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放射性廃棄物から生まれる、超長寿命の「ナノダイヤモンド電池」

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9年間も充電が要らない携帯電話バッテリー。100年近く保つ自動車用バッテリーパック。寿命2万8000年の電池が搭載されたペースメーカー。

このような超現実的なアイデアを語るのは、米カリフォルニア州に拠点を置くバッテリー開発企業NDBだ。同社は先ごろ、ナノダイヤモンド電池の性能を競う初期試験で優れた結果を出したことで、超現実的なアイデアは実現へと近づいていると話す。

同社の革命的なバッテリーのカギを握るのは、放射性の核廃棄物だ。原子力発電所から出る核廃棄物は膨大な量に上る。それらはきわめて有害であり、放射能レベルが下がって毒性が弱まるまでには何千年もの年月を要する。(地中に埋めるにせよ、固めて閉じ込めるにせよ)安全に処理するのは非常に難しい。

NDBによると、同社が開発するナノダイヤモンド電池では、そうした放射性廃棄物を安全に利用して発電ができるという。原子力発電所で使用済みとなった放射性廃棄物であるグラファイト(黒鉛)を処理して純度を高め、人工ダイヤモンドを合成する。ダイヤモンドに閉じ込められた核廃棄物は放射性崩壊していくが、その際に放出される粒子が、半導体によって微量な電気エネルギーに変換される仕組みだ。

このバッテリーは、充電を一切必要としない。電力の消耗度合いによるが、ユーザーの寿命が尽きた後も電力を供給し続ける可能性もある。

一般的なモバイル機器や医療機器、衛星などで使用できるほか、近寄るのが困難な場所や、定期的なメンテナンスの実施が難しい遠隔地でも電力を供給することが可能だ。

プロトタイプはまだ開発されていないが、概念実証は済んでいるとNDBは言う。ナノダイヤモンド電池は実質的に、無限に応用できるというのが同社の見方だ。

「ナノダイヤモンド電池でiPhoneを使う場合を考えてみてください」。NDB最高戦略責任者(CSO)ニール・ナイカー(Neel Naicker)はそう述べる。「同サイズのバッテリーで、1時間に5回、ゼロから100%に充電できるパワーがあります。バッテリーを丸1日充電せずに済む世界を想像してください。そればかりか、丸1週間、丸1か月間どころか、丸10年間も充電する必要がない世界を。この技術によって、それが可能になります」

実は、この概念の土台にある基本的な原理は新しいわけではない。NDB最高執行責任者(COO)モハメド・イルファン(Mohammed Irfan)はこう説明する。「放射性同位元素(ラジオアイソトープ)をエネルギー源とするコンセプトは以前から存在するものです。核医学治療では、制御装置を使った治療を患者が受けており、つねに効果が得られています。原子力潜水艦や原子力空母もあります。もちろん、プロセスはまったく違いますが、放射性同位元素は安全で問題なく電力を供給しており、安全上の問題は生じていません」

NDBが掲げるこうしたアイデアの一部については、テクノロジー界から慎重な疑問の声が上がっている。

科学・テクノロジーサイト「ニュー・アトラス」の技術系ライター、ロズ・ブレイン(Loz Blain)は、こう述べる。「NDBは、低出力と高出力の電池をそれぞれ開発していると言っていますが、実際に出力した数値を確認するまでは漠然としたままです。証拠を見るまでは、単なるアイデアにすぎません」

ブログ「NEUROLOGICA」のスティーブン・ノベラ(Steven Novella)は、NDBのバッテリーは本当に開発者らが言うような有効性を持つほど、十分な出力に達するのだろうかと疑問を呈している。「とても素晴らしい話に思える」とノベラは述べる。「しかし、肝心な要素が欠けている。─中略─ それらの機器の出力密度はどのくらいなのだろうか」

そして、核燃料を活用した同種のプロジェクトのスペックについて、ノベラはブログでこう述べている。「出力密度は低く、リチウムイオン電池のような化学電池と比べるとはるかに劣っている。NDBの技術者たちは、自分たちの出力密度がほかの核ダイヤモンド技術とほぼ同程度であることを認めている」

NDBは、新型コロナウイルス関連の隔離措置が緩和され次第、プロトタイプの開発に着手する予定だと述べており、2年以内に実用レベルのプロトタイプを完成させたい考えだ。

以前からの問題に対する究極の解決策を見つけたと確信している。

「私たちは環境にきわめて有害なものを利用して、エネルギーをつくり出しているのです」とナイカーは述べた。


詳細をみる

‘Diamond-age’ of power generation as nuclear batteries developed


詳細情報: ndb.technology/

© 2020 Science X Network

原文:Energy firm says its nuclear-waste fueled diamond batteries could last thousands of years(2020年8月28日発行、同日にhttps://techxplore.com/news/2020-08-energy-firm-nuclear-waste-fueled-diamond.htmlより取得)

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この記事は、Tech Xploreが執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまでお願いいたします。