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2022年はQD-OLED(量子ドット有機EL)の年になるかもしれない理由

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最新の有機ELテレビを買おうと思って品定めしているが、それなりの理由からもう少し決断を先延ばしにしようと考えている人もいるかもしれない。その理由とは、QD-OLED(量子ドット有機EL)パネル技術が、2022年に正式に市場に投入されるからだ。

2022年1月はじめに開催された世界最大級のテクノロジー見本市「CES 2022」では、最新のQD-OLEDパネルを搭載した機器をいくつか見ることができた。これまで入手可能だった最上級の有機ELテレビに勝る画質を実現するとされる。

そもそも、QD-OLEDとは何だろうか。QD-OLEDは、「量子ドット-有機発光ダイオード」の略語。後半部分のOLED(有機発光ダイオード)については見たことがあるだろう。赤・緑・青の光を直接発光する自発光型のダイオードは、LCD(液晶)ディスプレイと比較して、より深い黒や鮮やかな色とコントラストを実現できるため、「有機ELテレビ」は現在入手できる最高レベルのテレビのひとつとなっている。

前半の「量子ドット」技術も、前に見たことがあるだろう。例えば、韓国電機大手サムスン電子は、「QLED TV」製品にこの技術を採用している。量子ドットパネルでは、ナノ粒子(この場合は、微結晶半導体)の層をLEDバックライトの前面に配置し、LCDディスプレイの色域を最大で50%向上させる。また量子ドットディスプレイによって、色の調整と輝度も向上する。

これらはすべて、白色バックライトではなく青色光源で機能する量子ドット層のおかげだ。青色光は、白色光と比べて調節可能な光エネルギーが大きく、より広い色域をつくり出せる。また、パッシブ型カラーフィルターを除去することで、ディスプレイ輝度も向上する。フィルターによる光の損失が減るからだ。

つまり量子ドットテレビは、現在入手できる最高レベルのものの一つだ。だが、量子ドット技術が有機ELディスプレイに適用されれば、状況はさらに良くなる。

「デメリットのない有機EL(OLED)」のメリット

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有機EL画素が発光性を持つにもかかわらず、有機ELパネルは、それだけでは同レベルの液晶と同等の明るさを実現できない。赤、緑、青(RGB)有機EL画素の輝度を高める白色サブ画素の助けが必要になる。これは、韓国LGディスプレイの有機ELパネルが、実際に「RGB」パネルではなく白(White)の頭文字Wを加えた「WRGB OLED」と呼ばれている理由のひとつだ。だが、白色層の後押しによって色精度を犠牲にせずとも輝度を向上させることには限界がある。

QD-OLED(量子ドット有機EL)では、量子ドット層を追加することにより、白色サブ画素有機ELを完全な青色有機ELパネルに置き換えることができる。より高いエネルギー励起状態にある量子ドットは、特定の周波数の光が当たると発光し、これによって赤色と緑色をつくり出す。つまり、追加のカラーフィルター処理を行う必要がないため、色を生成することなく、QD-OLEDディスプレイの輝度を、従来の有機ELパネルよりも高めることができるわけだ。

百聞は一見にしかず

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QD-OLEDは派手な売り込みが大げさ過ぎると一蹴したり、普通の人が見てもわからないほど細かい改良が有機ELテレビに加えられたにすぎないとして片付けたりするのは簡単だろう。だが、本記事が掲載された『Tom’s Guide』の記者が自分の目でQD-OLEDディスプレイを確認したところ、圧倒されてしまった。

CES 2022で、米デル・テクノロジーズが発表したQD-OLED曲面ディスプレイ「Alienware 34 Curved QD-OLED」を見る機会を得た『Tom’s Guide』統括編集長のマーク・スプーナウアー(Mark Spoonauer)は、目を見張るようなディスプレイの色彩と優れた視野角特性について、「実に素晴らしい」と驚嘆した。1000nitsの最大輝度と、工場出荷時にキャリブレーションされた色も悪くなかった。

2022年を通して、QD-OLEDのテレビやディスプレイを目にする機会が多くなるはずだ。サムスン電子は、ソニーの最新4Kテレビ「Bravia XR A95K」の製造に関して同社と連携している。サムスンは現在、「マイクロLED」や「Neo QLED」TVシリーズに注力しているが、同社が独自の「消費者向けQD-OLEDテレビ」の開発に向けて取り組んでいることも知られている。

そうであってほしい、と我々は考えている。2022年に登場するQD-OLEDテレビやディスプレイはどれも、高価である可能性が高いからだ。最新の画面技術に関してはみな、それが通例になっている。だが、その技術を採用するメーカーが増えるにつれて、価格は下がっていく傾向がある。有機ELテレビが現在、これまでよりも手頃な価格で買えるのはそのためだ

それでも、QD-OLEDは「2022年のスクリーン技術」になるかもしれない。外観が非常に印象的なだけでなく、標準的な有機ELディスプレイに共通する諸課題を解決しているからだ。

この記事は、Tom’s GuideのRoland Moore-Colyerが執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまでお願いいたします。