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機械学習は、企業と顧客の「リアルタイム」に革命を起こす

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機械学習(ML)の革命が到来したことで、ビジネスの手法と捉え方が変わりつつある。ChatGPTのようなジェネレーティブAIチャットボットから、ネットフリックス(Netflix)のおすすめ映画の自動パーソナライズまで、MLはいくつかの業界に電光石火のごとく広がっている。さらに、ML技術の進歩は、現在の諸企業が直面する極めて大きな課題の解消にも役立てられている。つまり、「完璧な顧客体験」をどうやって提供するか、という課題だ。

MLを活用して顧客体験の向上を図る企業が増えてきている。ある調査によると、2022年に211億7000万ドル(約2兆8400億円)だったML市場は、ML技術の採用増加により年平均成長率(CAGR)38.8%で急拡大し、2029年には2099億1000万ドル(約28兆1800億円)の市場になると予測されている。消費者を集めて維持するには、質の高い顧客体験の提供が重要になる。実際に、消費者の85%は、企業が提供する体験は、製品やサービスそのものと同じくらい重要だと述べている。顧客の動機や好みの深いインサイトを得ようとして、MLに頼るところが増えてきているのは驚きではない。

ML分析にはさまざまな形がある。例えば、インテリゲージ(Intelligage)は、「感情認識AIモデルを活用してZoomとGongにおける会話を分析し、購入者一人ひとりの意図を捕捉することで、一人ひとりの『第4次元』を読み取るものへと、顧客プラットフォームを拡張する」と主張している。同社のサービスでは「顧客とのやりとりを一つひとつ記録し、話されている内容を把握することで、顧客体験を充実させるためのインサイトを引き出すことができる」とされている。さらには、顧客対応時の「感情知能(emotional intelligence)」の活用法をチームに訓練するための「デジタルコーチ」も提供している。

一方、イスラエルのオーカム(OrCam)は、コンピュータビジョンを活用して、目の見えない人、見えにくい人、読むことが難しい人などが日常的な消費活動に参加できるように支援する先駆的なAIソリューションを開発している。コンピュータビジョン、ML、自動音声認識(ASR)、自然言語処理(NLP)、自然言語理解(NLU)など、さまざまなAI分野における独自の知識を組み合わせて、携帯デバイスと装着デバイスを提供している。

ロービジョン(弱視等の低視覚)の人に向けたオーカムの製品、「オーカム・マイアイ(OrCam MyEye)」と「オーカム・リード(OrCam Read)」は50カ国以上(25言語以上)で提供されており、広範囲にリーチしている。2022年9月に英国で発売された、学習障害児向けの読み書き教育ツール「オーカム・ラーン(OrCam Learn)」は、現在英語版が米国と英国で販売されている。

AIを使った音声/意思分析サービスを提供するエモーション・ロジック(Emotion Logic)の親会社ネメシスコ(Nemesysco)のアミール・リバーマン(Amir Liberman)CEOは、「ビッグデータが拡大して先進のAI技術が使えるようになり、感情を検知する技術が進歩したことが、トレンドを推進している」と語る。「こうした動きが、特に強力に起こっているのが日本だ。顧客サービスを非常に重視する日本において、感情のインサイトと顧客の振る舞いを、顧客体験や満足度の向上、販売の促進に活用するため、当社が採用されている」

「顧客行動のリアルタイムデータ」の衝撃

消費者はリアルタイムで判断を行っており、少しでも遅れや不便があればすぐにサイトから離脱してしまう。消費者に関する全般的な情報の収集についてはアンケートや性格診断でいいが、現代の企業が他社に先んじるためには、顧客行動に関するリアルタイムのデータや、そうした顧客行動が意思決定にどういう影響を与えるかの分析が必要だ。そのようなデータがあれば、消費者のニーズに対応して収益を改善させるためのロードマップを描くことができる。

背景となるデータがある。マーケティングとセールスのプラットフォームを提供するハブスポット(HubSpot)が2018年に発表したレポートによると、顧客の90%がサービスに「迅速な」対応を求めており、60%が「迅速」とは10分以内のことだとしている。これは現在も大きく変わっておらず、フレッシュワークス(Freshworks)の調査によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの期間中、顧客の52%が、待ち時間が長いという理由で購入をやめているという。

AIデータ企業データスタックス(DataStax)のトマス・ビーン(Thomas Been)最高マーケティング責任者(CMO)によれば、リアルタイムのデータとは要するに、電話の向こうにユーザーがいるときや、あるいは、アセットのルーティングや停止が必要な不正取引などについて即座の判断が必要なときに、即座に対処できるようにするためのものだ。「どんな状況であっても、アプリケーションがコンテキストを理解し、その場で対処できるようにするのだ。即座に使えるデータが、こうしたアクセスにつながる。リアルタイムのインパクトとは、その場で一定の結果をもたらすことができる、あるいは一定の結果を防ぐことができる、こうした能力のことなのだ」とビーン氏は語る。

