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金属3Dプリンティング技術は、宇宙旅行をどう変えるのか?

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金属3Dプリンティング技術を使うと、難燃性の素材を使って、極めて精巧なロケット部品をつくることができる。3Dプリンティングは新しい技術ではないが、この技術はいったいどんな経緯をたどって、宇宙というこの上なく過酷な環境に耐えるまで進歩したのだろうか?

プラスチックから金属へ

1980年代に最初の3Dプリンターが登場して以来、その用途は拡大を続けてきた。当初、3Dプリンティング技術はあまり知られていなかったが、21世紀に入ってその需要が拡大した、と科学系メディア『Live Science』は伝えている。初期の3Dプリンティング技術は、主に手早く試作品を製作するために用いられ、利用可能なフィラメントはプラスチックに限られていた。柔軟性のあるプラスチックは、簡単に溶かして成形できることから、もっともシンプルな3Dプリンティングの選択肢となっている。

一方、室温下では固体である金属は、当然のことながら、液体化してプリントするには向いていない。しかし現在のプリンターは、まさにそれを可能にしている。金属で小さな形状をつくりたい場合、3Dプリンティングは、金属の切削加工よりもはるかに手っ取り早い手法になる。金属切削は、「引き算」のプロセスだ。『Introduction to Plastics Engineering(プラスチックエンジニアリング入門)』(2018年)の説明によれば、このプロセスには、金属のかたまりを切削しておおまかに成形する工程が伴い、膨大なコストと時間が費やされることもある。いっぽう、3Dプリンティングは「足し算」のプロセスであり、慎重に計算された寸法をもとに、3D部品を一層ずつ造形していく。

金属プリンティングは、手法によってそれぞれ工程数が異なる。「選択的レーザー焼結法」では、樹脂をコーティングして複合化した金属粉を、低出力のレーザーで樹脂のみを溶融凝固させて積層造形を行う。この工法では、プリンターから取り外す段階では、まだ完全な金属部品にはなっていない。さらなる手順により、不要な樹脂成分が熱分解で取り除かれ、必要な金属部品が強化(焼結)される。

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燃焼室やノズルは、3Dプリントすると燃焼に耐えられるロケットエンジン部品だ Image credit: Getty

宇宙への応用

ロケットの金属部品などを宇宙で製造することをめざすエンジニアたちの多くは、金属3Dプリンティングを支持している。ロケットエンジンは、極度の高温に耐える必要があるため、インコネル銅超合金粉末がしばしば選ばれる。インコネルは特殊な種類の超合金で、耐食性と耐酸化性で知られている。

宇宙で3Dプリンティングを応用する場合には、樹脂と金属を組み合わせたフィラメントよりも、直接金属レーザー焼結法(Direct Metal Laser Sintering)のほうが適している。金属粉末を何層にも重ねながら焼結していくことで、密度の高いロケット部品をつくるのだ。一つ一つの層を配置するごとに、金属粉末にレーザーを照射する。このレーザーが、デジタルファイルで指定された形状を精密にたどり、その過程で金属粉末を溶融し、結合させていく。このプロセスが各層で繰り返され、最終的には、余剰の金属粉末のなかに、金属固体の造形物が埋もれるかたちで完成する。

遠くないうちに、ロケットで装置を送るかわりに、宇宙で金属3Dプリンティングを行なって各種の部品を製造できるようになるだろう。そうなれば、修理のための交換用部品を受けとるまでの時間が削減できるし、地球から国際宇宙ステーション(ISS)まで部品を輸送する費用も削減できるはずだ。米航空宇宙局(NASA)は現在、低重力での金属3Dプリンティングの研究に資金を投入している。宇宙での製造が成功すれば、将来的に月面基地に3Dプリンティング技術が導入される可能性もある。

さらに詳しく知るために

宇宙での金属3Dプリンティングの次の展開はどうなるだろう? NASAの記事では、宇宙での自律的3Dプリンティング実現に向けた進展について読むことができる。3Dプリンティングによって宇宙ステーション研究をどう支援できるのかについても、知識を深めてみてほしい。

この記事は、SpaceのAilsa Harveyが執筆し、Industry Dive Content Marketplaceを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまでお願いいたします。