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3GPP、リリース16を最終決定–5G NRの最新仕様が完成

  • 技術
2020/8/6

移動体通信技術の標準規格を策定する世界的組織3GPPは7月3日、5G New Radio(5G NR)技術の仕様セットの第2弾となるリリース16を最終決定し、5Gがひとつの節目を迎えた。

1つ前のリリース15によって、モバイルブロードバンドの強化を目指して、標準に準拠した5G NRの商用展開を可能にする基盤が定まった。リリース16の狙いは、新たな機能とさまざまな分野への展開に向けた拡張であり、アンライセンスバンド(免許が不要な周波数帯)への対応、産業用IoTや自動車への応用、無線アクセスバックホール統合伝送(IAB)などを目指している。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックのため、3GPPはリリース16の作業を2020年7月まで3カ月延期した。対面による通常の会議が中止され、旅行と集会が制限されるなかで共同作業の新たな方法を見つける必要があったためだ。

3GPPは3日、今後について、物理的な会議からバーチャルな会議への移行に言及し、2021年とされていたリリース17の完了日は「延期になるおそれがかなりある」ことを明らかにした

クアルコムテクノロジーズ(Qualcomm Technologies)のテクニカルマーケティング担当ディレクターを務めるダニー・ツェン(Danny Tseng)はリリース16で取り入れられた主要技術について、5Gをモバイルブロードバンドからこれまで5Gが対応していなかった分野やモバイル機能が存在しなかった分野などの新たな領域へと広げることによって、産業の変革を目指すものだと説明した。

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業界団体の5G Americasによると、7月2日時点で稼働している世界の5Gネットワークの数は85だという。

クアルコムは、当初から5Gの研究開発と標準化に深くかかわっており、リリース16では多数の利害関係者が協力した。グローバルスタンダード(世界標準)は、全員が共通の枠組みを出発点にすることで5G技術を世界中に普及させるためのものだ。

アンライセンスバンドで5G NRを使用する取り組みは、チップ大手のクアルコムが早くから手をつけていたものだ。LTEにおけるそれまでの取り組みを土台にして、2017年に5Gでの研究が始まった。この技術は、リリース16でツェンが特に強調している6つの技術分野のうちの1つだ。

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アンライセンスバンドを利用する5G NR(5G NR-U)が導入されれば、容量が増えるだけでなく、5G展開の選択肢も増える。ひとつはLAA(License Assisted Access)だ。LTEにおけるLAAと同様に、アンライセンスバンドとライセンスバンド(免許が必要な周波数帯)をセットで使い、ライセンスバンドをアンカーとすることでマルチギガビットのスピードを実現する。またリリース16では、ライセンスバンドを必要としないスタンドアロン型NR-Uも用意しており、プライベートな5Gネットワークはこちらが中心になるかもしれない。

クアルコムのエンジニアリング担当バイスプレジデントを務めるジョン・スミー(John Smee)はブログへの投稿で、スタンドアロン型NR-Uは「モバイル事業者、サービスプロバイダー、移動体通信ISP、5Gプライベートネットワーク事業者など、より広いエコシステムに5Gの恩恵をもたらしてくれる」と述べている。

「さらに、NR-Uは新たな6GHz帯での5G利用にも利用できる。NR-Uは今後、リリース17を目標にしている免許不要の60GHz帯への対応といった、周波数帯の利用に関する将来的な技術革新の基礎になるだろう」と、スミーは言う。

リリース16には、超高信頼低遅延通信(eURLLC)も盛り込まれている。eURLLCは、ミリ秒レベルの低遅延で最大99.999%の信頼性を提供するもので、産業用IoTのようなミッションクリティカルな用途で必要とされている。

初期の5Gデバイスが多くの電力消費を必要としたことから、リリース16には電力効率を改善する技術が複数取り入れられている。その1つがウエイクアップシグナル(WUS)だ。アクティブかどうかを示すこのシグナルによって、デバイス全体をスリープ解除することなく低電力モードを維持できるとツェンは説明している。

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リリース16は5Gベースのポジショニングに対応しており、クアルコムによると、これは本来、ユースケースの80%における屋内利用時3m、屋外利用時10mという5G要件を満たすためだったという。

リリース16には、協調運転やセンサー共有などに利用されるセルラーV2X(C-V2X)のためのNRベースの新たなサイドリンクも含まれている。またこれとは別に、IAB対応によってミリ波対応基地局が無線アクセスとしてもバックホールとしても機能する。これは、過密環境、ファイバーが適さない場所、ファイバーの費用対効果が低い場所における5G導入でコストの抑制につながるかもしれない。

リリース16で起きることはこれにとどまらない。そして、すでに控えているリリース17では新しいプロジェクトが承認されており、2021年の完了が予定されている。

 

この記事は、FierceWirelessのBevin Fletcherが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。

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