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地球温暖化とは何か?

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地球温暖化とは、地球全体の平均気温が上昇することだ。こうした現象は、少なくとも1880年に記録が開始されて以来、継続している。

具体的な数字を紹介しよう。米海洋大気庁(NOAA)によれば、世界の年間気温は1880~1980年にかけて、10年当たり華氏平均0.13度(摂氏平均0.07度)上昇した。1981年以降、気温上昇のスピードは10年当たり華氏0.32度(摂氏0.18度)に加速している。その結果、産業革命前と比べて、世界の平均気温は華氏3.6度(摂氏2度)も上昇している。現在のところ、最も暑い年は2016年だったが、その記録はすでに何度か破られかけている。2019年と2020年には、2016年の記録に限りなく近いところにまで迫った。2020年、世界の陸と海の平均気温は、20世紀の平均である華氏57.0度(摂氏13.9度)より華氏1.76度(摂氏0.98度)高かった。

現代の地球温暖化は、人間が引き起こしたものだ。化石燃料を燃焼させることにより、大気中に温室効果ガスが放出され、これらのガスが太陽熱を吸収し、地表や大気の温度を上昇させる。地球温暖化は気候変動と同義語だが、科学者のあいだでは、「気候変動」のほうがより好まれる用語となっている。

地球温暖化の原因は?

現代の地球温暖化の主因は、化石燃料の燃焼だ。化石燃料を構成する炭化水素を燃焼させることで二酸化炭素(CO2)などが発生する。そして、地球大気と太陽からの放射の相互作用によって温室効果が引き起こされ、地球が温暖化する。

ピッツバーグ大学の教授で、地質学と環境科学を専門とするジョセフ・ワーン(Josef Werne)はLive Scienceの取材に対し、「温室効果ガスの基本的な物理法則は、100年以上前に、ある賢明な人物が紙と鉛筆だけで解明したものです」と語った。

その「賢明な人物」とは、スウェーデンの科学者で、後にノーベル化学賞を受賞したスヴァンテ・アレニウス(Svante Arrhenius)だ。簡単に言えば、太陽からの放射は地表にぶつかり、熱として大気に跳ね返る。大気中の一部の気体がこの熱を閉じ込め、宇宙空間への放出を防いでいる(地球上の生物にとっては朗報だ)。アレニウスは1895年に発表した論文で、二酸化炭素などの温室効果ガスが、地球表面付近の熱を閉じ込めることを明らかにした。そして、温室効果ガスの量が少し変わるだけで、閉じ込められる熱の分量が大きく変わる可能性があることを突き止めた。

温室効果ガスが地球温暖化を引き起こす仕組み

産業革命以降、人間は、大気に含まれる気体のバランスを急速に変化させてきた。石炭、石油などの化石燃料を燃やすと、水蒸気、CO2、メタン(CH4)、オゾン、亜酸化窒素(N2O)が放出される。これらは主要な温室効果ガスとされている。最も一般的な温室効果ガスはCO2だ。大気中に存在するCO2の量は、約80万年前から産業革命前まで、約280ppm(空気中の分子100万個当たりCO2分子が約280個)だった。米国立環境情報センターによれば、すべてのデータがそろっている最後の年である2020年現在、大気中CO2の平均濃度は412.5ppmだ。

大した違いはないと思うかもしれないが、スクリップス海洋研究所によれば、約530万~260万年前の鮮新世以降、CO2濃度がこれほど高くなったことはない。学術誌『サイエンス』に発表された2013年の研究によれば、当時の北極は、少なくとも1年の一部は氷がなく、現在よりかなり気温が高かった。

米環境保護庁(EPA)の分析によれば、2016年の時点でCO2は、米国の温室効果ガス排出量の81.6%を占めていた。

ヨーク・カレッジ・オブ・ペンシルベニアの化学教授キース・ピーターマン(Keith Peterman)と、研究パートナーである化学准教授のグレゴリー・フォイ(Gregory Foy)は、Live Science宛ての電子メールで次のように述べている。「高精度の計器による測定によって、大気中のCO2がかつてないほど増加していることはすでにわかっています。CO2が赤外放射(熱)を吸収し、地球の平均気温が上昇していることもわかっています」

CO2は、さまざまな経路で大気中に排出される。化石燃料を燃やすと発生するCO2は現在、米国における温室効果ガス排出量の最も大きな部分を占めている。EPAの2018年報告によれば、米国では2016年、発電を含む化石燃料の燃焼で、58億米トン(53億トン)強のCO2が大気中に放出された。CO2は、非エネルギー分野での燃料使用、鉄鋼生産、セメント生産、廃棄物焼却といった他の経路でも排出されており、米国の年間排出量は70億米トン(65億トン)に達している。

