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英、2022年からイングランドのすべての新築ビルに電気自動車用充電ポイントを設置へ
2021年10月31日から11月13日にかけて開催された国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)では、交渉が難航した。議長国である英国のボリス・ジョンソン首相は、会議が閉幕して間もない11月22日、同国が推進するクリーンエネルギーをさらに後押しするため、2022年以降に英国で新築される建造物すべてに電気自動車(EV)の充電設備設置を義務づけると発表した。
ジョンソン首相は、イングランド北東部で開催された英国産業連盟(CBI)の会議で演説を行い、義務化に向けた計画を明らかにした。新築の住宅と建物を対象にしたこの規制強化は「世界の最先端」だという。
英国では今後、スーパーマーケットやオフィスビルなどを建設するデベロッパーにEV用充電スタンドを設置することが義務づけられる。その狙いは、2030年からガソリン車とディーゼル車の新車販売が禁止されるのを前に、両タイプの使用を徐々に減らすことだ。充電スタンドの設置が義務化されれば、毎年14万5000カ所ずつ設置が進んでいくと政府は見込んでいる。
建物の改修工事で駐車スペースが10台を超える場合にも、義務化の対象となる。
ジョンソン首相は、議長国を務めたCOP26が閉幕してから日がまだ浅い時期に行われた今回の演説で、英国は重要な転機に差し掛かっていると述べ、「我々は今の状態を続けるわけにはいかない」と付け加えた。
ジョンソン首相は産業界のリーダーたちに向かって、「経済をグリーン産業革命に適応させる」ためには公的資金だけが使われるべきではないと述べ、政府は科学技術と生産性向上に投資を集中させるので「後はあなたがたに任せたい」と述べた。
ジョンソン首相は、充電スタンドの設置義務化は必要だと訴え、こう続けた。「我々は規制の緩和や改善を行い、新たに生まれる自由を活かさなくてはならない」
英国政府はまた、1億5000万ポンド(約225億円)規模の新たな融資プログラムを実施することも発表した。技術革新への資金を助成する政府機関「イノベートUK」を通じ、今後3年にわたって配分していくという。その目的は、中小企業による最新研究の商品化を支援することだ。「イノベーション融資」は、グリーンビジネスを含む多様なセクターが利用可能で、企業が実施する試験的な取り組みを支援する。
英首相官邸はまた、「この種のものとしては世界初」とするグリーン水素プロジェクトに940万ポンド(約14億1000万円)を拠出することを明らかにした。これは、スコットランドの都市グラスゴーの近くにある、洋上以外では英国最大の風力発電拠点「ホワイトリー風力発電ファーム」で行われるプロジェクト「ホワイトリー・グリーン水素イニシアチブ」で、資金は英国最大の電気分解装置の開発に充てられる。この装置は、風力発電からの再生可能エネルギーを使用して、水を電気分解して水素ガスに変換するシステムだ(こうした水素は、二酸化炭素を排出せずに生成されるという意味で「グリーン水素」と呼ばれる)。この水素ガスは貯蔵され、ゼロカーボン燃料として地元の輸送業者に提供される。
英国政府は、2050年までに炭素排出量を差し引きゼロにする目標を掲げている。その実現に向けた取り組みの一環として、誰もが利用できるEV用充電設備がほぼ2万6000基設置された。そのうちの4900基は急速充電設備だ。住宅と企業にも、合計25万基がすでに設置されている。
一方、野党である労働党が結成する「影の内閣」でビジネス相を務めるエド・ミリバンド(Ed Miliband)は、政府は「自動車メーカーとそこで働く労働者を見捨てている」と批判した。「内閣は、自動車メーカーと労働者、市民を置き去りにしている。生活苦に見舞われている世帯でもエネルギー転換できるようにするために必要な措置を講じていない」
「労働党は低中所得層がEVを購入できるよう支援を拡充し、取り残された地域での充電スタンド設置を加速させることで、誰もが恩恵を受けられるようにし、グリーン社会への転換が公正に進むようにしたいと考えている」
一方、ジョンソン首相の気候関連報道官を務めていたアレグラ・ストラットン(Allegra Stratton)は2021年8月に、中古ディーゼル車を運転していることが発覚してひんしゅくを買った。EVに乗り替えない理由を問われたストラットンは、「EVにはまだ魅力を感じていない」と答えた。
ストラットンはロンドン北部に住んでおり、スコットランド南部に住む父親や、イングランド南西部グロスタシャーに住む母親、ウェールズ北部に住む祖母、イングランド北西部の湖水地方に住む義理の家族を訪ねるのに、かなりの時間がかかると説明した。
ただしストラットンは、COP26に世界の首脳たちが集結する直前の2021年10月、ディーゼル車をやめたと明かしていた。
この記事は、The GuardianのAubrey Allegrettiが執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまでお願いいたします。