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テクノロジー専門家はAIの未来に楽観的

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Handout Web Summit via Getty Images

米シンクタンクのピュー研究所が人工知能(AI)専門家を対象として実施した調査では、調査に参加した専門家の3分の1以上が、2030年にはAIのせいで人間の生活が今より悪化しているとの懸念を明らかにした。一方、専門家の過半数は、AIの恩恵が個人の生活を向上させると楽観視している。

ピュー研究所は、「テクノロジー分野の先駆者、革新者、開発者、企業幹部および政策指導者、研究者、活動家」など979人の調査参加者に対して、AIの進歩が2030年までに大半の人々の生活を向上させると考えているかどうかを尋ねた。

AIの進歩は将来、「人間の能力を拡張し、その力を増大させるだろうか」と、ピュー研究所は問いかけた。あるいは、「人間の自律性や行為主体性を減少させ」、暮らし向きを悪化させるのだろうか。

全体としては、2030年までに人々の生活が向上すると期待していると回答した参加者は全体の63%。生活は向上しないと考える参加者は全体の37%だった。

「けれども大半の専門家が、楽観的な見方をしているかどうかに関係なく、最新のAIツールが、人間であることの本質的要素に及ぼす長期的影響に対しては懸念を表明した」と、ピュー研究所は201812月に発表した今回の調査結果に記している。

イェール大学革新的思考センター(Center for Innovative Thinking at Yale)のエクゼクティブ・ディレクターを務めるアンドリュー・マクラフリンは、ピュー研究所の質問に対して「2030年は遠い未来ではありません。インターネットとAIネットワークのような技術革新は、非常に大きな短期的恩恵と、認識できるようになるまでに数十年かかる可能性のある長期の否定的な側面を併せ持つと、私は考えています」と語った。

調査参加者の多くは、AIアプリケーションの効果や弊害は、それらをどのように構築して配置するかによると指摘した。AIがもたらすと期待される恩恵の大半は、人間の業務効率を高めたり、医療専門家が病気を診断して治療する能力を向上させたりなどを中心とするものだ。

楽観的な見方をした調査参加者の一人に、米マサチューセッツ工科大学(MIT)デジタル経済イニシアチブ(Initiative on the Digital Economy)のディレクターを務めるエリック・ブリニョルフソン教授がいる。同氏はピュー研究所に対して、「人間がこの力を、世界をより良い場所にするため利用するようになる確率は5割を超えると、私は考えています。例えば、世界の貧困を事実上なくしたり、病気を大幅に減らしたり、地球上のほぼすべての人々に、より良い教育を提供したりなどが可能になります」と語った。

一方でブリニョルフソン教授は、人間は、AIの潜在的なマイナス面から身を守る取り組みを行う必要があるとも述べている。「AIML(機械学習)は、冨や権力をますます集中させて多くの人々を置き去りにしたり、いっそう恐ろしい武器を作り出したりするために使われる可能性もあります」と同氏は言う。「テクノロジーを、人間の価値観と調和したものにする取り組みを積極的に行う必要があります」

AIは、新たな雇用を創出し、その他の仕事の生産性を高めることが期待される一方で、調査参加者の一部は、広範囲の雇用喪失と、仕事に伴う生きがいの喪失をもたらす可能性もあると指摘した。

神経インターフェース開発企業カーネル(Kernel)の創業者兼最高経営責任者(CEO)を務めるブライアン・ジョンソンは、「その答えは、AIを目の前にして、根本的な人間の進歩を最優先させる方向に経済システムを転換できるか、そして、人間の意義を失わせるような傾向に歯止めをかけられるかによって決まります」と説明する。「これは、単に雇用のことだけを言っているのではありません。人間の幸福や認識力を最優先としないことの最終的な結果として、人間の実存的な意義が失われるということです」

さらに、AIの専門技術が強者と弱者の格差を広げるならば、人間の自由が脅かされる恐れがあると考える参加者もいた。

米カーネギーメロン大学コンピューター緊急対応チーム(CERT)のチーフサイエンティストを務めるグレッグ・シャノンは、「AIは、個人に対する監視、強制、処罰などが可能な知的能力を持つ実体を作り出すことで、行為主体性に影響を及ぼします」と指摘した。「こうしたAIの使い方を知る人々は、それを知らない、または知ることができない人々を支配する、巨大な潜在力を手にすることになります。未来の幸福は、本当に不明確です」

なお、Diffbotから201812月に発表された別の報告書の推計によると、機械学習のスキルを持つ人々は世界で72万人に上るという。

 

この記事は、FORTUNEのケヴィン・ケルハーが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。