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中国はリチウムイオン・セルのリサイクル市場を目指す

  • マテリアル
2019/11/28

リチウムイオン電池はリサイクルされていないと広く考えられているが、それは間違いだ。専門家によれば、中国が市場をほぼ独占しているのだ。

英サーキュラー・エナジー・ストレージ(Circular Energy Storage)の創業者で、電池リサイクルの第一人者であるハンス=エリック・メリンによれば、中国は2018年、全世界の在庫の69%にあたる約6万7000トンのリチウム電池をリサイクルしたという。

韓国でも18000トンがリサイクルされたが、大部分が中国市場向けだという。ただし、これらの数字はあくまで概算だと、メリンは強調する。リサイクル業者はしばしば、原料価格の高騰に乗じるため、電池をため込んでいるためだ。

2019年には、リサイクルされるリチウム電池が全世界で10万トンに達する可能性もある。急成長を遂げる自国のバッテリー業界への原料供給を増やすため、中国はさらにシェアを伸ばそうとしている。

中国では、約10年にわたって携帯電話製造が発展し、携帯電話のリファービッシュ(再生品)産業も成長しているため、その一部としてリチウムイオン電池のリサイクルが可能になっている。メリンによれば、リファービッシュに出された携帯電話の4分の3が中国に行き着くという。

「携帯電話やタブレットのリサイクル率が低いと言われるが、それは事実ではない。われわれはリファービッシュや再製造を行うために、使用済みの携帯電話やタブレットを輸出している」とメリンは説明する。「ただし、リサイクルを行っているのは中国だ。中国は長年にわたって、家電から取り出した電池の原料を大量に保有している」

メリンによれば、寿命を終えるリチウムイオン電池は、携帯電子機器に使用されていたものが80%前後を占めるという。これは以前から変わっていない。

有望なリサイクル企業の「ロングテール」

このように原料が集まってくるため、中国にはGEMなどの巨大リチウムイオン電池リサイクル企業が登場している。GEMはもともと廃品回収業者だったが、今や立派な正極材メーカーだ。

2018年、正極材の需要がリサイクル能力を超えたため、GEMは、鉱業大手グレンコア(Glencore)からコバルトを年間生産量の35%購入するという契約を結んだ。その後、コバルト価格が25%下落し、契約は白紙に戻された。

湖南邦普循環科技(Hunan Brunp Recycling Technology)も、2018年に約3万トンの電池をリサイクルしている。同社はもともとスクラップ処理業者だったが、2015年にリチウムイオン電池のトップメーカーCATLの子会社になった。

メリンによれば、Quzhou Huayou Cobalt New Materialは、年間約6万トンのリチウムイオン電池リサイクル能力がある。2018年には約1万トンをリサイクルしたという。

こうした企業のほかに、赣州市豪鵬科技(Ganzhou Highpower Technology)、広東光華科技(Guangdong Guanghua Sci-Tech)など、市場で競い合う有望企業の「ロングテール」が続くと、メリンは説明する。

北米やヨーロッパでは、リサイクルは廃棄物処理であり、企業が処理費用を受け取って行うことだと考えられている。一方、中国では、競争があまりに激しいため、使用済みの電池を手に入れるためであれば、リサイクル企業は喜んで料金を支払う。

この貪欲さを見る限り、リチウムイオン電池リサイクルにおける中国の支配力はさらに高まりそうだ。欧米のリサイクル企業も優れた技術を持っているが、利益を出すのに十分な量の電池を確保する上で苦労するかもしれないと、メリンは分析する。

EVが追い風に

ただし、中国政府が電気自動車(EV)の購入補助金を50%減らすと発表したため、中国のリサイクル企業は今後、勢いを失う恐れがある。しかしこれも、一時的な影響にとどまる可能性が高い。

ウッドマッケンジー(Wood Mackenzie)のリサーチアナリスト、ミラン・タコアは、「中国では2018年、コバルト価格の高騰が原因で、特に携帯電子機器で使われているリチウムイオン電池のリサイクルが急増した」と話す。「また、EVバッテリーのリサイクルも、規模が拡大している」

タコアによれば、中国では2018年、中国を除く全世界の合計を上回るEVが販売されたという。「そのため、中国はEVバッテリーのリサイクルでもリーダーになる必要がある。その上、EVバッテリーの多くは品質が低く、すでに寿命を迎えている」

中国のリチウムイオン電池リサイクルに占めるEVバッテリーの割合は大きくなっていく見込みだが、「人々の予想よりはるかに長い時間がかかるだろう」とメリンは述べている。

サーキュラー・エナジー・ストレージの試算では、2025年まで、自動車とバスのバッテリーは、リチウムイオン電池リサイクル全体の40%前後を超えない見込みだ。携帯電子機器の割合は40%になり、そのほかのカテゴリーが残りの約20%を占める。

 

この記事は、Greentech Mediainfo@greentechmedia.comが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。