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アマゾンとUPS、「水素燃料電池を使った配送車」の展望を語る

  • 環境
2021/8/25

概要:

  • アマゾンのミドルマイル(倉庫から倉庫への中間物流)を担う部門、ミドルマイル・フリート(Middle Mile Fleet)のリーダー、ティファニー・ニーダ(Tiffany Nida)は、米超党派政策連合(Bipartisan Policy Coalition)が主催したウェビナーに出席し、水素による燃料電池自動車についてのアマゾンの考えを明かした。同社は水素燃料電池自動車について、バッテリー式電気自動車より軽量で、燃料充填にかかる時間も短く、走行距離も長くなると見ているという。ただし「水素技術とその実証にはまだ時間がかかるだろう」とも同氏は述べた。
  • 同じくウェビナーに出席した物流大手UPSの運輸施策担当上級副社長トーマス・F・ジェンセン(Thomas F. Jensen)は、「水素が(中略)未来の一部を担うことになることは、ほぼ間違いない」と述べた。「しかし正直なところ、その未来はまだ明確に定義されていない」
  • ニーダとジェンセンによると、アマゾンもUPSも、いずれは輸送車両に水素トラックを導入することになるだろうと考えている。UPSは水素トラックについて、将来的には長距離輸送トラックの選択肢になると見ている。それに対してニーダはアマゾンの考えとして、「詳細の決定はおそらく先になる」と述べた。

インサイト:

水素による燃料電池自動車の実現がまだ先であることから、サステナビリティを巡る短期的なプロジェクトは、バッテリー駆動電気自動車(BEV)が中心となっている。

アマゾンは2019年に電動配送トラック10万台を発注したほか、2021年にはラストマイル用に圧縮天然ガス(CNG)駆動の配送車を700台購入した。これらは、同社が独自に掲げるサステナビリティ目標のひとつである、2030年までに全出荷の50%で「ゼロカーボン」、つまり二酸化炭素排出量を実質ゼロにすることを目指す動きだ。

「私たちは、大型電動トラックの大量購入も検討しているが、そうした大型車両の技術と市場は後れを取っている」とニーダは述べた。

このウェビナーは、超党派政策連合と、NPO組織の自動車電化連合(Electrification Coalition)、米国のエネルギー安全保障を推進するセキュアリング・アメリカズ・フューチャー・エナジー(Securing America’s Future Energy)が共同作成した報告書に沿って行われた。この報告書では、電動トラックの導入加速に向けて政策が果たせる役割が提言されている。

3つの主な提言:

  • 「クラス4」以上の中型・大型EV車の販売に対して、30%の製造者クレジット(manufacturers’ credit)を創出する。
  • 充電ステーションの購入・設置費用の30%をカバーする固定資産税額控除に関して、10万ドルという上限を撤廃する。
  • 州による大型充電施設の設置を推進するため、米連邦政府のインフラ財源の「一部」を提供する。

ニーダはアマゾンの考えとして、報告書の提言は「市場を加速させるための最善策だ」と述べた。

UPSは企業目標として、2050年までに世界全体の同社事業でカーボンニュートラルを達成することを掲げている。ジェンセンによればUPSは、民間企業として米国最多の代替燃料車両を有している。そのほとんどはラストマイル用だが、一部は長距離トラックだ。また、同社には以前からプロジェクトの一覧表があり、水素をはじめとした多様なテクノロジーを、異なる動作環境で試験運用しているという。

「しかし、そうは言っても、私たちは多くの分野で市場の動きを熱望している」とジェンセンは述べた。

UPSは2020年に、英電気自動車メーカーのアライバル(Arrival)が製造したラストマイル用配送車1万台を発注した。2017年には、テスラのEVトラック「テスラ・セミ」を125台発注。1度の発注規模としては最大だとジェンセンは述べた。今のところ、いずれの発注も納入が遅れている。

ニーダによると、アマゾンにとって最初の難関は、配送車を入手できるか否かだという。アマゾン側が投資に意欲的で、それが実際に可能だとしても必要な台数を調達できないのだ。

アマゾンはこれまで、1回につき2台から5台、10台といった規模の車両を購入あるいはリースし、試験運用してきたとニーダは話す。また、ドライバーに対してフィードバックをするように求め、車両を点検修理できるようにしている。

アマゾンとUPSはともに、充電施設という課題をはじめ、走行距離といった技術的な制約にも直面しているという。

「ネットワークが完備されるまでは、そうした電動配送車を、当社が掲げるサステナビリティ目標に近づけるほどの実質的なスケールで運用することは考えにくい」とニーダは述べている。

この記事は、Utility DiveのS.L. Fullerが執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまでお願いいたします。

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