYSEAMERICAN: NNVC)が開発する、インフルエンザ、HIV(エイズ)、ヘルペス、デング熱などを標的とした薬剤などがある。 RNA干渉(RNAi)治療薬には、米国のアローヘッド・リサーチ(Arrowhead Research Corp.)(NASDAQ: ARWR)が開発中の「Dynamic Polyconjugates」などがある。

3. 食品

食品テクノロジーについては第一に遺伝子組み換え生物が思い浮かぶかもしれないが、ナノテクも、食品の未来において担うべき重要な役割を持っている。ナノテクを利用することで、食品の食感や風味を高める手法が研究されている。あるいは、ナノテクを用いた包装によって、食品保存の向上や微生物からの食品の保護なども図ることができる。

食の安全性に関する専門誌『フード・セーフティ・マガジン』に掲載された記事が指摘する通り、食品に最も広く利用されているナノ粒子は二酸化チタンであり、ドーナツにかかっている粉砂糖の白さを増すためなどに使われている。

だが、ニューヨーク州立大学ビンガムトン校の研究では、酸化亜鉛ナノ粒子が、腸の栄養吸収力を低下させる可能性があることが明らかになった。当面の間、食品業界でナノ粒子が姿を消すことはないと見られる一方で、この種の研究結果がさらに多く出てくれば、長期的にはこの分野で何らかの変化がみられる可能性がある。

4. エレクトロニクス

テクノロジーの世界に注目している人なら誰でも、ムーアの法則が予測する技術進歩速度について熟知しているはずだ。ムーアの法則は、「トランジスターの集積密度は毎年倍増する」と予測している。電気回路はますます小型化が進んでいるが、こうした進歩を可能にしているものこそナノテクに他ならない。

IBM (NYSE: IBM)は2015年、7ナノメートル(1ナノは10億分の1)のトランジスターを用いたコンピューターチップの開発に取り組んでいると発表した。そのわずか2年後には、5ナノメートルチップを完成させた。この最新チップでは、「指の爪ほどの大きさ」のチップ上に、5ナノメートルのスイッチが300億個、集積されている。

5. エネルギー

エネルギー分野におけるナノテクの応用としては、エネルギーの貯蔵、および石油天然ガスの回収の両面での利用が挙げられる。例えば、パイロジェネシス・カナダ(PyroGenesis Canada)(TSXV: PYR)は、自社によるプラズマベースのツールとプロセスを用いて、石油・天然ガス業界の各社がより環境に配慮した効率的な回収作業を推進するのを支援している。パイロジェネシス・カナダのプラズマプロセスは、米国防総省のほか、積層造形業界や3D印刷業界なども採用している。

ナノテクは、再生可能エネルギー分野でも利用されている。その一つが太陽電池の性能向上だ。この分野の企業の代表例が米ナットコア・テクノロジー(Natcore Technology Inc.)(TSXV: NXT)だ。同社は、ブラックシリコン太陽電池と、全背面接点シリコンヘテロ接合太陽電池構造を開発した。この技術により、太陽電池に不要になるため、太陽光発電のコスト低減の助けになる可能性がある。

6. 水と空気の処理

ナノテクが重要となる分野の最後は、先述した「太陽電池の性能向上」を超えた、幅広い環境および衛生面への応用だ。その一つが空気と水の処理で、一例としては米国の研究チームが開発した「本型の浄水器」がある。この「本」のページには、銀ナノ粒子でコーティングされた紙が使われており、汚水をろ過することができる。米科学誌『サイエンティフィック・アメリカン』の記事によると、この本1冊を使ってろ過すれば、最大で100リットルの飲料水を生成できるという。

さらにナノテクは、空気の質を向上させるためにも使われている。米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームは、ろ過システムにおける絹とそのナノフィブリル(繊維を構成している微小な組織単位)の新たな使用法を発見した。

一方、スイスに本社があるエンジニアリング関連の多国籍企業ABB(NYSE: ABB)は、塵を効率的に遮断できる空気フィルターのために、ナノテクを利用している。

ナノテクの応用についてご紹介してきた。どの分野が最も革新的で、最大の利益をもたらすと思われただろうか。

※この記事は、Investing News Networkが2015年に発表した初稿の最新版です。

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証券に関する情報開示(Securities Disclosure):筆者Amanda Kayは、この記事で言及したいかなる企業に関しても、直接的な投資を行っていません。


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この記事は、Investing News NetworkのAmanda Kayが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。

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