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英国王立造幣局は都市鉱山に進出。世界初、スマホやノートPCから金回収へ

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英国のロイヤル・ミント(Royal Mint、2010年に王立造幣局の業務を受け継いだ国有企業)は2021年10月、廃棄されたスマートフォンノートパソコンなどから金を回収する事業を開始すると発表した。

カナダのスタートアップであるエクサー(Excir)が、回路基板から貴金属を抽出する技術を提供する予定であり、英国はこの技術の恩恵を受ける世界最初の国となる。

ロイヤル・ミントはこの決定に至った動機として、深刻化する電子廃棄物の問題を挙げている。現在、世界で廃棄されている電子機器のうち、リサイクルされているのは20%以下しかない。

電子廃棄物は、2030年までに年間7400万トンに達すると試算されている。現状では、570億ドル(約6兆5320億円)相当の高価な金属が、再利用されることなく廃棄されていると考えられている。

ロイヤル・ミントの広報担当者はIT Proに対し、機種や製造時期によって異なると前置きしたうえで、スマートフォン1台に含まれる金は推定0.035グラムだと説明している。

ロイヤル・ミントは、まずはエクサーが特許を持つ技術を「育成すること」に注力し、南ウェールズ地方の大規模工場で実用化する計画だ。

「工場の規模が完全に拡大すれば、大量の電子廃棄物を処理する能力を持つことになります。金をはじめとする貴金属を、年間で数百キロ生み出す予定です」と広報担当者は補足している。

貴金属の抽出は室温で行われるため、製錬よりも環境に優しい。また、ウェールズに工場を建設するため電子廃棄物を国外に持ち出す必要がなく、輸送による環境負荷を最小限に抑えることができる。

処理能力が拡大したら、電子廃棄物に含まれるパラジウム、銀、銅の回収にも使われる予定だ。

ロイヤル・ミントのアン・ジェソップ(Anne Jessopp)CEOは、「高品質でサステナブルな貴金属のリーダーとしての当社の未来を確かなものにしながら、世界最大の環境問題の一つに真の影響を与えるチャンス」と述べている。

さらにジェソップはエクサーとのパートナーシップについて、「英国における貴金属の本拠地として、未来に向けた改革を進める当社にとって重要な節目」と表現している。

「この技術の可能性は非常に大きく、電子廃棄物の影響を減らして貴重なリソースを守り、サーキュラーエコノミーを推進するための新技術を創出できます」

エクサーのジム・フォックス(Jim Fox)CEOは、この特許技術は「数年で実験室から大量生産に」スケールアップされると述べているが、具体的な時期は明らかにしていない。

この記事は、IT ProのSabina Westonが執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまでお願いいたします。