金製を凌ぐ性能の銅ボンディングワイヤ

解決事例

金製を凌ぐ性能の銅ボンディングワイヤの解決事例イメージ

金製を凌ぐ性能の銅ボンディングワイヤ

金の価格高騰が利益を圧迫する状況を打開するために。
「銅ボンディングワイヤ」で材料費90%カットを実現。

半導体メーカーM社

課題 PROBLEMボンディングワイヤの素材・金の価格高騰が利益を圧迫…

スマートフォンのイメージ

携帯電話やタブレットPCといったマルチメディア機器は、各機器の用途により、高いデザイン性や小型薄型化が求められています。そのため、内蔵される半導体パッケージの研究開発を行う半導体メーカーは、そうしたニーズにいかに対応できるかが要求されています。

こうした背景を受け、スマートフォンやタブレットPCの半導体パッケージを開発・製造する半導体メーカーM社は順調に業績を伸ばしていました。しかし、使用するボンディングワイヤの素材、金の価格高騰がM社の利益を圧迫。研究開発部門長Sさんは、“コストを抑え、その上で効率よく生産できる方法”を模索していました。

課題 PROBLEM性能は?耐久性は?銅ボンディングワイヤへの疑念

そこでSさんは、「品質を落とさず、コスト削減を」という観点で見直していく中で、半導体パッケージの開発・製造で使用するボンディングワイヤの素材「金」に着目。「近年、価格が高騰する金を見直すことで大幅なコスト削減が図れるのでは」と考えました。

そして、候補として浮上してきたのが銅ボンディングワイヤでした。ただ、銅ワイヤは金製よりもはるかに安価ですが、品質に疑問が残りました。いくつかカタログを見ると「高性能」と謳われているものの、M社での長年の研究開発における経験から、銅の特性上「表面が酸化しやすいために接着しにくい」ことや溶融ボールが硬いためワイヤボンディング工程で「チップ割れが生じやすい」ことなどが懸念点であるのは明らかでした。
安易な選択をして、コスト削減に成功しても品質や生産性が低下してしまっては本末転倒です。困ったSさんは、打開策を求め、業者に相談してみることにしました。

解決 SOLUTIONパラジウムコーティングを施した、飛躍的に進化した銅ボンディングワイヤ

Sさんは、以前別の商材で取引のあった田中貴金属に問い合わせてみることに。後日、田中貴金属の営業担当者に現状の課題を伝えたところ、新たに開発された銅ボンディングワイヤを紹介されました。
「世界屈指の技術力で開発した銅ボンディングワイヤ。特徴は、従来の商材と異なり、銅のまわりをパラジウムでコーティングすることで耐腐食性や接着性が飛躍的に進化している点です」と説明。

いろいろと話しているうちに、

・1961年に田中電子工業として創業して以来、納品後も技術者が足を運び、
 開発現場の要望を聞き続けていること
・田中貴金属グループ内にパラジウムをコーティングする技術を保有していること

この2点から、優れた素材の開発・提供のみならず、その使い方まで含めた提案をしてくれるため、売り手と買い手という立場でなく、研究開発者にとってのベストパートナーになってもらえると強く感じました。
強い信頼感と解決策としての有効性を感じたSさんは、その後、幾度かのミーティングを重ね、「設備投資についてもランニングコストで十分補填できる」と判断し、さっそくテストを行い、将来性を見越した上で本格的な導入を決定しました。

解決 SOLUTION材料費90%カット!しかも「導電性」「耐久性」で金を上回る性能が

キャピラリの寿命

結果的に、M社は最新の銅ボンディングワイヤを採用し、これまでの金ワイヤから材料費を90%カットすることに成功しました。
品質低下の原因の一つが、キャピラリ先端部の熱と振動による磨耗だということが判明し、田中電子工業のエンジニアに相談しながら、改善を進めた結果、品質の維持だけでなく、キャピラリの寿命が75%も向上。交換の手間やキャピラリコストも削減できるようになりました。

「エンジニア出身の営業担当者の豊富な知識はもちろん、同じ目線に立って検討段階から親身に取り合ったくれたことが心強かったです。それに、導入後もいかなる疑問等にも応じてくれましたし、素材に対する信頼は絶対的でした」と話していたSさん。

それ以降、取引先との関係を保つだけでなく、さらに高品質な銅ボンディングワイヤを提供できるように、田中貴金属の担当者と定期的に意見交換を行っています。