CLOSE

About Elements

美しい未来のために、
社会を支えるテクノロジーを

TANAKAは、「社会価値」を生む「ものづくり」を世界へと届ける「貴⾦属」のスペシャリスト。
そして、「Elements」は、わたしたちのビジネスや価値観に沿った「テクノロジー」や「サステナビリティ」といった
情報を中⼼に提供しているWEBメディアです。
急速にパラダイムシフトが起きる現代において、よりよい「社会」そして豊かな「地球」の未来へと繋がるヒントを発信していきます。

Elements

美しい未来のために、
社会を支える技術情報発信メディア

検索ボタン 検索ボタン

2020年、地球全体の「人工物の質量」は「生物量(バイオマス)」を上回った

この記事をシェアする

2020年、人類が全世界に残した莫大なフットプリントが、それ以外のすべての生物が地球に与える影響を上回ったことが、新たな研究で示された。

この研究の推定によれば、プラスチックの量だけを見ても、すべての陸生動物と海生生物を合わせた量を上回る。

私たちは得てして、「地球の広大さ」や「無限にも思える自然界の豊かさ」を信じがちだ。しかし研究チームは、人類と自然のバランスの現状を、客観的かつ厳密な方法で測定することにした。

この研究により、コンクリートや金属、プラスチック、レンガ、アスファルトなどの生産を含む人間活動が世界に与える影響が、ひとつの転換点に到達したことがわかった。主に大量消費と都市開発から生じる人工物量(人工物の質量:human-made mass)が、地球上の全生物の質量から構成される生物量(biomass)を上回ったのだ。

『ネイチャー』誌に掲載されたこの論文によれば、平均すれば全世界の誰もが毎週、自分の体重以上の人工物を生み出している計算になる。

20世紀が始まって以来、人工物量は急速に増え続けており、20年ごとに倍増している。

研究チームは、人間活動が地球に及ぼす急激かつ重大な影響を考慮して、現代を「人新世(Anthropocene)」と呼ぶべきであるという提案を支持している。

イスラエルのレホヴォトにあるワイツマン科学研究所のロン・ミロ(Ron Milo)らは、1900年から現在までの世界における生物量と人工物量の変化について調べた。計算には、水分を除いた乾燥重量の推定を用いた。学問的には「人為起源物質量(Anthropogenic mass)」と呼ばれる人工物量は、人類がつくりだした無生物の固形物体に含まれる量と定義され、廃棄物は除外された。

分析の結果、人工物のカテゴリーで支配的だったのは、建物やインフラの形で存在するコンクリート、骨材、レンガ、アスファルトから構成されていた。一方、世界の生物量で大部分を占めていたのは、植物と低木だった。

20世紀初頭、世界における人工物量は、生物量の約3%にすぎなかった。だが2020年には、人工物量は約1.1テラトン(1兆1000億トン)に達し、生物量を上回った。

人工物量が増加したことで、植物生物量への影響も増大している。「最初の農業革命以降、人類は植物の生物量をほぼ半減させた」と、論文著者たちは書いている。「現代農業がますます多くの土地を作物栽培に利用する一方で、森林伐採や森林管理およびその他の土地利用の変化によって、栽培作物の総量をはるかに上回る量の植物が失われている。このような地球規模で生じる生物量の変化は、炭素循環と人類の健康に影響を与えている」

数十年というレベルで見ると、人類の影響は一定だったわけではなく、増減があった。1950年代にレンガからコンクリートへの転換が起き、また1960年代にアスファルトによる道路舗装が普及すると、人工物量は急激に増加した。

「人為起源物質の総量における変化は、世界大戦や深刻な経済危機といった世界規模のできごとと結びついている」と、論文は述べている。最も顕著な動きとして、人工物量は第二次世界大戦の直後から年5%以上の増加を続けている。「グレート・アクセラレーション(大加速)」と呼ばれるこの激変は、消費の拡大と都市開発によって特徴づけられている。

逆に、不況の際には人類のフットプリントは減少する。世界恐慌や1979年のオイルショックの際には目立った落ち込みがみられた。

「21世紀における地球の様相は、人類の活動と人工物の製造および蓄積により未曾有の影響を受けている」と、研究チームは述べる。

1900年以降、世界の生物量はわずかに減少した一方で、人工物量は急速に増加し、その生産量は年間30ギガトン(300億トン)を超えている。このペースで人工物の生産が続けば、人為起源物質量は、2040年までに3テラトン(3兆トン)を超えるだろう。

「地球上の人間活動の規模と影響を定量化し評価しようという取り組みが最近行われており、この研究もそれに連なるものだ」と論文は述べている。「こうした活動の影響は、きわめて急激かつ甚大だ。そのため、現在の地質年代の名称を「人新世」に変える提案がなされている。我々の研究は、この提案の妥当性を厳密に、かつ定量的に裏付けている」

 

この記事は、The GuardianのSandra Laville Environment correspondentが執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまでお願いいたします。