CLOSE

About Elements

美しい未来のために、
社会を支えるテクノロジーを

TANAKAは、「社会価値」を生む「ものづくり」を世界へと届ける「貴⾦属」のスペシャリスト。
そして、「Elements」は、わたしたちのビジネスや価値観に沿った「テクノロジー」や「サステナビリティ」といった
情報を中⼼に提供しているWEBメディアです。
急速にパラダイムシフトが起きる現代において、よりよい「社会」そして豊かな「地球」の未来へと繋がるヒントを発信していきます。

Elements

美しい未来のために、
社会を支える技術情報発信メディア

検索ボタン 検索ボタン

ブルー水素:エネルギー産業におけるゲームチェンジャー

この記事をシェアする

「ブルー水素」とは、水蒸気メタン改質(SMR)と呼ばれる手法を用いて、天然ガスから回収した水素のことを指す。SMRとは、天然ガスと超高温の水蒸気を触媒の存在下で混合し、化学反応を起こして一酸化炭素と水素を得る技術だ。これらのほかに二酸化炭素(CO2)も排出されるが、CO2は「二酸化炭素の回収・有効利用・貯留(CCUS) 」技術を利用して回収され、地下に貯留される。最終的な産物は、ほぼ純粋な水素となる。ブルー水素の重要性は高まりつつあり、今後数年のうちに、世界のブルー水素市場は急成長をとげると期待されている。

ブルー水素のグローバル市場が成長している背景には、CO2排出量の少ないクリーン水素エネルギーがますます注目されていることに加えて、自動車業界において、水素燃料を使う推進装置の普及拡大がある。加えて、ブルー水素はグリーン水素(製造工程においてもCO2を排出せずにつくられた水素)の起爆剤となることが期待されており、今後数年以内に世界規模で市場の拡大が予想されている。

自動車推進装置における水素燃料の利用増加や、さまざまなセクターでの水素エネルギーを利用した電化の拡大も、ブルー水素のグローバル市場の成長への追い風となるだろう。グリーン水素やブルー水素で構成される「低炭素な水素」は、エネルギー業界に革新をもたらすゲームチェンジャーと目されており、数々の障壁を乗り越えつつ存在感を増している。

燃料電池自動車でのブルー水素利用拡大が、市場拡大の起爆剤に

ブルー水素の国際的市場は、工業化とグローバル化に加えて、化学工業などエンドユーザーセクターにおけるクリーンな水素の需要の高まりを背景に成長しつつある。最も重要な水素エンドユーザーセクターの一つが化学工業だ。世界で生産される水素の3分の2以上を化学工業が利用している。なかでも、アンモニアとメタノールの製造が、用途の大部分を占める。

また、近い将来、燃料電池自動車の水素需要が、世界のブルー水素市場をけん引すると予測されている。燃料電池自動車は、汚染物質を排出しない交通手段であり、いずれ化石燃料自動車に取って代わる可能性がある。世界各国の政府は、温室効果ガス排出削減の手段として、燃料電池自動車の利用拡大を促進しており、補助金や税制優遇に加えて、燃料電池自動車に必要なインフラ整備への投資を強化している。これにより、自動車業界で水素利用が普及しつつあり、このことが将来的に、ブルー水素需要の拡大に貢献すると目されている。

一方で、ブルー水素は、CO2の貯蔵と輸送を大きく必要としており、また貯蔵されたCO2のモニタリングも必要となるため、社会的にどこまで許容されるかについては懸念がある。将来的にはこうした要因が、世界のブルー水素市場の成長を妨げる可能性もある。

オランダは2020年10月、世界初となる水素取引市場の開設計画を発表し、北西ヨーロッパにおける水素市場の中心地となっている。政府から委託された調査によると、オランダ政府は早ければ2026年に、水素取引市場の運営を開始する意向だ。同国政府は、CO2排出を削減するため、ブルー水素とグリーン水素に重点を置いている。

詳細な分析については、レポートパンフレットを参照

現段階では、コスト効率の高い最先端の手法である水蒸気メタン改質(SMR)が市場シェアの大部分を占めており、今後数年は同様の状況が続くと考えられる。世界の主要な石油・ガス精製プラントや石油化学企業の多くが、SMRを利用してブルー水素を生産している。

エンドユーザーセクターにおけるブルー水素の需要拡大が、アジア太平洋市場の成長を牽引

韓国、インド、中国などの国々において、肥料工場、化学企業、精製所などのエンドユーザーセクターでの水素需要が伸びていることから、アジア太平洋地域のブルー水素市場も急速な成長が期待されている。

現在、ブルー水素のグローバル市場の中心はヨーロッパだ。ヨーロッパの多くの国々は、グリーン水素やブルー水素をはじめとするサステナブルなエネルギー源を重視しており、水素イニシアチブ宣言などの先進的政策を掲げていることから、今後もヨーロッパが大きな市場シェアを占める状況は続くとみられる。グリーン水素やブルー水素を含むクリーンエネルギーの需要は高まっており、近い将来の地域市場の成長が見込まれている。

この記事は、TechBullionのPragati Pathrotkarが執筆し、Industry Dive Content Marketplaceを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまでお願いいたします。