また、森林破壊も大気中のCO2増加に大きく貢献している。国連食糧農業機関によれば、森林破壊は、(人為的な)CO2の発生源として2番目に大きい。木は、燃やされるときに、光合成で蓄えていた炭素を放出する。森林が、牧場や住宅地、農地に変わることは、大気中の炭素を取り込んでくれる木が減ることも意味する。国連による2020年版世界森林資源評価によれば、1990年以降、森林破壊によって、平均で毎年約1,040エーカー(420ヘクタール)の森が失われているという。ただし幸いなことに、森林消失のペースは次第に緩やかになっている。

世界的に見ると、メタンは2番目に多い温室効果ガスだが、熱を閉じ込める効率は最も高い。メタンはCO2に比べて、熱を閉じ込める効率が25倍も高いとEPAは報告している。EPAによれば、米国では2016年、温室効果ガス排出量の約10%をメタンが占めていた。

メタンの発生源は自然界に数多く存在するが、採掘、天然ガスの使用、家畜の大量飼育、埋立地の開発など、人間の活動がメタン排出の大部分を引き起こしている。EPAによれば、米国では、家畜の牛が最大の発生源で、メタン排出量の26%近くを占めている。

地球温暖化の影響は?

地球温暖化とは、単に温暖になることではない。研究者や政策立案者のあいだで「気候変動」という表現が好まれるようになったのはそのためだ。平均的に見れば地球は次第に高温になっているが、気温上昇が逆説的な影響をもたらすこともある(吹雪の頻度や厳しさが増すなど)。気候変動が地球に与えている、あるいは、与える可能性がある影響は、大きく分けて4つある。氷の融解、乾燥地域のさらなる乾燥、異常気象、海の微妙なバランスの崩壊だ。

氷の融解

おそらく、気候変動の最もわかりやすい影響は、氷河や海氷の融解だろう。約1万1700年前に最終氷期が終了して以来、氷床は後退し続けているが、過去1世紀の急激な温暖化によって、その消滅が近づいている。2016年のある研究は、近年における氷河の後退は、地球温暖化によって引き起こされている可能性が99%だと結論づけている。事実、この研究は、気候が安定していた場合と比べて、氷河が10~15倍も後退していることを示唆している。米モンタナ州にあるグレイシャー国立公園には、1800年代後半、150の氷河があった。しかし、最後に本格的な調査が行われた2015年の時点で、氷河の数は26となっていた。氷河の喪失は、人命の喪失につながる。氷河湖をせき止めている氷のダムが不安定になって決壊したり、不安定な氷が引き起こす雪崩によって、集落が埋まったりする恐れがあるためだ。

北極では、中緯度地域の2倍のペースで温暖化が進んでおり、海氷に影響が出ている。2015年と2016年には、秋冬の氷の面積が2年連続で過去最低を記録した。つまり、外洋を覆う氷が、かつてないほど小さくなったということだ。米国立雪氷データセンター(NSIDC)によれば、2020年には夏の海氷も、過去2番目に小さい面積を記録した。NASAによれば、北極における冬の最大海氷面積の最小値はすべて、過去13年間に観測されたものだ。また、氷が形成される時期は遅くなり、解ける時期は早くなっている。NSIDCによれば、1月の海氷面積は、過去40年間にわたって、10年当たり3.15%減少している。北極海では20~30年以内に夏の氷がなくなる、と予想している科学者もいる。

南極では、地球温暖化の影響はさらに大きな変化を伴っている。南極南大洋連合 によれば、南極半島の西側は、北極の一部を除いて、地球上のどこよりも急速に温暖化が進んでいる。南極半島では2017年7月、棚氷「ラーセンC」の一部が分離し、米デラウェア州ほどの氷山ができた。現在、南極西部を覆う氷の4分の1が崩壊の危機にあり、巨大なスウェイツ氷河とパインアイランド氷河は、1992年の5倍の速さで流れていると科学者たちは指摘している。スウェイツ氷河は、特に危険な状態にある。2021年の研究によれば、地殻が比較的薄く、地熱が下から氷を解かす可能性がある地域にあるためだ。

一方、南極東部は、以前から地球温暖化の影響を受けにくい地域だ。しかし最新のデータは、この南極大陸最後の砦でさえ、気温上昇の影響を受けている可能性があることを示唆している。イェール大学のオンラインマガジンYale Environment 360」によれば、南極東部でも氷河の移動速度が高まっている。つまり、陸地の氷が、以前より多く海に向かっており、海面上昇につながる可能性があるということだ。

ヒートアップ

地球温暖化は、両極だけでなく、その中間にも変化を起こそうとしている。すでに乾燥している地域の多くは、温暖化によってさらに乾燥すると考えられている。例えば、米国南西部や中部の平野では、人類の記憶にないほど過酷な「大干ばつ」が数十年にわたって続くと予想されている。

2015年に大干ばつを予想する論文を発表した、ニューヨーク市にあるNASAゴダード宇宙化学研究所の気候学者ベンジャミン・クック(Benjamin Cook)は、Live Scienceの取材に対し、「北米西部の干ばつは将来、米国史上誰も経験したことがないようなものになる可能性が十分あります」と述べている。「現代に生きる私たちの経験をはるかに超えた、想像を絶する干ばつです」

