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スウェーデンで欧州最大のレアアース鉱床を発見

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電気自動車の生産に欠かせないレアアース(希土類)の鉱床が、スウェーデン北部キルナ近郊のパー・ガイヤーで発見された。その規模は欧州最大とされ、中国への依存を低下できるのではないかと欧州では期待が高まっている。

スウェーデンの国営鉱業会社LKABは2022年1月12日、同社が所有する鉄鉱石採掘地のすぐ隣で新しい鉱床が見つかったと発表した。100万トン以上のレアアース酸化物が含まれているという。

LKABのヤン・モストロム(Jan Mostrom)最高経営責任者は声明で、「レアアース鉱床としては知られている限り欧州最大であり、グリーン移行に必要不可欠な原材料を生産する上で重要な役割を果たす可能性がある」と述べた。

「私たちは供給の問題を抱えている。レアアースを採掘できなければ、電気自動車の生産は不可能だ」とモストロムは続けた。

このたび発見された鉱床は欧州最大とみられるが、世界的に見れば埋蔵量の規模は小さく、世界の推定埋蔵量全体の1%にも満たない。米地質調査所(USGS)によると、世界には推定で1億2000万トンのレアアースが眠っている。

欧州委員会は2021年、欧州連合(EU)で使用されるレアアースの98%は中国からの輸入品だと述べ、加盟国に対して独自の採掘能力を高めるよう促した。

LKABは今回の鉱床発見を、欧州委員会の代表団がスウェーデンを訪問しているなかで発表した。スウェーデンは、2023年上半期のEU議長国だ(議長国は輪番制)。

スウェーデンのエバ・ブッシュ・エネルギー相は記者会見で、「EUは現在、レアアースを他国に依存しすぎている」と述べ、特にロシアと中国の名を挙げた。

「こうした状況を変える必要がある。私たちは自ら責任をもって、グリーン移行に必要な原材料を調達しなくてはならない」とブッシュは続けた。

─ 貿易だけに依存はできない ─

EUは、2035年までにすべての新車をゼロエミッション化することで合意している。内燃エンジンが搭載された自動車の生産を実質的に禁止するということだ。その後は、レアアースの需要が増える一方となる。

短期的には、EUは取引を「多様化する」必要がある、とブッシュは述べた。

「しかし長期的には、貿易協定だけに依存することはできない」

LKABのモストロムによれば、鉱床の全体的な規模はまだ判明していない。

モストロムはAFPに対し、「今後も探査を続け、規模を把握する予定だ」と述べている。また、新しい鉱床の採掘法は、いまも解明のさなかだという。

モストロムによれば、このたび発見された鉱床によって、中国に対する欧州のレアアース依存をどの程度低減できるのかを正確に推し測るのは難しいようだ。

しかし同氏は、「かなりのインパクトとなるだろう」とも語っている。

記者会見では、「この鉱床を実際に採掘して、レアアースを市場に出荷することは可能なのか」という質問も出た。それに対してモストロムは、採掘の許可がどのくらい迅速に下りるかが大きなカギになると述べた。

ただこれまでの経験上、許可が下りるまで「10年から15年ほど」かかるとの考えを示した。

LKABは、この新しいレアアース鉱床について、「主に鉄鉱石の鉱床に含まれているため、副産物として生産されることになるかもしれない」と述べ、「競争力のある採掘地」となりうる新たなチャンスだとしている。

─ 磁石からレンズまで ─

ネオジム、プラセオジム、ジスプロシウムといったレアアースは、風力発電や電気自動車といった未来の産業分野で使用される磁石の生産に欠かせないものだ。

他にも、スマートフォンやコンピュータースクリーン、望遠レンズといった消費財にも使われている。

従来の用途で用いられているレアアースもある。例えば、セリウムはガラスの研磨剤になり、ランタンは自動車の触媒や光学レンズに使われている。

スウェーデンはEUでも有数の、鉱山業が盛んな国だ。

EUで生産される鉄鉱石の90%以上はスウェーデン産だ。スウェーデン地質調査所によれば、同国は鉛と亜鉛の生産量が欧州最大であるほか、銀は2位、金と銅も最大規模の生産量を誇る。

この記事は、Digital JournalのAFPが執筆し、Industry Dive Content Marketplaceを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまでお願いいたします。