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スーパーマテリアル・グラフェンが実現する、「地球に優しいコンクリート」

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新しい「スーパーマテリアル」であるグラフェンが、最も古い建築材料のひとつであるコンクリートを地球に優しいものに変える鍵を握っている可能性があることが、新たな科学研究で示された。

英国エクセター大学の科学者たちは、従来のコンクリート生産にグラフェンを取り入れることにより、既存のコンクリートと比べて強度が2倍、耐水性が4倍も高い複合材料を開発した。

ナノテクノロジーをコンクリートに応用するこれまでの試みでは、セメントを構成する既存の要素を変えることに焦点が当てられていたが、今回の新しい技術はそれとは異なり、単層のグラフェンを水の中に混ぜるというものだ。

この方法だと、不良品を出さずに、高い歩留りでコンクリートを作ることができる。現代の生産技術と組み合わせて利用できるうえ、比較的低いコストで規模を拡大できると研究チームは考えている。

この複合材料は、建築現場ですぐに使うことができるため、コンクリートの使用量を減らし、温室効果ガスの排出を削減しながら、強度と耐久性の高い建物を建設できる。研究チームはグラフェンを使うことにより、コンクリートを作る際に使う材料の量を半分近くにすることができたという。

耐水性が高いため、保守のために近づくことが難しい場所での建設に適しているうえ、衝撃や歪みに建物が対抗できる強度も高いと、研究チームは説明している。さらに、今後は同様の方法で他のナノ材料をコンクリート構造に組み込むことも考えられ、業界でのさらなる技術革新への道が開ける可能性もある。

エクセター大学工学部でナノサイエンスを研究しているモニカ・クレチウン教授は次のように述べている。「わたしたちが住む都市は、公害や、持続可能な都会化のあり方、自然災害からの回復など、地球規模のさまざまな課題に関するプレッシャーが高まっています。この新しい複合材料は、従来のコンクリートを強化してこれらの必要性を満たすという意味において、全面的な大変革をもたらすものです」

グラフェンは炭素の形態のひとつだが、2004年にマンチェスター大学2人の研究者が初めて確実に作り出すことに成功し、ノーベル賞受賞(2010年)にもつながった。

グラフェンは、六角形の格子構造をとる炭素原子の単一層で形成されている。この構造によって、電気や熱の高い伝導性や、並外れた強度など、重要な物理特性が生まれるのだ。

一方、コンクリートは、建築材料としてローマ時代から利用されてきた。そうしたローマ時代のコンクリートの一部は現在もなお健在だ。鉄鋼と並んで最も一般的な建築材料だが、コンクリートやセメント製造による温室ガス排出は、依然として高いままだ。その理由として、製造におけるエネルギー消費に加えて、必要な化学的処理のなかに、石灰石の分解や二酸化炭素の放出が含まれることなどが挙げられる。

「カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP)」による最近の調査で、セメント生産は地球全体の炭素放出の6%を占めており、パリ協定の目標値を達成するには製造業者が大幅な削減を行う必要があることが明らかになっている。

エクセター大学の今回の研究は、英国工学・物理学研究会議の助成金を受けている。論文は、「Ultrahigh Performance nanoengineered Graphene-Concrete Composites for Multifunctional Applications」(超高性能ナノ加工によるグラフェン・コンクリート複合物の多機能的応用)というタイトルで、『Advanced Functional Materials』誌に発表された。

テストを受けた複合材料のサンプルは、これまでのところ英国および欧州のすべての基準を満たしているため、実際に利用されるようになることは十分に考えられる。論文の筆頭執筆者であるディミタール・ディモフは、次のように話している。「より地球に優しい建築方法を見つけることは、世界中の炭素排出を減らすという極めて重要な方向での前進です。これは、建設業界をさらに持続可能なものにするための正しい方向への重要な一歩なのです」

 

この記事は、The Guardianのフィオナ・ハーベイが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。