クックの研究は、「35年以上続く干ばつ」が、2100年までに85%の確率で、この地域で発生すると予測している。論文によれば、その主な原因は、土壌がますます高温になり、水の蒸発量が増加していることだという。その結果、乾燥地域を潤す雨の多くが失われてしまう。

一方、2014年の研究では、気候の温暖化に伴い、多くの地域で降水量が減少する可能性が高いと判明した。この論文によれば、地中海、アマゾン、アメリカ中央部、インドネシアなどの亜熱帯地域が最も大きな影響を受け、南アフリカ、メキシコ、オーストラリア西部、米カリフォルニア州でも乾燥が進むという。

干ばつは、破壊的な山火事を引き起こす。毎年どれくらいの面積が焼失し、どれくらい被害が出るかは、さまざまな要因に左右されるが、全米省庁合同火災センター(National Interagency Fire Center)のデータによれば、1980年代以降、山火事の規模は徐々に大きくなっている。焼失面積の上位10年は、すべて2005年以降だ。

異常気象

地球温暖化のもう一つの影響は異常気象だ。地球が温暖化すると、ハリケーンや台風はより激しさを増すと予想されている。海が高温になると、水が蒸発しやすくなり、これが嵐の原動力となるからだ。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、今後の世界がエネルギー源を多様化し、化石燃料への依存度が小さい経済に移行したとしても(A1Bシナリオ)、熱帯低気圧の強度は最大11%高まると予測している。つまり、影響を受けやすい海岸線で風水害が増えるということだ。

逆説的だが、気候変動は激しい吹雪の頻度を高める可能性もある。国立環境情報センター(NCEI)によれば、米国東部では1900年代初頭に比べて、極端な吹雪が2倍に増えている。やはり海水温の上昇によって、大気中に含まれる水蒸気の量が増加するためだ。この水蒸気が、米国の大陸部を襲う嵐の原動力になる。

海の破壊 

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地球温暖化の最も直接的な影響は、海水にも及ぶ。海は、溶存CO2を吸収する炭素吸収源の役割を担っている。大気にとっては悪いことではないが、海洋生態系にとってはあまり良いことではない。CO2が海水と反応すると、海水のpHが低下する(酸性になる)。いわゆる海洋酸性化だ。このように酸性度が上昇すると、多くの海洋生物の殻や骨格(炭酸カルシウム)が溶けてしまう。NOAAによれば、特に影響を受けるのは貝、翼足類(薄い殻を持った浮遊性貝類)、サンゴなどだ。

特にサンゴは、海洋の気候変動に対する炭鉱のカナリアと呼ぶべき存在だ。海洋科学者たちが確認しているサンゴの白化は、憂慮すべきレベルに達している。白化とは、サンゴに栄養と鮮やかな色を与えている共生藻(褐虫藻)が排出されてしまう現象だ。サンゴにストレスがかかると、白化が起きるが、ストレス因子には高温も含まれる。オーストラリアのグレートバリアリーフでは2016年と2017年、2年連続で白化が発生した。サンゴは白化しても生存できるが、白化が繰り返されると、生き残る可能性は低くなる。

地球温暖化の豆知識

NASAによれば

  • 2021年、大気中のCO2濃度は、過去65万年で最も高い417ppmを記録した。
  • 1880年以降、世界の平均気温は華氏1.9度(摂氏3.4度)上昇している。
  • 北極の夏の最小海氷面積は、1979年に人工衛星による観測が始まってから、10年ごとに13%縮小している。
  • 2002年以降、極地の陸氷は、年間428ギガトンのペースで減少している。
  • 世界の海面は、過去1世紀に7インチ(178mm)上昇した。

追加資料

地球温暖化に関する最新のニュースやデータは、NOAAが提供する情報の宝庫「Climate.gov」で入手できる。米国立環境情報センターは、「気候の現状」レポートを毎月発行しており、米国と世界の傾向を追跡している。NASAのGlobal Climate Changeページには、気候変動に関するよくある質問とその答えが掲載されている。

地球温暖化の科学、モデリング、予測について深く知りたい場合は、IPCC第6次評価報告書を読むことを推奨する。また、IPCCのウェブサイトでは、一般市民向けのファクトシートやアウトリーチ資料も公開されている。

参考文献

Katharine Hayhoe「Saving Us: A Climate Scientist’s Case for Hope and Healing in a Divided World」 2021年9月、Simon & Schuster

Michael Mann「The New Climate War: The Fight to Take Back Our Planet」 2021年1月、PublicAffairs

EPA「Climate Change」 2022年1月14日、https://www.epa.gov/climate-change

この記事は、Live ScienceのStephanie Pappasが執筆し、Industry Dive Content Marketplaceを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまでお願いいたします。