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「飲むドクター」が変える診断の未来

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研究者は、比較的シンプルな磁気測定を利用して、検査対象の体内にあるカプセルを追跡することができる  Top Image Credit: MIT

内視鏡検査は現在ごく当たり前になっているが、不愉快なものである。しかし近いうちに、マサチューセッツ工科大学(MIT)とカリフォルニア工科大学(Caltech)の技術者たちによる新しい装置が、内視鏡検査に代わる簡単で正確な手段になるかもしれない。MITのニュースリリースや『TechCrunch』の記事によると、研究者たちが設計したのは、電磁場を利用して患者の身体外側から簡単に追跡でき、経口摂取が可能な錠剤の形をしたセンサーモジュールだ。初期の試みでは、この方法がいつの日か便秘や胃食道逆流症、胃不全まひのような症状を評価する効果的な手段になる可能性があることが示されている。

Nature Electronics』に2023年2月13日付けで発表された論文では、いずれはX線や核医学画像研究、内視鏡評価に代わる一般的な手段になると思われる技術の初期段階が示されている。仕組みは比較的単純だ。磁気センサーを内蔵したモジュールカプセルを被験動物が飲み込んだあと、研究者たちは外部コイルを使ってカプセルの移動距離と場所を測定した。当然ではあるが、センサーの磁気測定値はカプセルが被験動物の消化管を移動し、体外にある基準点読み取り装置から離れるにつれて弱くなった。

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論文の筆頭執筆者のひとりで、現在はニューヨーク大学の生物工学アシスタントプロフェッサーを務めるカリル・ラマディ(Khalil Ramadi)は、「現在の技術では、コイルの近くにいる動物や人間が、そのたびに前回とまったく同じ姿勢にはならない可能性が高いという問題がありますが、体外の基準センサーを使うことでこの問題の解決に役立ちます」と説明している。「X線を正解データ(ground truth:推測されたものでなく、実際に観察されたデータ)として使えない場合は、常に同じ場所にある一貫した基準がない限り、錠剤の場所を正確に示すのは困難です」

MITによると、このセンサーには無線送信機が内蔵されており、測定値を手動トリガーまたは予定した間隔で、近くにあるスマートフォンやコンピューターに送信するという。研究者たちはこのシステムが精度を落とさず、複数カプセルを同時にサポートできるとも話している。仮に、動きに何らかの減速が見られた場合は、閉塞や炎症などの問題を示している可能性がある。

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経口摂取可能な医学装置の技術は進歩しつつあるようだ。最近では、体内で薬を安全に送達し、外側の膜が分解されると薬を放出できるロボットが入ったカプセルが開発されている。同様に、消化しやすく「溶ける」磁性材料でも目覚ましい発展があり、薬を送達する目的で近いうちに利用される可能性がある。

ラマディたち研究チームの次の段階としては、人での臨床研究に移行する前に、できれば動物実験の試みをさらに拡大することが含まれている。すべてが計画通りに進んだ場合は、胃腸の問題を抱えている数百万人の患者たちにとって、長いチューブを飲み込むよりもはるかに簡単な代替手段が選択肢となる日が、そう遠くなくやってくるだろう。

この記事は、Popular ScienceのAndrew Paulが執筆し、Industry Dive Content Marketplaceを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまでお願いいたします。