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「都市鉱山」への環境的・経済的アプローチ
2021年10月7日は、4度目の国際電子廃棄物(e-waste)デーだった。欧州議会と欧州理事会が立ち上げたWEEE(電気電子機器廃棄物)フォーラムが提唱するこのイベントは、企業や政府が一体となり、老朽化したり使われなくなったりした電池式やプラグイン方式の電気電子製品を、修理やリサイクルを行う施設へと移送する取り組みの促進を目的としている。
リサイクルに関しては、再利用が可能な資源を収集し、新たな資源の必要性を低減する目的もある。
2021年に廃棄される電子機器や電化製品の量は、合計で約5740万トンになると推定されている。ちなみにこれは、世界で最も重い人工建造物と考えられている中国の「万里の長城」の重さを上回るほどだ。
電気電子機器から出される廃棄物の量は急増している。2020年には5360万トンと、2014年比で21%増加した。2030年には7400万トンに達する見込みだ。
急増の原因は、電気電子機器の消費率が上昇していることと(年3%ずつ上昇中)、製品寿命が短縮していること、修理の選択肢が限られていることだ。ある調査によると、平均的世帯が所有する電気電子機器72台のうち11台は、使われていないか壊れていることがわかっている。これは、使わなくなった電気電子機器を毎年1人あたり4〜5kg廃棄していることを意味する。
フランスでは、携帯電話だけでも最大で1億1300万台、重さにして10〜20トンが使われることなく家庭に眠っており、廃棄される日を待っている可能性がある。米国では、年間1億5100万台を超える携帯電話が埋め立てられている(1日につき41万6000台)。埋め立て処分される電気電子機器は、重金属汚染の最大要因のひとつだ。
こうした事態を招いた一因には、リサイクルされるものとされないものに関する一般消費者の無知がある。ある調査によれば、世界の一般の人々は「電気電子機器のリサイクル率」を約50%だと考えているが、実際にはおよそ17%にすぎない。
国際電子廃棄物(e-waste)デーを提唱するWEEEフォーラムのパスカル・ルロワ(Pascal Leroy)事務局長は、次のように話す。「電気電子分野の資源を効率的・循環的に利用するためには、たくさんの要素が関わってくるが、ひとつだけはっきりしていることがある。一般市民が使用済みまたは壊れた機器を、メーカーなどに返品したり、売ったり、寄付したりしない限り、引き続き新たな資源を採掘しなければならず、環境に大きなダメージを与えてしまうだろう」
しかるべきかたちで電気電子機器をリサイクルすることには、環境への配慮に加えて、経済的な重要性もある。たとえば携帯電話100万台には、金(ゴールド)が24kg、銅が1万6000kg、銀が350kg、パラジウムが14kgも眠っている。携帯電話をリサイクルして再処理すれば、それらの貴金属を大量に生産サイクルへと戻せるかもしれないのだ。再生可能な資源の価値は、控えめに見積もっても570億ドル(約6兆5000億円)に上る。
つまり、電気電子機器をリサイクルすることは、利便性や経済的な見返りがあり、環境にも配慮できるほか、文化と社会規範の向上にもつながるのだ。
この記事は、Digital JournalのDr. Tim Sandleが執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまでお願いいたします。