カリフォルニア州サンタクララに拠点を置くデータスタックスは、オープンソースのNoSQLデータベース「Apache Cassandra」をベースにしたサービスを提供しており、どの企業でも、リアルタイムデータを利用して、スマートで急成長するアプリケーションを、規模の制限なく迅速に構築することができる。データスタックスのデータベースは、スタートアップ企業のほか、ゲーム、SaaS、銀行などさまざまな分野でフォーチュン500企業の約90%を支えており、アップル(Apple)、ネットフリックス、ウーバー(Uber)をはじめとする、50カ国以上の800を超える顧客企業にサービスを提供している。

データを定期的に処理し、情報が古くなる可能性があるバッチ処理システムと異なり、リアルタイム処理は間をおかないことから、遅れなく情報が最新の状態に保たれる。ビーン氏によるとデータスタックスの顧客企業は、金融サービスだとミリ秒単位、その他だと分単位と「リアルタイム」の基準は違うが、最終的な目標はどちらも顧客とのやりとりにおいて絶好の機会を逃さず迅速に行動することだ。

インテリゲージの共同創業者でもあるブライアン・プラスター(Bryan Plaster)CEOは、「細かなニュアンスが重要だ。顧客行動を促す結果に影響するかもしれない、気づかれていないデータはたくさんある」と指摘する。例えば、満足した顧客に対して、担当者が「グリーンで90%正常」と評価したとする。それは、実際にはどういう状態を意味しているのだろうか。データを一段階深く分析すると、「感情(sentiment)」は76%であり、顧客との最後のやりとりでは、明瞭度と主観性の上昇、言葉の選択の極性(polarity)が認められた結果、「態度(attitude)」は81%という結果だった。このようにMLは、データからパターンを発見し、顧客が何に満足し、その満足が何によって持続するのかについて、企業が把握できるよう支援する。

ML活用の新しい波

ML革命を主導する多くの企業が、数十年にわたって悩まされてきた「カスタマージャーニーの問題」の解決を目指している。

例えば、AI音声分析による先進機能の登場により、消費のあいだでは音声検索によって情報を即座に得る動きが広がっている。企業側は、音声分析と先進の感情検知機能によって、顧客一人ひとりの関心と本当の感情を、これまでよりも深く把握できる。これを踏まえると、従来から存在する顧客インタラクションの環境と、新しいメタバース環境の双方において、とてつもない可能性が生まれる、とエモーション・ロジックのリバーマン氏は語る。

「感情データを正確に記録すること、つまり、特定のキーワードや大声が表す感情といったものにとどまらず、顧客の心の中まで反映したものにすることが非常に重要だ。関連性のないデータに基づくシステムは、時間とコストの無駄に終わる可能性が高い。真の感情検知と人物評価を組み込んだシステムに比べると、成功率はおそらく低くなる」とリバーマン氏は語る。

「サービスとしての感情知能(Emotional Intelligence-as-a-Service)」というこの新たなフロンティアは、顧客の好みや動機に関する貴重なインサイトをもたらすことで、顧客行動に大きな影響を与える可能性がある。つまり、「リアルタイムでの感情知能」に基づいて顧客体験をパーソナライズすることで、企業は顧客満足度を高めるとともに、顧客をアシストしてその目標が達成されるようにうまく導くことができる。このとき、消費者にとってのショッピング体験は、さらに便利なものになる(特に、新たなメタバースの世界において)。

「Web3やメタバースという新しい世界において、こうした新しいバーチャル環境のバーチャルエージェントがもたらす衝撃を想像してみてほしい。独自の人格とスタイルをもち、人々の人格やスタイルを本当に理解してくれるようなエージェントだ」とリバーマン氏は述べる。

それでは、ダイナミックに変わり続けるカスタマージャーニーにおいて、AIやMLは今後どのようなものになるのだろうか。データスタックスのビーンCMOによると、ウーバー、ネットフリックス、Zoom、Gongをはじめとするこの分野のリーダーは、MLとAIのイニシアチブを強化すべく、リアルタイムデータの活用を増やしている。ただし、顧客体験をスムーズにする予測やレコメンドを、MLモデルがスピーディに生成するには、今後さらなる取り組みが必要になるという。

インテリゲージのプラスター氏は、「新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって、Zoomやオンラインチャットなどでの会話がデジタル記録されるようになった。会議を自動機能で迅速に要約してCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)に追加できるようになったことで、販売担当者の生産性が変わりつつある」と指摘する。ジェネレーティブAIと感情知能は、ビジネスの勝敗に大きな役割を果たす、と同氏は述べている。

データスタックスのビーン氏は、「リアルタイムAIのブレイクスルーは差し迫っており、アプリケーションの未来が定義、あるいは再定義されるだろう」と述べる。「一部のアナリストは、アプリケーションの70%から90%が、AIやMLを搭載したものになると予測しており、リアルタイム、AI搭載、そしてクラウドネイティブな新世代のアプリケーションによって、データサイエンスとアプリケーション開発の世界の統合が促進されるようになる。AIによって価値のレイヤーが追加され、ビジネスは、顧客ごとのパーソナライズを進めた対話を構築できるようになる。まさにWin-Winの関係だ。顧客満足度が上がり、消費が増え、そして企業は成長していく」

この記事は、Fast CompanyのFast Company Staffが執筆し、Industry Dive Content Marketplaceを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまでお願いいたします。