解決事例
材料費80%カットの銀ボンディングワイヤ
わずかな設備投資で導入を実現、材料コストは80%もダウン。
耐久性・導電性・生産スピードに優れた「銀ボンディングワイヤ」。
半導体メーカーE社
品質向上は大命題。しかし設備投資と人員増強が大きな負担に
携帯電話や液晶テレビなどに使用する半導体パッケージを製造する半導体メーカーE社は、高い性能品質を維持するため、積極的な設備投資と人員増強を行っていました。こうした姿勢は、お客様から高い信頼を得る結果につながっていましたが、コスト面での負担が大きく膨らみ始めていました。今後の競争に向けて、生産コストの削減が至上命令となっており、生産技術部門長Oさんにとって悩みの種となっていました。
銅ボンディングワイヤ導入を検討も、数億円の設備投資など、
さまざまな障壁が
生産技術部門では毎週部内会議を実施し、メンバー各自が持ち寄った情報をもとに解決策を検討。そして有力候補として浮上してきたのが、”銅ボンディングワイヤ”でした。それは、金ワイヤと比較した際、驚くほど価格が抑えられ、性能条件さえ合えばシフトチェンジすべきだという意見が出てきました。しかし、どうしてもE社にとって首を縦に振れない項目があることが発覚…。
それは、銅ボンディングワイヤの場合、金ワイヤで使用していた設備をそのまま使用できないため、銅ワイヤ専用のボンディング装置を導入しなければならず、初期段階だけでも数億円の設備投資が必要となります。また、安全性やランニングコストに難のある水素と窒素の混合ガスも必要となります。さらには、生産スピードが金ワイヤよりも30%低下することや、素材が硬くチップ上の接続端子であるボンディングパッドに接続するときに割れが生じてしまう可能性があるなど、問題が山積みでした。
耐久性、導電性、生産スピードは金と同等以上、銀ボンディングワイヤ
E社の生産技術部門長Oさんは、インターネットを通じた情報収集や毎週開催している部内会議とは別に、複数の展示会に足を運びました。その際、ブースにて「ボンディングワイヤ製造で世界トップシェアの実績が裏づけした技術力と安心感。現在抱えている課題に対してベストな素材を提案できます」と話していた田中貴金属に強い関心を持ちました。
後日、田中貴金属の営業担当者はE社を訪問。その担当者は、ヒアリングした内容をもとに、”銀ボンディングワイヤ”を紹介してくれました。
「銀ボンディングワイヤは、耐久性や導電性、生産スピードという点で金ワイヤと比較した際、同等以上のパフォーマンスを発揮し、大幅な材料費削減も可能にします。しかも銅製とは異なり、従来使用していた金ワイヤの設備に窒素ガスを吹き付けるためのわずかな改造で利用可能だという点です」と説明。それに加え、金ワイヤ並みに柔らかく、チップ上の接続端子であるボンディングパッドに割れを生じることなく接着が可能だと話していました。
材料費80%カット!既存の設備もわずかの改造で利用可能!
最終的に、E社では検討を重ねた結果、満場一致でこの銀ボンディングワイヤの正式採用が決定しました。
「高い技術力から裏打ちされた安心感。そして、導入検討から正式採用、今日に至るまで担当者の方にはお世話になりました。担当者の方の知識・情報量には驚きましたし、どんな質問をしても的確に回答をいただけました。さらに、その中でも弊社にベストな使い方まで事細かに説明してくれました」というOさん。
その後、E社はワイヤの素材を銀に変えたことで、材料費を80%カットすることに成功しました。そして、現在は「今回対象となった半導体パッケージのほかにも銀ワイヤを試したい」と検討を進めています。さらに、田中貴金属の国内だけでなく、シンガポール、マレーシア、中国など海外にも工場施設がある万全なサポート体制を活用し、今後は海外にも展開していく計画だということです。