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塩がEVシフトの主役になる可能性、リチウム不足で

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(Bloomberg)──ブルームバーグ・ニューエナジー・ファイナンス(BNEF)によると、バッテリーに用いるリチウムをはじめとする金属に関して、2022年に価格高騰に直面した自動車メーカー各社は今後、ナトリウム系電池の採用を増やす可能性がある。電気自動車(EV)の販売が急増するなか、原材料の逼迫を軽減させることが目的だ。

BNEFは2023年6月8日に公開したテクノロジー分析リポートのなかで、ナトリウムはまず中国自動車市場の最も安価な価格帯で市場シェアを獲得し、2035年にはリチウム需要のうち約27万2000トンがナトリウムに置き換わる可能性がある、との見方を示した。27万2000トンとは、同年における市場全体の7%相当だ。BNEFによると、長期にわたるリチウム不足が発生すれば、切り替えはさらに大規模に進む可能性がある。

BNEFのアナリストはリポートで、「ナトリウムイオン電池は、複雑かつ拡大するリチウムのサプライチェーンにかかる圧力を軽減できる代替テクノロジーだ」と述べている。「基本的な見通しにおいては、ナトリウムイオンの相対的シェアは小さく見えるかもしれないが、絶対的な増加は非常に大きい。これは、市場全体の成長スピードが大きいためだ」

ナトリウムの利点は、世界中の岩塩や塩水に豊富に存在するところだが、性能の面で他のバッテリー金属に後れを取っていた。中国がナトリウム系電池をベースにした低コストEVを発表したことは、この技術にとって重要な節目になる可能性がある。

ナトリウム系電池の広範な商業化はまだ数年先になる可能性があるものの、将来性は認められている。メインストリームおよびハイエンドなEVの需要急増が続くなかで、ナトリウム系電池がリチウム不足を緩和するほど人気を集めるかについては、議論が巻き起こっている。

BNEFは一つの極端なシナリオとして、次世代ハイエンドバッテリーによる消費急増にリチウム採掘が対応できなければ、大衆車市場でナトリウムが代替して、2035年までにリチウムの全体的需要を37%(140万トン)減らす可能性があると述べている。

そのためには、サプライチェーンの大規模な再構築が必要になるかもしれないが、低コストのリン酸鉄リチウムイオンバッテリー(LFPバッテリー)がここ数年間で広く採用された実例があることから、原材料コストの上昇に対応して、新しいバッテリー技術の採用が急速に進む可能性はある、とBNEFは述べている。

「BNEFの予測では、ナトリウムイオンのエネルギー密度は2025年に、2020年代はじめのLFPと同等になると見られる。2020年代はじめとはつまり、LFPが世界のバッテリー需要のかなりの部分を担うようになったときのことだ」

バッテリー金属については、需要と供給の両方が猛烈なペースで増加しており、業界の将来の成長について予測することは、困難で論争の的になっている。

バッテリー化学と抽出技術、この双方の技術的なブレークスルーにより、これから数年以内に市場で大規模な連鎖反応が起きる可能性がある。一部のアナリストが市場は大きく持ち直すと予測する一方で、ゴールドマン・サックスなどのように、最近の値崩れは収束が見通せない、としているところもある。

ナトリウムイオンバッテリーの成功可能性は、何が正解なのかを判断する必要がある消費者にとって、すでに無視できないほど大きなものになりつつある。

中国にある世界最大手のEV用電池メーカーCATL(寧徳時代新能源科技)は2023年4月、中国の自動車メーカーに対してナトリウム電池を供給する初めての取引を発表したが、このとき、ドイツの化学メーカーBASFでバッテリー金属の商業担当責任者を務めるジョージ・ヘッペル(George Heppel)氏は、Twitterでこう述べている。「今後、EV予測において、ナトリウムイオンに関する合理的で現実的な見方をしていないリチウム分析企業からは、調査リポートを一切購入しない」

そして、「今のところ、ほとんどの分析会社からリポートを購入できないようだ」とヘッペル氏は続けている。

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©2023 Bloomberg L.P.

この記事は、BloombergのMark Burtonが執筆し、Industry Dive Content Marketplaceを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまでお願いいたします。