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スタンフォード発、国際宇宙ステーション行きの集積回路調査

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世界は近年、化石燃料からの転換に向けて重点的に取り組んでおり、将来の電力供給の手段として再生可能エネルギー源を活用することを目指している。現在、世界のエネルギー生産量の22%が、各種の再生可能エネルギー源に由来している。その一つが、急成長する太陽エネルギーソリューションであり、それを支えているのが光起電デバイスだ。

よりエネルギー効率の高い光起電デバイスを開発しようとする研究者らは、国際宇宙ステーション(ISS)にある米国立研究所に目を向けている(ISSの米国区画は、国立研究所として位置付けられている)。この研究成果によって、電力供給の効率が向上するかもしれない。

米スタンフォード大学の研究チームは、スペースXの第28回商業補給サービス(CRS)ミッションによって、実験装置をISSに送り込んだ。このプロジェクトの目的は、微小重力を利用して、光起電デバイスに使われる素材の合成技術を向上させることにある(光起電デバイスは、日光を電気に変換して太陽エネルギーを利用できるように設計されている)。

研究チームは宇宙空間で、硫化銅インジウム(CuInS2)半導体結晶にアニーリング(焼きなまし)を施す計画だ。その目的は、地球上での結晶生成で一般的に発生する欠陥を減らすことにある。CuInS2結晶の品質を高めることで、より高効率な光起電デバイスの開発が可能になると考えられているのだ。

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結晶子の走査型電子顕微鏡写真

スタンフォード大のリサーチエンジニア、ジェシカ・フリック(Jessica Frick)氏は、「微小重力状態でアニーリング処理を実行することで、均一な導電性を持つ、より一様な結晶を生成したいと考えています」と説明する。

フリック氏によると、こうした一様性はより高効率な太陽電池製品を開発するためのカギとなる。「結晶内に欠陥が存在して、欠陥が不均一に散らばっている場合は、電子伝達に影響を及ぼすことになります。これは、太陽エネルギーがどのくらい効率的に電気エネルギーに変換されるかに影響します」

太陽電池は、日光を集めて電気エネルギーに変換し、さまざまな機器に電力を供給する。これを引き起こすために、電子が半導体に助けられながら回路を通って移動する。フリック氏によると、半導体結晶の内部に不純物が存在したり、不純物濃度が不均一だったりする場合、電気抵抗性の領域と高速接続性の領域が混ざる可能性がある。

半導体結晶を宇宙空間で生成すれば、こうした問題を解決する助けになるかもしれない。重力によって発生する力は、地球上で生成する結晶に不純物ができる一因となっており、宇宙空間であればそうした力が排除されるからだ。フリック氏と研究チームは研究のために、CuInS2結晶をISSに送り込んでいる。ISSでは、結晶を加熱して冷却するアニーリング処理を実施する

CuInS2結晶は、摂氏約400度まで加熱してから冷ました後、分析のために地球に送り返される予定だ。宇宙空間の条件により、地球上で製造されるものよりも高品質な結晶の生成が可能になることを、研究チームは期待している。

この記事は、SpaceDaily.comが執筆し、Industry Dive Content Marketplaceを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまでお願いいたします。